登壇者:高良健吾、西川可奈子、安部賢一、三宅亮輔、安里麻里監督
KADOKAWAとハピネットの共同製作によって、閉塞気味のこの映画界において「リミッターを外せ!」を合言葉に、あえてタブーとされる題材をテーマに、クリエイターたちの感性と才能を思うままに爆発させた、“ジャンル映画”の中でも特にエッジの立った作品を共同で開発、発信していくプロジェクト『ハイテンション・ムービー・プロジェクト』を立ち上げた。記念すべきプロジェクト第一弾は4月12日公開『殺人鬼を飼う女』。そしてプロジェクト第二弾となる『アンダー・ユア・ベッド』(配給 KADOKAWA)は7月19日(金)より公開となる。メガホンを取ったのは安里麻里監督。黒沢 清監督、塩田明彦監督の助監督を経て、『バイロケーション』『劇場版零~ゼロ~』『氷菓』など着実に確かなファンを獲得している期待の女性監督。原作は大石 圭の人気ベストセラーの同名小説。
そしてこの度、本作の完成を記念し、舞台挨拶付き完成披露上映会が実施された。舞台挨拶には主演の高良健吾、ヒロイン西川可奈子、安部賢一、三宅亮輔が登壇した。30歳の節目の年に撮影した本作を「ご褒美だった」と語る高良の怪演っぷりや、体当たりの演技で観るものを魅了する西川の撮影現場での裏話など、数々のセンセーショナルなシーンを含んだ本作の撮影秘話をたっぷりと話した。さらに、人間の裏と表を炙り出す本作にかけて、“実は影でこっそりしている密かな楽しみ”を大公開! 高良からヒロイン・西川へ本作のキーアイテムの花束贈呈、そして原作者・大石圭先生からキャスト・監督へサプライズメッセージ! この一夜限りの豪華な完成披露上映会は大盛況のうちに幕を閉じた。
平日の夜にも関わらず、本作を一早く鑑賞するチャンス掴んだ観客が今か今かと待ちわびる満員の会場の中、イベントはスタート。会場後方より客席を抜け、最初に登壇したのは本作の主人公、三井役を演じた高良健吾、佐々木千尋役として、体当たり演技をこなした西川可奈子、千尋の夫で千尋に暴力をふるう旦那である、佐々木健太郎役を演じた安部賢一、学生時代の千尋の彼氏役を演じた三宅亮輔、そして、最後に前に追いつこうと駆け足で登壇した安里麻里監督。5名がにこやかに登壇した。
完成披露上映会を開き、今の気持ちを聞かれると高良は「今日は、『アンダー・ユア・ベッド』を劇場に観に来て下さりありがとうございます。個人的には、30代最初の年の作品になったので、いろいろな想いが詰まって、自分ではあまり思ったことないような欲、『結果がほしいな』と思った、自分の中では不思議な現場でした。やっと公開されることになり嬉しいです。今日は楽しんでいってください」と挨拶。西川は「やっと!皆さんに本作を観てもらえるんですね、本日は誠にありがとうございます」安部は「今日はゆっくりご覧になっていってください。ありがとうございます」挨拶。三宅は 「初めての映画出演でしたが、最初の出演がこの作品で、そして、皆さんとご一緒できて大変うれしく思います」挨拶。安里は「初めて一般のお客様に観てもらえると思うと、今日やっとこの映画の一歩を踏み出せたんだと実感しております。本日はよろしくお願いいたします」と挨拶。
オファーを受けた裏話を聞かれると、高良は「久しぶりに10代後半に演じてきたヒリヒリした痛々しい役が来たなと思いました。当時10代の自分は役の問題を自分の問題にしてしまっていました。『こうじゃないといけない』『そうあるべきだ』と考えていて、そのまま役者を続けたらどこかで不具合が起こすんじゃないのかって思ってきて、どうしたらいいんだろうとずっと20代も考えて、そして、30代になって改めて演じることになって、三井の問題を自分の問題にしすぎないで、どう表現できるかが楽しみ」と話すと、司会から「演じる上での次の一歩になったのが三井ですか?」と問われた高良は「感じたことないことでやってみるっていうことでは、最初」と語った。 安里監督は高良がキャスト決める前にイメージしていたという「三井というキャラは繊細で不安定な人物なので、あえて面のいい人に振り切った演技をさせることをやってみたい。実を言うと、イケメンを汚してみたいと思っていました。ごめんね高良さん、初めて白状する(笑)」と当時の思いを吐露した。
千尋役について聞かれると、監督は「オーディションで選ぶときたくさんの魅力的な人がいる中、西川さんを一目見てしまったときに、あどけなさのような感覚が見えて、どんなに過酷なことがあっても心が汚れない人、永遠に擦れない人だと感じて、西川さんが千尋を演じてくれたら、彼女だからこそ出せる切なさや切実さが生まれるような気がして決断しました」と振り返ると、西川は「今までに感じたことのないオーディションだったんです。すごく居心地がよくて、きっとリラックスさせてくれたんだろうなぁって思いました。終わった後も絶対に受かりたいって気持ちがあふれて、決まった時はすぐに母親に電話しました」と当時の心境を語った。
安部は「千尋役のオーディションの時からお手伝いとして健太郎役で参加していて、西川さんと演技したとき、スタッフのみんなは『あっ! みつけた!』って顔をしてたんです。僕はこの子が決まるんだなってスタジオを後にしたんですけど、後日連絡があって、『健太郎役で』って『あっ! 決まってなかったんだ』ってビックリしたんですよ(笑)」とキャスティングが決まった当時のエピソードで会場の笑いを誘った。
健太郎の暴力シーンについても安部は「気持ちが入ってしまって」というと「そうです、段取りにないビンタが何発あったことか。でもそれがあってリアリティのあるリアクションがとれたので、ありがたかったです」と西川が当時の撮影現場を振り返ると、「そんなやり取りを高良さんはベッドの下でご覧になっていたんですね(笑)」と聞かれた高良は、「見てましたねー。軋んでいました。ベッドの下ってこんな感じなんだなぁって(笑)」と、不思議な感覚だったと語る。続けて高良は「この作品をやるからには覚悟を決めていたんですけど、ここまでやるのかって思いました。最近はこういう痛々しいものとか隠して伝えるのに、この映画の現場に入った時に全部見せていくんだなって分かって、面白いなぁって思いながらもベッドの下にいました」と語った。
その後、サプライズ企画として、ヒロインの西川に高良から、とてつもない熱量で本作を完成させた安里監督に安部から花束が贈呈された。高良から西川に花束が渡った時、「やっと直接渡せました(笑)」と喜ぶ高良だった。そして、もうひとつのサプライズとして原作者・大石 圭のメッセージが読み上げられることに。今回の上映会にも足を運んでおり、3回目の鑑賞となったそうだ。「映画と小説とはまったく別のものと思っている。映画には時間の制限があるから小説のすべてを表現することは不可能なのだ。だから、小説で表現したかった全てを映画で表現してほしかったっと思うことはなかった。しかし、この『アンダー・ユア・ベッド』は違っていた。この映画には僕の表現したかったことすべてが、ほんの少しも端折られることもなく、完全に凝縮されていた。高良さん、西川さん、安部さんが実際に演じたことで映画は小説よりさらに凄みのあるものになったと感じる。多くの方にこの作品を観てもらいたい」と本作を絶賛し拍手が巻き起こった。コメントを聞いた西川は涙ぐみながらも 「原作と映画の千尋はどこかし違うところがあると思うのに、原作者の大石先生にこう言っていただけることが本当にうれしいです。ありがとうございます」と感謝を述べた。
最後に安里監督は「私が言いたいのは、この作品は見返りを求めない愛の物語だと思っています。内容はハードだし重いかもしれないけど、逃げずに隠れずにちゃんと向き合って撮ったからこそ伝わるものが詰まっているものと思います。みんなで作ったこの思いが皆さんに刺さるといいな思います」、高良は「この作品は包み込むものじゃなくて、見ている人を傷つけるところもあると思うのですけど、僕自身も映画に傷つけられて初めて感じることは未だに残っていて、それがどこか自分の支えや助けになってくれているので、ぜひ楽しんでください」と本作に込める想いを語り、イベントは幕を閉じた 。
公開表記
配給:KADOKAWA
2019年7月19日(金) テアトル新宿ほか全国ロードショー
(オフィシャル素材提供)