インタビュー

『僕は妹に恋をする』小松彩夏 単独インタビュー

©2006「僕妹」フィルムパートナーズ

友華はまっすぐな心を持った、純粋な子だと思います

 高校3年生の双子の兄妹、頼(より)と郁(いく)の、決して報われることのない禁じられた愛を描いたその衝撃的な内容が話題を呼んだ、青木琴美の大ヒット・コミックがついに映画化された。松本 潤初の単独主演作でもあるその『僕は妹に恋をする』で、松本演じる頼に切なく思いを寄せる友華役に抜擢された小松彩夏が、本作に出演できた喜びを初々しく語ってくれた。

小松彩夏

 1986年7月23日生まれ、岩手県出身。2003年「美少女戦士セーラームーン」の愛野美奈子役で注目を集める。04年には日テレジェニック04に選出され、以降グラビアやモデルとしても活躍の場を広げる。最近では「恋するハニカミ!」スタジオ・レギュラー(TBS)やTVドラマ「青春☆ENEGY ダンドリ娘」(CX)に出演しており、多方面にて活躍を期待されている。最新出演作はCSドラマ「戦場のガールズライフ」(2007年1月)。映画は『恋文日和』(大森美香監督/04)、『マスター・オブ・サンダー ~決戦!!封魔龍虎伝~』(谷垣健治監督/06)に出演。

今回はオーディションだったそうですね。安藤尋監督が小松さんを強く押されていたとうかがいました。

 え、そうなんですか? うれしいです!

何が決め手だったか、聞かれていますか?

 影のある感じが、友華のイメージにピッタリだったというのはうかがいました。

原作のマンガは読んでいたんですか?

 ええ、高校生のときからファンで、この映画が決まる前から読んでいました。友達の間ですごく流行っていて、みんなで回し読みしましたね。

それがまさか、自分が登場人物の一人を演じることになるとは……という感じでしたか?

 はい。映画化されると聞いたときにも“楽しみだな”と思っていましたが、さらに友華をやらせていただけるなんて、すごくうれしかったです。

原作の友華にはどんな印象がありましたか?

 原作の友華はすごく意地悪な女の子ってイメージがあったんですけど、映画の台本を読んだとき、“本当はそうじゃないんだな”と思えましたね。

私は残念ながら、原作を読む時間がなかったのですが、それでは、原作の友華と映画の友華は結構違っているんですね?

 そうですね。マンガを読んでいたときには、ただ意地悪な女の子と思うだけで、それ以上深くは考えなかったんですけど、今回友華をやらせていただくにあたって、彼女の気持ちをあらためて考えてみると、単純に意地悪な女の子とは言い切れないものを感じましたね。全体的にも映画は原作と違うと思います。雰囲気にしても、マンガはちょっとポップな感じですけど、映画は本当にリアルに描かれていますし。

友華には心底好きな人がいて、でもその人に受け入れてもらえなくて、自分自身をわざと傷つけてしまうようなことをしますね。そんな彼女の気持ちが理解できましたか?

 分かりましたね。実際に自分がそういう立場だったら、友華みたいなことはできないと思いますけど。ただ、頼(松本 潤の役)が本当に好きだからこそ、自分がつらい思いをすることは最初から分かっていても、あえて自分から悪者になったところもあったんじゃないでしょうか。本当は全然イヤな子じゃなくて、まっすぐな心を持った純粋な子なんだと思います。

彩夏さんが友華の立場だったら、頼に自分の気持ちを打ち明けると思いますか?

 うーん……言えないかな。頼が郁のことを好きだと知っていたら、言えないと思います。そこまで強引にはなれないですね。知らなかったら、普通に告白できるかもしれないですけど。

監督さんも実は、一番共感できたのが友華だとおっしゃっていましたよ。

 あ、そうなんですか。でも本当に、「友華の切ない気持ちがすごくよく分かった」とおっしゃってくださる方たちは多かったですね。

私も一番、気持ちが分かりましたね。こうした苦しい片思いって、皆さん、身に覚えがあるという感じなのでは?

 あ~、確かに(笑)。

演じるに際して、この役柄について監督さんとよく話し合われたんですか?

 撮影に入る前、何度か本読みをして、そこで結構、監督さんと話をさせていただきました。友華はどういう子だとか、どういう友達がいるのかとか、台本に書かれていなくても、その背景をちゃんと考えておこうということで話し合い、その中で想像をふくらませながら友華を創っていきました。

彩夏さんはどういう風に想像しましたか?

 素直じゃないというか、自分の気持ちを人に伝えるのが下手な子だと思いましたね。

安藤監督はどういう方でしたか?

 私が迷っているときにはそれを察してくださって、「迷ってるでしょ?」と相談に乗ってくださいましたね。

どういう部分で迷いを感じたのですか?

 せりふの「さようなら」という一言が言いづらくて……。それを監督は、「彼女は今、こういう気持ちなんだよ」と分かるまで説明してくださったんです。

長回しの多い作品でしたが、その点では大変じゃありませんでしたか?

 初めは大変だったんですけど、慣れてきたら逆に、長回しの方が気持ちをつくりやすかったです。切っていくと気持ちがつながらなくなったりするんですけど、長回しだと同じ感情をそのまま保てましたから。

NGが出たときにはまた一からで、大変だったのでは?

 NGというのはあまりなかったんですよ。NGというより何度か、「ここはもう少し間を空けて」とか、「せりふに気持ちが乗るまで待っていいよ」と言われて、撮り直したことはありましたけど。

他のメイン・キャストの方々とは、現場でどういう雰囲気だったんですか?

 私は松本 潤さんとのシーンがほとんどだったんですけど、松本さんは私が緊張しているときなんか、話しかけて緊張をほぐしてくださいましたね。シリアスなシーンが多いので、現場もちょっとシリアスな感じになったりしたんですけど、松本さんがいいムードメーカーになって現場を明るくしてくださっていました。お会いする前は“怖い人なのかも……”なんて、いろいろと考えていたんですけど、全然そうじゃなくて、すごく優しくて明るくて気さくな方でしたね。

松本さんはお一人だけ、ちょっと年上だったんですよね? でも、そんなに年の差は感じませんでしたか?

 そうですね。でもやっぱり、“しっかりしている方だな”とは思いました。

撮影中、楽しかったことは?

 郁役の榮倉奈々ちゃんとしゃべったり、あと、郁の友達役で岡本奈月ちゃんが出ているんですけど、彼女とはモデルを一緒にやったことがあるので、久しぶりに会えてうれしかったです。

今回はロケで三浦半島の廃校を使ったそうですが、廃校は怖くなかったですか?

 暗くなってからトイレに行くときは怖かったかな(笑)。トイレがすごく離れた所にあったので。その学校、テレビや映画の撮影ではしょっちゅう使われているらしいですよ。

この映画は一種の純愛物語ですが、“こういう恋愛をしてみたい!”というのはありますか?

 過去に戻って恋愛してみたいという気持ちはありますね。高校の放課後、手をつないで帰りたいとか、制服で一緒にプリクラを撮りたいとか。当時は女友達と遊ぶのが楽しすぎちゃったんですよね(笑)。

完成した映画をご覧になった感想は?

 まだ1回しか見ていないので、客観的には見られなかったですね。いろいろなことが気になって、“このシーンはこうすればよかったな”とか考えてしまいましたので。ただ、見た後は恋がしたくなるような映画だと思いました。これをご覧になって、皆さんにすてきな恋をしていただきたいですね。

岩手県がご出身ですよね。地元にはいつまでいらしたんですか?

 高校を卒業するまでです。東京に通って仕事をしていました。

ご自身の高校生活を振り返って、いかがでしたか?

 とにかく、学校が楽しかったんです。仕事がつらくても、学校に行って友達に会うと元気になれたんですよ。学校に行きたくないと思ったことがないくらい大好きでした。本当に友達に恵まれていましたし、先生もすごく優しくて仲が良かったですし、学校生活が楽しくてしょうがなかったですね。

いい高校時代を過ごせたんですね。方言で話したりするんですか?

 はい。よく「しゃべってみて!」って言われるんですけど、そう言われると出ないんですよね。地元に戻ると、「友達、なまってる!」とか思って、でもそんな私も自然となまっちゃうんです(笑)。好きです、岩手の方言。

岩手県で自慢できることは何ですか?

 人が温かいです。あるテレビ番組で“日本一お人よしな県”に選ばれたんですよ(笑)。私、仕事で上京するときも、学校から駅がすごく遠くて、車を使わないと行けなかったんですけど、母以外のいろいろな方が送り迎えに協力してくださったんです。着替えまで持ってきてくださって、車の中で着替えたりとか(笑)。友達のお母さんやおばあちゃん、母の友達など、本当にいろいろな方々が協力してくださったからこそ頑張れたという感じですね。

そんなに大変な思いをしても、東京の高校に転向しようとは思わなかったんですか?

 思わなかったですね。卒業するまでは岩手で頑張るつもりでしたので。上京した後も、岩手には結構帰っているんです。地元はすごく落ち着きますし、友達にも会いたいですから。成人式もあるので、お正月も帰ります。

東京の生活には慣れましたか?

 だいぶ慣れました。最近、一人暮らしを始めたんですよ。それまでは父がちょうど単身赴任で東京にいたので、一緒に住んでいたんですけど。一人暮らしはとにかく、自炊をするのが一番大変ですね。“お父さんやお母さんはすごいな~”とつくづく思いました。

離れて暮らしてみると、親のありがたみが分かりますよね。

 はい、本当にそうだと思います。

ところで、携帯電話はどういうのを使っていますか?

 白と黒のケータイで画面が大きく、裏にはプリクラをいっぱい貼っていて、ストラップもジャラジャラとたくさん付けています(笑)。『僕は妹に恋をする』の前売券を買うともらえるストラップがあるんですけど、それも付けてます。あとは友達とお揃いのブタのストラップと(笑)、自分の名前が入ったのや、好きなキャラクターのとか。ケータイで一番使うのはメールですね。地元の友達と会えない分、メールや電話でしょっちゅう連絡を取り合ってます。ヘン顔の写真を送ったりとか(笑)。ケータイがないと死んじゃうかも(笑)。

今、ハマッていることは?

 ネイルです。大好きで、自分でやってるんです。時期に合わせていろいろと変えたりするんですよ。クリスマスが近いとクリスマスっぽくしたり、バレンタインだったらピンクにしようとか。

オフのときはどういう過ごし方をするのが好きですか?

 友達と原宿や渋谷を歩きながら、お買い物をしたりお茶したり、ご飯を食べるのが好きですね。お休みになったら必ず、友達を誘って外出したり、家に呼んで語り合ったりしています。

映画はよく観ますか?

 最近は観ていないんですけど、休みがあれば観に行きます。最後に観たのは『シュガー&スパイス 風味絶佳』です。『フラガール』もすごく見たかったんですけど、終わってしまって……。DVDでぜひ!

好きな女優さんはどなたですか?

 深津絵里さんです。同じ事務所の先輩で、『踊る大捜査線』で共演させていただいたんですけど(注:『踊る大捜査線 BAYSIDE SHAKEDOWN 2』と『踊る大捜査線 THE MOVIE2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』)、すごく小柄な方なのに、スクリーンに映っているときはものすごく存在感がありますし、作品ごとに全然違う人に見えるんですよね。役になりきっていて、本当にすごい方だなと思います。

男優さんでは?

 大沢たかおさん……(照)。

インタビューしたことがありますが、すごく気さくで良い方ですよ。

 そうなんですか!? 普段話していらっしゃるのを見たことがないので、どんな方かなと思っていたんですけど。

最後に、これから映画をご覧になる方々に向けて、メッセージをお願いいたします。

 『僕は妹に恋をする』で友華役をやらせていただきました小松彩夏です。“純粋な恋っていいな、恋がしたいな”と思えるようなすてきな作品になっていますので、皆さん、ぜひ劇場に足を運んでご覧になってください。

 今をときめく脚本家・大森美香さんの監督作『恋文日和』の一篇「雪に咲く花」で、ちょっと影のある美少女っぷりが強烈な印象を残していた小松彩夏さん。本作『僕は妹に恋をする』でも、ちょっと屈折した女の子の役ながら、行動とは裏腹の、その切ないくらいにピュアな思いを伝える説得力のある演技を見せている。単純にかわいらしい女の子とは一味違う役柄が似合う彩夏さんだが、その素顔はとってもキュート。特にお話から、地元・岩手への深い思いが伝わってきて、生まれ故郷をこよなく愛しながらも、若くして東京で一生懸命に頑張っている彼女の姿に、同じ地方出身者として心から声援を送りたい気持ちになった。

(取材・文・写真:Maori Matsuura)

『僕は妹に恋をする』作品紹介

 双子の兄妹、頼と郁。「郁は僕のお嫁さんだよ――」。幼い頃にシロツメクサの草原で交わした約束は、郁にとって大切な思い出になっている。だが最近の頼はそのことをすっかり忘れているかのように、郁に冷たい態度を見せる。しかしある夜、頼は郁に本当の思いを打ち明ける。「ずっと……好きだった」。
 2005年まで「少女コミック」に連載されていた、青木琴美の大ヒット・コミックを映画化! 松本 潤初の単独主演作。

(2006年、日本、上映時間:122分)

キャスト&スタッフ

監督:安藤 尋
出演:松本 潤、榮倉奈々、平岡祐太、小松彩夏、浅野ゆう子ほか

公開表記

配給:東芝エンタテインメント
2007年1月20日(土)より恵比寿ガーデンシネマ、新宿武蔵野館ほか全国ロードショー

(オフィシャル素材提供)

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