映画『Red』の完成披露プレミア上映会が都内で行われ、舞台挨拶に主演の夏帆、共演の妻夫木聡、柄本 佑、間宮祥太朗、メガホンをとった三島有紀子監督が出席して1年前に撮影されたという本作についてクロストークを繰り広げた。
本作は、島本理生の女性の本音をえぐった同名官能小説『Red』を三島監督が禁断の映画化。何も問題のない結婚生活を送っていたはずの主人公・村主塔子が、かつて愛した男・鞍田秋彦と再会し、心を揺さぶられるさまが描かれる。
メガホンを取った三島監督は「ヒロインの塔子は難しい役柄で、この難しい役を誰がやってくれたら自分が撮りたいかと考えたとき、夏帆さんの顔が浮かびました」と、塔子役を夏帆に決めたいきさつを語った。
主演の村主塔子役を務めた夏帆は「主演として呼んでいただけて、生半可な気持ちじゃできないなと思い、覚悟を決めて臨みました」と意気込みを熱く語り、三島監督との充実した撮影を振り返った。
塔子の人物像については「掴みどころがない人物で、悩みながら演じていました。私自身も塔子と一緒に悩みながら演じていた感じです。監督とも現場で話し合いながら、一緒に作っていったという感覚があって、そんな環境にいられたことは幸せなことだったなと思います」と真摯に語った。
夏帆の演じる塔子の人生に大きな影響を与える鞍田秋彦役を務めた妻夫木は「役作りの中で、僕自身が塔子をずっと見守り続けていくことが大事だな。『想う』ということが大事なのかなと考え演じていました」と自身の役作りについて語った。また、夏帆の印象を「『嘘のない方』。すぐ顔に出るんです。そんなところが好きですね。最後までずっと闘っていた姿が素晴らしい女優さんだなと思って見ていました」と笑顔でコメント。
夏帆は(妻夫木の感想に)「すいません。すいません」と何度も謝りながら「言い訳ではないすが、すごく悩んでいるということをすべて(妻夫木さんに)ぶつけていこうって思ったんです。すべて顔に出ていたと思うんですが、妻夫木さんはすべてを受け止めてくださって、それが塔子と鞍田(妻夫木)の関係に出ていたような気がします。すべて受け止めてお芝居をしてくださるという安心感があって、それはありがとうございました」と妻夫木に感謝の気持ちを伝えた。
塔子に好意を抱く同僚の小鷹淳役を務めた柄本は「鞍田と塔子が深刻な間柄だったので、僕は爽やかな塔子の笑顔を引き出せたらいいかな、と思いながら演じていました」とコメント。
塔子の夫・村主真役を務めた間宮は、(親子の)役作りのために夏帆と娘役の子役の3人で遊園地に行ったことを明かし、「休日のような時間で、ただただ楽しかった」とにっこり。夏帆も「3人で本当に幸せな時間でした」と同調していた。ただし、遊園地ロケの後、夏帆は別の撮影が入っており、「同じ日に妻夫木さんとキッチンスタジオを借りてシチューを作るという、一体なんの日なんだろうって……」と苦笑しながら話した。
当日は、舞台上に、999本のバラで作られた「Red」のロゴのバックボートが用意されていた。バラの花言葉は本数によって変化するそうで、999本のバラは、「生まれ変わってもまた愛する」という意味。
999本のバラの花言葉にちなんで、「生まれ変わっても愛し続けたいもの」を聞かれ、三島監督は「一緒に映画を作ってくれる人を愛します!」ときっぱり。柄本は「映画と映画館」と映画愛を前面に押し出す。間宮はずっと幼いころからファンだという「阪神タイガース」と打ち明け、会場から爆笑をさらう。妻夫木は、「(生まれたばかりの)我が子ですね。一生見ていられる……」と優しいパパの顔に。夏帆は「猫です。2匹飼っているんですけど、本当にかわいいんですよ!」と大興奮だった。
最後に三島監督は「宿命の愛の映画だと思って作りました。女性の人生の選択の映画です。いろいろな選択があって、自分が一番大切にしているものは何だろうかと考える映画になっています」。夏帆は「何を選び取って何を選択して生きていけば、いいんだろうと考えながら塔子を演じました。観終わったあとに人と語り合いたくなるような作品になっていると思います」と客席にメッセージを伝えた。
登壇者:夏帆、妻夫木聡、柄本 佑、間宮祥太朗、三島有紀子監督
(取材・文・写真:福住佐知子)
公開表記
配給:日活
2020年2月21日(金)より新宿バルト9ほか 全国ロードショー!