女だけが暮らす男子禁制の山奥の集落を舞台に、監督自身の過去の体験に根ざした母と娘の物語を描いた映画『クシナ』は、早稲田大学大学院の修士制作作品ながら、大阪アジアン映画祭2018に正式出品され、プロの監督の作品を抑え、JAPAN CUTS Awardを受賞。北米最大の日本映画祭であるニューヨークのJAPAN CUTSに招待され、独特の感性と映像美によって支えられる世界観は海外レビューでも高い評価を獲得。
映画『クシナ』のタイトルロール・奇稲<クシナ>は14歳だが、演じた郁美カデールは、撮影当時9歳。今年の7月で14歳になった郁美カデールを、森の中で、映画そのままの世界観で、映画本編の撮影も担当した村松良が撮影したスチール写真を投稿するインスタグラム(@kushina_after_4years)もほぼ毎日更新している。この度、本作主演で女優デビューを果たした郁美カデールのオフィシャル・インタビューが到着した。
郁美カデール
2006年7月8日生まれ。神奈川県出身。
2012年6歳からモデルデビュー。小学館「ぷっちぐみ」専属モデルを4年間務めたのちTVCM、PVにも出演。
2018年には映画『クシナ』で主演として女優デビュー。2019年にモデル・女優の土屋アンナに直接スカウトされ前事務所に所属。
現在はショーを中心に活動の場を広げている。
撮影数日前に作品撮りの1枚の写真が奇跡的に監督の目に留まり、本作が映画デビューとなったと聞きましたが、本作への出演は、どのようにして決まったんですか?
知り合いのヘアメイクさんから電話がかかってきて、「今から来られないかな?」と言われて、行ったら、主演のお話をいただきました。やってみたいなとすごく思いました。山梨県でも撮影があるとのことだったので、9歳だったから、お母さんがすごく心配して反対していたんですけれど、自分が「やりたい」と何度も言って、出演することになりました。
映画初出演にして主演デビューとなりましたが、演技は今までしたことはあったんですか?
全くなかったです。本当に初めての経験で、どうすればいいのか最初はすごく不安だったんですけれど、監督に「演じなくて、そのまま、素のまま、郁美ちゃんのままでいいんだよ」と言ってもらえました。クシナを演じるというよりも、自分らしく楽しく撮影することができました。
9歳の時に14歳の役を演じましたが、監督は何か言って下さいましたか?
監督さんが、「クシナと郁美ちゃんは似てるね」と言ってくださって、自信がついて、すごく楽しく撮影できました。
お母さん・カグウは、14歳の時にクシナを生んでいるという設定で、映画の中では28歳で、あまりお母さんに見えません。カグウに関してどのように考えて演じていましたか?
(クシナはカグウのことを名前で「カグウ」と呼ぶので)私はカグウのことを特にお母さんと思わずに演じていたんですが、言われてみると、確かにそうですね。クシナから見て、あまり愛情を感じなかったです。カグウが三つ編みしているところは愛情を感じたけれど、遊んでくれるとかはなかったなと思います。クシナはすごく寂しかったんだろうなと思います。で、最後のほうになってカグウは少しずつ優しくなっていくんですけれど、クシナに対して少しずつ考え方が変わっていったんじゃないかなと思います。
カグウ役の、廣田朋菜さんとの共演はいかがでしたか?
自分が泣きながら話すシーンで、一瞬セリフを忘れてしまったことがあったんですけれど、優しくアドリブで繋げて、思い出させてくれました。
おばあさん・オニクマ役の、小野みゆきさんとの共演はいかがでしたか?
小野さんは、かっこいいなと思いました。一緒に演技をしたシーンで、自分が想像していたこととは違う演技をされて、本当に迫力がありました。目力がすごくて、かっこいいな、とすごく憧れました。お母さんとも「本当に素敵な人だったね」とずっと言っています。
完成した映画を観たときの感想はいかがでしたか?
クシナはその当時の9歳の自分とは合うかもしれないけれど、クシナと同い年になった今考えてみると、生活が全然違うなと思います。私はスマホとか友達とか学校とか、普段の生活で楽しいことがいっぱいあるけれど、クシナはそういうものがなくて、山の中で1人で遊ぶだとかそういう生活をしているので、少し寂しいのかなと思います。人類学者の蒼子さんと会った時に、一緒にいたいと思うのも当然だろうなと思いました。
読者の方にメッセージをお願いします。
お母さんとクシナの関係性について考えながら観て欲しいなと思います。人類学者の蒼子さんが入ってから、少しずつ関係が変わってくるので、そこを注目して観て欲しいです。ぜひ劇場でご覧ください。
公開表記
配給宣伝:アルミード
7月24日(金)よりアップリンク渋谷ほかにてロードショー
(オフィシャル素材提供)