世界中で愛されてきたキャサリン・パターソンの児童文学を映画化、原作を裏切らない豊かなイマジネーションに満ちた心揺さぶる友情の物語『テラビシアにかける橋』。『ザスーラ』のジョシュ・ハッチャーソンと『チャーリーとチョコレート工場』でブレイクしたアナソフィア・ロブという、ハリウッドの人気子役である二人が揃って来日、親友同士を演じた本作について仲良く語ってくれた。
ジョシュ・ハッチャーソン
1992年10月12日、ケンタッキー州ユニオン生まれ。10歳のとき子役デビューし、TVムービー『ワイルダー・デイズ』や『ER 緊急救命室』などに出演した後、2003年に『アメリカン・スプレンダー』で映画デビュー。05年には『小さな恋のものがたり』(V)で初主演。再会した幼なじみに恋心を抱くダメ小学生を演じ、確かな演技力を証明した。また、ジョン・ファヴロー監督のアドベンチャー映画『ザスーラ』(05)ではゲームの世界に迷い込み、宇宙への冒険を体験する兄弟の頼りになる兄ウォルター役で人気者に。以降も、バリー・ソネンフェルド監督、ロビン・ウィリアムズ共演の大ヒット・コメディ『RV』(06/V)、元ハリウッドのスター犬と友情を育む少年を演じた『ファイアー・ドッグ 消防犬デューイの大冒険』(07)などの映画で活躍。短期間のうちに華やかなキャリアを築いてきた。
新作として、ローワン・ウッズ監督、ケイト・ベッキンセールやダコタ・ファニングら共演の群像劇『Winged Creatures』(08)、ジュール・ベルヌの「地底旅行」を原作とした『センター・オブ・ジ・アース 3D』(08)が控えている。
アナソフィア・ロブ
1993年12月8日、コロラド州デンヴァー出まれ。幼い頃から教会の聖歌隊で歌い、アイルランドのステップダンスや器械体操で才能を発揮しており、7歳にしてアイリッシュダンスの賞に輝いたこともある。8歳のときに地元エージェントについてラジオや地元TVへの出演を果たし、9歳で本格的に女優を目指しロサンゼルスへ。マクドナルドのCMモデルやTV作品を経て、ミア・ファロー共演のTVムービー『アメリカン・ガール サマンサの休日』(04/V)で主演デビュー。その後、ケイト・ディカミロの人気児童小説をウェイン・ワン監督で映画化した『きいてほしいの、あたしのこと ウィン・ディキシーのいた夏』(05/V)に主演し、『チャーリーとチョコレート工場』(05)では、ガムを噛み続けるワガママ娘ヴァイオレット役でジョニー・デップと共演して注目を集める。また、ヒラリー・スワンク共演のホラー『リーピング』(07)では、イナゴ少女を熱演。いまやハリウッドで最もホットなティーン女優として期待が集まっている。
今後も、ファミリー・ムービー『Doubling Thomas』(07)、シャーリーズ・セロン共演のドラマ『Sleepwalking』(07)、12歳の少女2人の冒険を描いた『Have Dreams, Will Travel』(07)、ヘイデン・クリステンセン主演の『ジャンパー』(07)、モーガン・フリーマン&アンソニー・ホプキンス共演の『Picasso』(08)と、待機作が目白押し。さらに、ウォルデン・メディアがローレン・セントジョンの児童文学を映画化する『The White Giraffe』では、ガボア・クスポ監督と再びタッグを組むことが決まっている。
長い間親しまれてきた原作の映画化なので、プレッシャーはありませんでしたか?
ジョシュ・ハッチャーソン:プレッシャーは僕より制作チーム、脚本・監督・VFXを担当した方々のほうが感じていたんじゃないかな。愛され続けている作品を視覚化して人々の期待に応えなくちゃいけなかったんだから。僕はただ、ひとつの役を演じるために雇われただけなので、その部分で努力をすればよかったからね。そうはいっても、プレッシャーを感じなかったわけじゃない。ジェスのモデルと言ってもいいデヴィッド・パターソンさんが脚本家として参加されていて、現場にもよくいらしていたんだよね。彼に負けないようなキャラクターを作らなければいけないという意味ではプレッシャーはあったよ。
アナソフィア・ロブ:ジョシュと全く同意見よ。監督・脚本家・VFXを担当された方々に比べたら、私のプレッシャーなんて無きに等しかったと思うわ。公開前は原作のファンの方たちがかなりナーバスになっていて、予告編を見ただけでは原作に忠実だということが分からなかったみたいで、ブログやウェブサイトなどでボイコットを呼びかけるような動きも起きていたの。でも、公開されてからは、原作に忠実な作品に仕上がっていることが分かって、満足していただけたようだわ。
初めて会ったときのお互いの印象を聞かせてください。
アナソフィア・ロブ:私たちが初めて会ったのは、ロサンゼルス空港だったわ。最初からすぐ仲良くなることができて、撮影中もしょっちゅう一緒に出かけたりしていたの。私たちが仲良しだってことは画面にも表れていると思うわ。
ジョシュ・ハッチャーソン:そう、僕たちはニュージーランドの撮影現場に向かうため、ロサンゼルス空港で初めて会ったんだ。いつも“面白いな”と思うんだよね。映画に出るって、初めて会った人と毎日3ヵ月間一緒に過ごすという状況に置かれることなんだよ。
アナソフィア・ロブ:しかも、お互い好きにならなくちゃいけないのよね(笑)。
ジョシュ・ハッチャーソン:そう。僕は幸運なことに、これまでもうまの合う人たちとばかり出会えたけど、彼女ともそうだった。仲の良さから生まれたケミストリーがスクリーンを通じて伝わってくると思うし、演じた役柄をリアルなものにしてくれたね。
原作を初めて読んだときの感想と、そのとき感じたことをどのように演技に活かしたかお聞かせください。
アナソフィア・ロブ:原作と脚本を読んだときから、このストーリーに夢中になってしまったわ。脚色も素晴らしいと思う。脚本家の方が原作のもっている雰囲気や内容をちゃんと反映させてくださっていたので、それがすごくうれしかったの。本を読んだときに感じたことは、レスリーというキャラクターの表現に活かしたわ。彼女はとても自由で、何事にも境界線を引かず、自分のやれることをやって、他人のことを決めつけたりしない、どんなことにもチャレンジする女の子ね。“Keepin’ my mind wide open(いつも心をオープンにしている)”(註:アナソフィア自身が歌っている歌のタイトル「Keep Your Mind Wide Open」にかけている)、そんな子よ。
ジョシュ・ハッチャーソン:脚本より先に原作を読んだんだけど、最初に思ったのは、どういう風に映像化されているのか見るのが待ち遠しいということだったね。長年愛され続けている名作だし、内容が豊かで素晴らしいメッセージも込められているね。ファンタジーの部分もあるので、そうした全てを監督たちがどう視覚化するのかが楽しみだったんだ。僕自身がジェスという役にもたらしたかったのは、愛すべき少年であると同時に、学校ではちょっとはみ出し者だという、その両方の面を持ち合わせたキャラクターにしたいと思ったんだ。監督やプロデューサーたちから助言してもらいながら、役を作り上げていったよ。
演じたキャラクターとご自身とを比べて、似ている部分と似ていない部分を教えてください。
アナソフィア・ロブ:いくつか似ているところがあって、私たちはまだ子供だということと、ファッションと読書が好きなところ。私も冒険心はあるけど、レスリーほどではないので、どちらかというと彼女は私がなりたい女の子だわ。誰にも何事にもすごくオープンで、どんなことでもやってみようとするとても強い子だと思う。どんな女の子にとっても、彼女は素晴らしいお手本なんじゃないかしら。違うところは……。
ジョシュ・ハッチャーソン:君は彼女に似てるよ(笑)!
アナソフィア・ロブ:まあね(笑)。
ジョシュ・ハッチャーソン:僕の場合は、違うところのほうが多いキャラクターだね。違う部分のほうが多いというのは楽しいことなんだ。自分と全く違った個性の人を演じるのはやっぱり俳優の醍醐味なわけだから。似ているところを挙げるとしたら、僕たちは似たような世界の出身だってことかな。僕はケンタッキーの郊外に住んでいて、州自体もアメリカの中では田舎のほうだからね。外で遊ぶことが多いというところも似ていて、彼もよく走りまわっていたけど僕も運動することが大好きだ。でも、違うところのほうが多いよ。一つ挙げるとしたら、家庭環境だね。僕はとても家族と仲が良いし、兄弟も弟が1人いるだけで、女の子が5人もいたらそれはクレイジーな状況だなと思う(笑)。あと、ジェスは裕福じゃない家庭の子で、それもちょっと違うね。
今のコメントに対して、補足したりそれは違うと思ったところはありますか?
アナソフィア・ロブ:私が先に言っていい? ジョシュはとても自信があるわ。それはとても良いことよ。ジェスは自信がないから、これが一番大きな違いじゃないかな。それと、これは小さな違いだけど、二人ともアーティスティックではあるけれども、ジョシュは演技、ジェスは絵を描くことが得意よね。
ジョシュ・ハッチャーソン:僕は絵なんて描けないから(笑)。彼女はレスリーにすごく似ていたけど、親との関係がちょっと違うかな。レスリーよりも両親と仲が良いね。レスリーと親との間にあるような少し居心地の悪い距離感というのがないよね? 傍から見ている限りではそう思うけど。
アナソフィア・ロブ:ただ、私たちもティーンだから、親との微妙な関係っていうのはあるわよね(笑)?
ジョシュ・ハッチャーソン:そうそう、僕も時々親と距離が置きたくなるよ。(母親のほうを向いて)嘘、嘘! ママ、愛してるよ(笑)!
テラビシアは誰にとっても存在し得ると思いますが、あなたたちの考えるテラビシアとはどんなものですか?
ジョシュ・ハッチャーソン:自分の人生において抱えている問題から逃げられる場所が、テラビシアなんじゃないかな。その世界に没頭できる場所で、僕にとってそれは今、サッカーなんだよね(笑)。サッカーをしていると人生のあらゆる問題から逃れられるんだ。ゴールを決めるとかディフェンダーを出し抜くとかそんなことで頭がいっぱいになるし、本当に怒ったら相手をケガさせちゃうくらい没頭しちゃうんだ。だからサッカーが、僕にとってはテラビシアかなと思うよ。
アナソフィア・ロブ:テラビシアは現実に起きている問題を、自分自身でコントロールできる安全な場所じゃないかと思うの。その問題への対処もすごく楽しいやり方でできるし、自分を助けてくれる友達と一緒に解決することもできる場所じゃないかしら。私にとってのテラビシアは家族やいとこたち、本を読むこと、そして時によっては演技もそうだわ。
ジェスとレスリーは二人だけの場所を見つけて、そこを空想の王国にしましたが、ご自身にとって秘密の場所はこれまでありましたか?
アナソフィア・ロブ:今はもう、ないかな~。でも、ここで言ってしまったら秘密にはならなくなるわね(笑)。秘密ってわけじゃないけど、大きくなってきたら、以前よりも自分の部屋で過ごすことが多くなったの。宿題も自分の部屋でやるし。家に帰ってきたら、みんなに「ただいま」って言ってから、水を持って自分の部屋に行って扉を閉めちゃうって感じ。心が落ち着くの。小さい頃はもっと親と居間にいたし、母親が夕食を作っているときにキッチンでおしゃべりをすることも多かったんだけど、今は自分自身と付き合うほうが多いかな(笑)。
ジョシュ・ハッチャーソン:僕も今はないな。小さい頃は弟と一緒に、椅子やシーツなんかを使って秘密の要塞を築いたりしていたよ。僕たちは秘密だと思ってたんだけど、よ~く考えてみると、居間の真ん中に巨大な要塞なんて、秘密でもなんでもなかったね(笑)。枕とかいろいろな物を中に隠してたんだけど、見たら分かるだろう!って(笑)。一応、これが僕の秘密の場所だったね。今はそういうものはないよ。だって、人に隠さなければいけないようなものは何一つないから。
映画の中の二人のように想像力を保ち続けるためには、何が大切だと思われますか?
ジョシュ・ハッチャーソン:肉体と同じことだと思うんだけど、ある程度すっきりした体型を保ちたいんだったら、エクササイズを欠かせないわけで、想像力も同じだと思うんだ。俳優として想像力を使う機会が多いので、かなり豊かな想像力は持っていると自負しているよ。だから、想像力を保つには使うことが一番大切だと思うね。
アナソフィア・ロブ:想像力を保つために重要なのは、心をオープンにすることね。世界に対しても人々に対しても、あるいは人々のアイデアに対してもオープンでいることが大切だと思うの。そうすればいろいろなことが学べるわ。自分が想像もしなかったアイデアに出合って、新たな道が開けるかもしれない。これまで想像したこともないようなアイデアに耳を傾けて、それについてよく考えてみたり、本を書くなんてことだってあるかも。心さえ開いていたら、何でもありだわ。
尊敬する俳優は?
ジョシュ・ハッチャーソン:どんな俳優も皆同じ仕事をしているわけで、年齢に関係なく、年配の人も若い人も、経験が豊富でも少なくても、同じだけ尊敬に値すると思ってる。ただ、個人的に尊敬しているのはまず、ジェイク・ギレンホールさんで、彼が選ぶ映画も演じ方もすごく好きなんだ。あと、ポール・ベタニーさんという俳優がいるんだけど……え、皆さん、ご存じなんだ(笑)? アメリカではあまり知られてないんだよね。彼はちょっと皮肉っぽいところがあって、それが好きなんだ。コメディもドラマもこなせる俳優さんだね。
アナソフィア・ロブ:ジョシュと同じで、どの俳優さんも同じだけ尊敬に値するわ。だってこの業界はすごくタフで、ここで生きるのはすごくガッツが必要だから。その中でも、シャーリーズ・セロンさんとの仕事は素晴らしかった(註:『Sleepwalking』(07)で共演)。彼女は私のお手本だわ。とても強い女優さんだけど、私の良い友達でもあって、大きな支えになってくださったわ。あと、大好きな女優さんはナタリー・ポートマンさん。どんな役を演じているときも素晴らしく、大学に通いつつ、今もAリストの女優さんとして活躍しているし、出演作もバラエティーに富んでいて、コメディでもドラマでも演じられる方よね。
ナタリー・ポートマンに似ていますよね?
アナソフィア・ロブ:たまに言われるわ。自分ではそう思えないんだけど(笑)。
初めて会ったときから仲良くなったというだけあって、とにかく仲の良い様子の二人。仲良しすぎて影響されてしまうかのように、同じ答えになってしまうこともしばしば。ジョシュくんは映画に出演時よりかなり大人びた印象。アナソフィアは、あの『チャーリーとチョコレート工場』のチョー生意気なお嬢役が強烈だったが、素顔の彼女はむしろ、『テラビシアにかける橋』のレスリーと近い雰囲気で、とってもキュート! これからも、さまざまなハリウッド映画で活躍すること間違いなし!の二人だ。
(取材・文・写真:Maori Matsuura)
公開表記
配給:東北新社
2008年1月26日(土)より 渋谷東急ほか全国松竹・東急系にて拡大ロードショー