イントロダクション
『恐怖の報酬』(1977)は、『フレンチ・コネクション』(1971)でアカデミー賞®作品賞・監督賞ほか5部門受賞、『エクソシスト』(1973)で全世界にオカルト・ブームを巻き起こした巨匠ウィリアム・フリードキンが、フランス映画史上の傑作、アンリ=ジョルジュ・クルーゾー監督の『恐怖の報酬』(1953)のリメイクに挑んだサスペンス超大作。ユニバーサルとパラマウントという2大メジャー・スタジオが、当時破格の2000万ドル(現在の100億円相当)以上といわれる製作費を共同出資。ロケは、北米、南米、ヨーロッパという3大陸、アメリカ、フランス、イスラエル、メキシコ、ドミニカ共和国という5ヵ国に及び、2年を超える製作期間を費やしてようやく完成した。
クルーゾー版以上に荒々しく、スケール大きなサスペンス場面が連続するが、中でも巨獣のようなトラックが、暴風雨に揺れる崩壊寸前の大吊り橋を渡るクライマックスは、手に汗握る緊張と興奮、驚異の臨場感で見る者を圧倒する。灼熱の熱帯雨林を舞台に、男たちの欲望、執念、裏切り、罪と罰、孤独と絶望、そして人智を超えた存在に操られているかのような彼らの運命を、冷酷非情なリアリズムで描き切ったこの作品について、フリードキンは、今もって1コマも修正する気にならないほど気に入っている自らの最高傑作、と語っている。
主演は『JAWS/ジョーズ』『オール・ザット・ジャズ』の名優ロイ・シャイダー。そして世界各国からフリードキン好みの性格俳優が結集。フランスからは『まぼろし』のブルーノ・クレメル、スペインからは『バロック』のフランシスコ・ラバル、そしてモロッコからは『RONIN』のアミドゥが出演し、白熱の競演を繰り広げている。
また、ジャーマン・プログレッシブ・ロックの雄、タンジェリン・ドリームが、本作で初めてハリウッド大作のサントラを手掛けたことも話題となった。戦慄夢幻のシンセサイザー・サウンドが、密林を異世界のように彩っている。
ストーリー
南米奥地の油井で大火災が発生。祖国を追われ、その地に流れてきた4人の犯罪者は、ひとり1万ドルという「報酬」と引き換えに、わずかな衝撃でも大爆発を起こす消火用ニトログリセリン運搬を引き受ける。
2台のトラックに分乗した男たちは、火災現場まで道なき道を300キロ、ジャングルの奥へと進んでいくが、その先に待ち受ける彼らの運命とは――。
(原題:SORCERER、1977年、アメリカ、上映時間:121分)
キャスト&スタッフ
監督・製作:ウィリアム・フリードキン
脚本:ウォロン・グリーン
原作:ジョルジュ・アルノー
音楽:タンジェリン・ドリーム
出演:ロイ・シャイダー、ブルーノ・クレメル、フランシスコ・ラバル、アミドゥ、ラモン・ビエリほか
ギャラリー
予告編
公開表記
配給:コピアポア・フィルム
11月24日(土) シネマート新宿、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次ロードショー
(オフィシャル素材提供)