作品紹介

『母という名の女』

© Lucía Films S. de R.L de C.V. 2017

イントロダクション

 メキシコのリゾートエリア、バジャルタの海辺に建つ瀟洒な別荘。そこに二人きりで住む姉妹のもとに、長い間疎遠になっていた美しき母アブリルが戻ってきた。17歳の妹バレリアは同じ歳の少年マテオとの間に子供を身ごもっており、突然舞い戻った母は献身的にバレリアの面倒をみるのだが、娘の出産をきっかけに、自身の影のある深い欲望を忠実に遂行していく……。母にいったい何が起きたのか? 彼女はそもそもいったい何者なのか――? 闇を覗き込んだ母娘の緊張感あふれる関係にメスを入れ、母、あるいは家族という幻想を吹き飛ばす、『父の秘密』『或る終焉』のミシェル・フランコ監督、衝撃のミステリー『母という名の女』がついに公開となる。
 フランコ監督は、陰湿極まりないイジメで自分の娘を傷つけた少年たちに凄惨な復讐をする父親を描いた『父の秘密』(12)で、第65回カンヌ国際映画祭の「ある視点」部門グランプリに輝き、続いて、末期ガンの患者から安楽死幇助を頼まれたティム・ロスの演じる看護師が苦悩する姿を描いた『或る終焉』(15)で、第68回カンヌ国際映画祭の脚本賞を受賞。本作においても第70回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門審査員賞を受賞、カンヌの申し子と言われる所以である。これまでの作品でも、崩壊に瀕した家族、人間の内に潜む理不尽な暴力性、あるいは生と死という切実なテーマをめぐって、一作ごとに新たな問題提起を行い、国際的な名声を博してきた。本作でも、ふたたび家族という主題をめぐって意想外な視点からスポットを当て、観る者を不穏で不安定な世界へと導いていく。
 ミシェル・フランコ監督はこれまでにも、モラルの重圧に苦しみ、その結果としてモラルを逸脱してしまう普通の人々を定点観測するように、冷徹なまなざしで描いてきた。そしてこの『母という名の女』では、母性という神話をこなごなに打ち砕き、崩壊した家族の無慈悲なまでのありようをむき出しにさせてしまうのである。人間こそが最も恐ろしく、さらには、人に姿を変えた怪物は日常に潜んでいる。「母」という不条理な存在に楔を打ち込む、衝撃のミステリーの誕生である。

© Lucía Films S. de R.L de C.V. 2017

ストーリー

 海沿いの家に二人で暮らす姉妹。17歳の妹・バレリアは妊娠しており、姉・クララは離れて暮らしている母親・アブリルを電話で呼び寄せる。
 お腹の中の子供の父親は、クララが経営する印刷所でアルバイトしていた17歳の少年・マテオ。姉妹の元に訪ねてきたアブリルは、クララやマテオと会話を重ね、バレリアの不安を和らげるように接し、母親に不信感を抱いていたバレリアも徐々に母を信用し、そして無事に女の子が生まれ、カレンと名付けられる。
 バレリアの代わりにカレンの世話をしているうちに独占欲がアブリルの中に芽生える。カレンを自分の管理下に置こうとするアブリルに反発しはじめるバレリア。娘との関係が悪化していく中、ついにアブリルは深い欲望を忠実に遂行していく。

 (英題:April’s Daughter、2017年、メキシコ、上映時間:103分、PG12)

スタッフ&キャスト

 監督・脚本・製作・編集:ミシェル・フランコ
 撮影:イヴ・カープ
 出演:エマ・スアレス、アナ・バレリア・ベセリル、エンリケ・アリソン、ホアナ・ラレキ、エルナン・メンドーサほか

ギャラリー

予告編

オフィシャル・サイト(外部サイト)

映画「母という名の女」
『或る終焉』『父の秘密』でその才能を知らしめた、ミシェル・フランコ監督新たな衝撃のミステリー!

公開表記

 配給:彩プロ
 2018年6月16日(土)より ユーロスペースほか全国順次ロードショー

(オフィシャル素材提供)

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