日本芸術センター映像グランプリ&湖畔の映画祭 主演俳優賞(星能 豊)受賞、渡邉高章監督作『土手と夫婦と幽霊』。アメリカ、ロシア、イギリス、ルーマニア、フィリピンなど海外映画祭を巡業するように上映され、受賞を重ねている本作が、8月6日(金)よりアップリンク吉祥寺ほかにてロードショーが決定した。
小説家の「私」は、葬式の帰りに「高橋」に誘われて、土手沿いに住む「女」の元に行く。「私」は目覚めると、帰る場所も分からず、「女」の家に居座ることになる。思い出せない記憶、不味い食事、ぬるい風呂……輝きを失ったこの世界にはルールがあった。
子どもの目線で日常を追ったモキュメンタリー『サヨナラ、いっさい』や『ボクのワンダー』、「保活」という社会問題を通して核家族を見つめた『ElephantSong -A Tokyo Couple Story-』、令和元年の記憶である『川を見に来た』や、都会に暮らす人々の「別れ」を正面から見つめた『そんな別れ。』や『別れるということ』で、監督・渡邉高章は、インディーズ映画ならでは自由な視点で、普遍的なテーマを描き続けてきた。本作では、男女の一つの最終形として、「夫婦」の姿にスポットを当てている。夫婦とは? その単純な問いかけは、映画をラブ・ストーリーにも、ホラーにも、サスペンスにもしている。
主演はインディーズ映画に愛されてきた星能 豊とカイマミ。そして、これまでも渡邉高章監督作品において重要な役割を果たしてきた舟見和利、小林美萌、狗丸トモヒロ、佐藤勇真、由利尚子、そして、松井美帆が脇を固める。音楽は、映像や舞台のみならず「ドラゴンボール改」などTVアニメにも楽曲提供をしている音楽家の押谷沙樹。
この度、ポスタービジュアルとチラシのビジュアルが解禁となり、渡邉高章監督のコメントが届いた。
渡邉高章監督 コメント
私が普段映画にする題材は、自身が置かれている環境や、日常的に目にする風景による部分が大きいのですが、本作も例外ではありません。本作のテーマは、タイトルにある通り「夫婦」なのですが、おそらく自分が結婚しなければ、生まれなかった映画だったと思います。
ラスト・シーンがまず自分の中にありました。そこから遡って物語を拡げていくわけですが、大半の映画が発想の時点から制作に入るまでに長い期間を要するように、本作の場合、その時間の中で物語は様々な変化をして、最終的に幽霊が登場していました。私は作品の中で、ある種の境界線として「川」や「土手」をモチーフにすることが多いのですが、その世界観に浸食されていったような感じでしょうか。
「映像グランプリ」でグランプリ、「湖畔の映画祭」で星能 豊君が主演俳優賞を戴きました。「映像グランプリ」では、他の映画祭で受賞している名のある作品が多かったので、受賞した時は最初信じられませんでした。
でも、一番嬉しかったのは、主演俳優賞です。星能君は、今までの私の作品にとって、俳優のみならず多大な貢献をしてくれた俳優さんです。受賞した瞬間に見た彼の涙に、初めて本作を作って良かったと思ったのを覚えています。
私にとって、今回が劇場公開デビューということになります。ここまで来るのに大分時間を要しましたね……。私が演出部や制作部で現場にいた頃は、自主製作映画が劇場でかかるなんて想像しませんでしたが、最近の映画館は本作のような映画にも光を当ててくれるようになったので大変ありがたいことです。何より俳優さんたちが喜んでくれています。
より多くのお客さまに観ていただける今回の機会を無駄にしないよう精一杯努めていきたいと思います。
公開表記
配給:アルミード
8月6日(金)よりアップリンク吉祥寺ほかにてロードショー
(オフィシャル素材提供)