ペドロが映画を作っているところを見ると、それが彼の人生で一番大切なことなのだと分かる
スペインの巨匠ペドロ・アルモドバル監督の新たなる究極の愛の物語『抱擁のかけら』。タッグは4度目となるアルモドバル監督のディーバ、アカデミー賞®女優のペネロペ・クルスがインタビューに応えた。
ペネロペ・クルス
『ライブ・フレッシュ』(97)、『オール・アバウト・マイ・マザー』(98)、『ボルベール<帰郷>』(06)への出演に続き、本作でペドロ・アルモドバル監督と4度目のチームを組んだ。
1974年、マドリード生まれ。クリスティナ・ロタのスクールで演技を学んだ後、10代でデビュー作『ハモンハモン』(92)に出演。既にこの作品において、将来的な成功を思わせるような類稀な演技力を示し、一流のスペイン人監督たちの注目を集めた。その後、フェルナンド・トルエバ監督の『ベル・エポック』(92)、アレハンドロ・アメナーバル監督の『オープン・ユア・アイズ』(97)、ゴヤ賞主演女優賞を受賞した『美しき虜』(98・未)、スティーヴン・フリアーズ監督の『ハイロー・カントリー』(98)、ビガス・ルナ監督の『裸のマハ』(99)、ビリー・ボブ・ソーントン監督の『すべての美しい馬』(00)、『ウェルカム!ヘヴン』(01)、テッド・デミ監督『ブロウ』(01)、ジョン・マッデン監督の『コレリ大尉のマンドリン』(01)、キャメロン・クロウ監督の『バニラ・スカイ』(01)、セルジオ・カステリット監督・主演の『赤いアモーレ』(04)、『恋愛上手になるために』(07)、ウディ・アレン監督の『それでも恋するバルセロナ』(08)、ロブ・マーシャル監督の『NINE』(09)などに出演し、見事な国際的キャリアを積み上げている。
『赤いアモーレ』で、ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞、ヨーロッパ映画賞観客賞最優秀女優賞を獲得。また、この作品により、「ニューヨーク・タイムズ」紙の04年の女優ベスト10に選ばれた。『ボルベール<帰郷>』では、共演女優たちと共にカンヌ国際映画祭最優秀女優賞を分かち合った。さらに、ヨーロッパ映画賞、ゴヤ賞を受賞し、米アカデミー賞®、ゴールデン・グローブ賞、英アカデミー賞にノミネートされた。『それでも恋するバルセロナ』では、米アカデミー賞他、10以上の各賞において最優秀助演女優賞を受賞した。
本作についてアルモドバル監督が初めてあなたに話したのはいつでしたか?
作品の役柄について、彼はいつも何ヵ月も前から話してくれるわ。1年前のこともある。この映画のことを話してくれた時、彼がとても撮りたがっていて、私に演じさせたいと思っているのがよくわかったわ。私は何もかも忘れて飛びこむだけ。だから自由でいられるの。
この作品も物語性の高い作品です。どうしてアルモドバル監督はそれほどまで、そういう作品に惹きつけられるのでしょう?
ペドロのような人たちは芸術にとても思い入れがあるのだと思う。彼が映画を作っているところを見ると、それが彼の人生で一番大切なことなのだと分かる。彼はマテオというキャラクターに共感しているように思うわ。いい映画、いい本、いい音楽は、私たち皆にとって、人生の時を刻んでくれるようなものだと思うの。食べ物みたいに栄養を与えてくれる。私は小さい頃から芸術と一緒に育ってきたから、私の人生のとても大切な一部になっている。私にとって欠かせないものなの。もし私が女優じゃなかったら、カメラの裏側の作り手がどんなものか、見てみたいわ。
レナ役をどのように準備されましたか?
毎日ペドロのオフィスで、一緒に3ヵ月半リハーサルしたの。監督ごとにやり方は違う。でもペドロとはいつもそんなふうに作業するわ。それに監督やほかの俳優たちとのそういう時間が、私は好きだわ。何かを見つけるための時間。間違ったって構わないし、ひとつのシーンをいろいろなやり方でトライできるから。
アルモドバル監督が、あなたの美しさを称える映画をもう1本作ってくれましたね。
ありがとう。でも……分からないわ。もし演じるキャラクターが美しく見える必要があれば、そのキャラクターのために、そう見えるように努力する。もし醜悪に見える必要があれば自分のエゴを捨て去るべきだわ。演じるキャラクターが必要とするものが全てだから。
アルモドバル監督の演出ならば、大胆なシーンを演じることに、より安心感がありますか?
撮影現場ではいつも恐怖を感じるわ。最初の週は自分が降ろされてしまうんじゃないかと、自信がなくなるの。いつだってそう感じるわ! ほとんどの俳優がそういう恐怖を感じていると思う。でも誰よりも私にそう思わせる監督が、ペドロなの。彼のことをとても大切に思っていて、彼を失望させたくないから。私たちには友情があるし、私に何度も何度もチャンスを与え続けてくれる人だから、絶対に彼を失望させたくないのよ。
米アカデミー賞®を獲得されて以来、あなたの生活はどう変わりましたか?
何もかも、とても速く過ぎ去っていく感じがするわ。数ヵ月か、1年くらい、仕事から離れる必要があると思う。すべてのことを、そしてこの出来事を、ちゃんと消化するためにね。
アルモドバル監督が、あなたのことを、子どもをもちたいと思う唯一の女性だと言っていました。それをどう解釈しますか?
えっ? たぶん、それは彼のジョークだと思う。それを報道の場で言ったの!? それなら……でも、たぶんジョークだわ。分からないけど、ジョークかどうか聞いてみるわ。でもきっとジョークよ。ペドロってそういう人だもの!
公開表記
配給:松竹
2010年2月6日より新宿ピカデリー、TOHOシネマズ六本木ヒルズほか全国にて公開
(オフィシャル素材提供)