イントロダクション
『北辰斜にさすところ』は、戦禍による永遠の決別を挟みながらも、旧制高校で学んだ学友たちの在りし日と現在の姿が交互に描かれる骨太な群像ドラマである。50余年の歳月を経て、旧制高校生たちの奔放な青春の躍動がスクリーンに甦る!!
監督は、『ハチ公物語』(87)、『遠き落日』(92)、『大河の一滴』(01)、『草の乱』(04)などで知られるベテラン神山征二郎。本作は記念すべき監督作25本目となるが、そのうちの13本が戦争に関係する題材という筋金入りの反戦派監督である。
主役である上田勝弥を演じるのは、自身も中国への出征経験を持つ三國連太郎。彼が所属した部隊の総数は千数百人だったが、前線から再び祖国の土を踏めたのは数十人だったという。いまや名実ともに日本を代表する名優が、亡き友への深い思いを込めて熱演する。
ストーリー
昭和11年に旧制第七高等学校造士館(現:鹿児島大学)へ入学した上田勝弥(三國連太郎)は、人生の晩節を迎えていた。七高では、破天荒な先輩、草野正吾(緒形直人)と出会い、また野球部のエースとして鳴らした勝弥は九州帝国大学に進んで医学を学び、戦時中は軍医として南方戦線に従軍した。戦後は東京郊外で開業医を務めていたが、今では息子の勝弘(林 隆三)に代を譲り、高校生の孫・勝男(林 征生)が甲子園に出場するのを楽しみにしている悠々自適の身だった。そんな勝弥だが、七高同窓会への出席は常に拒んでいた。
一方、来年は七高野球部創部百年を記念して、因縁の五高(現:熊本大学)との記念試合が行われる予定となっていた。しかし、その連絡にも「すまんが欠席させてもらう。皆さんによろしく」と答える勝弥。実行委員会の幹事たちは、その言葉が納得できない。
戦後60年、七高で青春の日々を過ごした鹿児島にも、生まれ故郷である熊本の人吉にも足を向けようとしない勝弥。そこには、戦場での悔恨と慙愧という深く重い理由があった――。
(2007年、日本、上映時間:111分)
キャスト&スタッフ
監督・脚本・製作:神山征二郎
出演:三國連太郎、緒方直人、林 隆三、佐々木愛、神山 繁、北村和夫、鈴木瑞穂、犬塚 弘、土屋嘉男、河原崎健三、永島敏行、坂上二郎ほか
ギャラリー
公開表記
配給:東京テアトル
2007年12月22日よりシネマスクエアとうきゅう他、全国順次公開
(オフィシャル素材提供)