同じ役を長い間演じていたから作品の中で成長できた気がする
今世紀最大のミステリーと絶賛され社会現象を巻き起こした、北欧スウェーデン発の壮大なトリロジー『ミレニアム』シリーズ。ミステリアスなヒロイン・リスベット役に抜擢され、一躍国際的スターとなったノオミ・ラパスがインタビューに応えた。
ノオミ・ラパス
1979年12月生まれ。ストックホルムの高校でドラマのレッスンを始める。07年「Daisy Diamond」での演技でデンマークの映画賞を2部門受賞。演劇学校に通っていない独学の彼女だが、配役が難航していたリスベット役のオーディションで即決された。役作りのためバイクの免許を取得、髪を切り、ボクシングを習い、眉、唇、耳、鼻にピアスをつけることで外見を変えた。『ミレニアム』シリーズの成功で一躍国際的なスターに。待機作はペルニラ・アウグスト監督『Svinalangorna』。
リスベットという役は非常に興味深い役ですが、肉体的にはかなり厳しかったと想像します。役作りは大変でしたか。
格闘技のトレーニングをしたわ。キックボクシング、タイ・ボクシング、ボクシング。独自のスタイルをもつトレーナーと一緒にスタイルを作り上げていったの。
そして新しいダイエット法も。食事療法の専門家をつけて皮下脂肪を減らし、男性的な体になるよう指導を受けたわ。リスベットはある意味、少年みたいだから。女の子っぽさがイヤな女の子の役だし、いつも女性だという見方をされたり、判断されたくないから、彼女はそういった態度や肉体を身につけているのよ。自分本来の肉体とは複雑な関係にあるのね。だから、男とも女とも性行為に及ぶのだと思う。ゲイではないけれど、性的な存在として見られたくないのだと思う。
人気の高い本のキャラクターを演じるときは、どうしても人から期待されてしまいますね。(世界40ヵ国2600万部の大ベストセラー)
そう。頭痛の種よね。でも私は強いて批判や期待、それに映画の観客について気にしないように努めたの。撮影は、本当に細かいし、辛いし、すごく地味だし、血みどろで寒い。本当に現実離れしていて細かい作業だわ。それでも、すべてを忘れて取り組む価値があるのよ。いろいろなことから距離を置いてね。
リスベットとミカエルとの関係について話してもらえますか。この三部作の二人は一貫して特別な関係にあります。ある意味、非常に奇妙な愛情関係です。とはいえ、彼らはお互いを補い合い、異なる側面をもっています。
彼女は感情的に未発達なところがあるわね。関係や感情や他人と大きなトラブルを抱えているの。1作目では、ミカエルとの状況は最終的には少し心を開くまでが描かれているけど、それは彼らが二人で成すべき仕事があったからだわ。
彼と彼女の間にはある種の信頼があって、それが発展して、彼に心を開く機会を与えることになる。私は、彼女は彼を愛していると思う。でも彼女が彼に心を開いたと認めることは決してないと思うから、とても悲しい恋だわ。
過激なシーンも多い作品ですが、あなたはそのようなシーンを演じるとき、どのような気持ちで挑むのでしょう。
いつもあるのは、台本との闘いだわ。それから、自分の考えとの格闘ね。映画の仕事を受けることに同意し、脚本に賛同したことについて考えるの。それから、私の全部を投げ出して自分に賭けて、ベストを尽くす。したくないことが出てきたら、前もって「このシーンはしたくありません」と伝えるべきだわ。私にもしたくないことはある。自分なりの限界があるわ。絶対にしないこと、したくないこと、自分に起きてほしくないことがある。これまでそれを守ってきたわ。いつもそうだけど、一緒に仕事をする人が信頼できるか、意見が一致しているかが一番大事だと思っているの。
これほどの大作に出演する気持ちはどのようなものでしょう。
これほど長期にわたる作品に出たのは初めてでハードだったわ。最後は何がどうなって、自分が誰かもわからなくなりそう。でも、そうね、同じ役を長い間演じていたから作品の中で成長できた気がする。汗水たらして辿りついた先には、完全燃焼が待っているということね。
公開表記
配給:ギャガ
シネマライズにて連続公開中!
(オフィシャル素材提供)