映画『桃源郷的娘』は、川端康成の『眠れる美女』をモチーフに、アナーキー老人の爆走する性と妄想力を描いた艶笑コメディ。この度、2022年1月21日(金)からのアップリンク吉祥寺での公開を前に、キャスト・監督によるトークイベントが開催された。
主演の小宮孝泰は、「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2019で北海道知事賞を受賞して、公開に漕ぎ着けて、今日まずはトークイベントということで嬉しく思っています」と挨拶。
本作で川端康成の『眠れる美女』をモチーフにした理由を聞かれた太田監督は、「『眠れる美女』はエロスと死が濃厚に描かれています。本作はエロ・コメディにしようと思ったんですけれど、私はコメディは、チャップリンなど、笑いだけでなく哀愁がある作品が好きで、哀愁のあるエロ・コメディが作りたいと思った時に、川端康成の『眠れる美女』がいいのではないかと思いました」と経緯を説明。
男性機能を失った男の悲哀・葛藤を描く作品と聞いた小宮は、「この話題をすること自体がお恥ずかしいし、私は下ネタが得意なわけではないんです。ぶっちゃけて言うと、妻を9年前に亡くしているんですが、それ以降いい歳してからなかなかモテないんですよね。この映画をやるちょっと前くらいにいい感じになって、これに似たような経験になったんですけれど、お相手の方がいろいろなことを優しくしてくれたので、このことは身に沁みています。そういう実感はありました。それでも頑張ってやろうという老人の夢みたいなエロスも自分でも感じます。自分の実体験を混ぜてのことだと考えていただいても結構ですし、本作ではそれに抗うようにいろいろやるので、その関係性が面白いと思います」とぶっちゃけトーク!
川越は本作の企画を聞いて、「最初は『寝てるだけでいいんで』と言われてたんですけれど、寝ているのも大変で、本当に寝てしまったこともあって。どの角度で寝るのが一番美しいんだろうというのは、人生で考えないじゃないですか。美しく寝ている姿をどう表現するかというのに葛藤しつつ、寝ている演技の大変さを知りました」とユニークな体験談を話した。
永里は、本作の脚本の感想を聞かれ、「監督の1作目にも出させていただいて、その時も『これ映像になったらどうなるんだろう』『なかなかないセリフだな』と思って、2作目も、まず題材がなかなかないなと思いましたし、監督の頭の中すごいなと率直に思いました」と回答。
それぞれのキャスティング理由を聞かれた監督が、「小宮さんにも前の作品に出ていただいたんですけれど、脇役だったので、次にぜひ『小宮100%』を見てみたいと思いました。また、エロ・コメディをやるのであれば、コント赤信号の小宮さんはドンピシャだと思いました。ヒロインは、コメディエンヌだったら明るくてキュートな人がいいと思って、脱いでもOKみたいな人はいないかとネットで探していました。川越さんのツイッターを見たら、プロフィールに『世界一面白いAV女優になりたい』と書いてあって、面白そうだと思い、オファーをさせていただきました」と話すと、小宮が「寝ても画になるお顔であり、ボディであるということですね」と付け足す場面も。永里のキャスティングについては、「人間性がいいと言いますか、どんな役をやっても、決して汚れないというか、品性があるんです。前の映画のオタク青年の役であっても、下品にならない品性があるところがいいなと思いました」と説明した。
小宮は、男性機能を失った男が葛藤するシーンでアドリブを連発したそう。「いよいよ理想の女性である彼女に行き着きまして、寝ているところでHしようとする。はっきり言って法的にまずいですよね。儀式ばろうと、きっちり正装しようと思って、自前で紋付き袴を用意しました。台本には『立つんだ、ジョー!』とあったんですが、これだけだとギャグ的にも弱いと思ったので、その時思いつくまま、一人芝居でジョーのほうの役もやったんです。上映を観てお客さんがどういう反応をするかが楽しみです」と話した。川越も「リハーサルの時点でやばいんですけれど、毎回ちょっと変えてくるんで、頰がどうしても緩んでしまって。『川越さん、寝てるんだから笑わないで』と言われたんですが、むずーと思いました」と撮影エピソードを披露した。
永里は、妄想のシーンで、川越とベッド・シーンならぬ布団シーンが。「川越さんが寝てらっしゃるので、自分でNG出さないようにだとか、カメラがこっちから撮るから、自分の腕で隠さないようにだとか、逆に自分の後頭部で隠すようにだとかで一杯一杯でした」と話し、小宮も、「エロの場合は、普通の映像作品と違うもんね」と共感した。
最後のメッセージとして、主演の小宮は、「劇場のほうにも一度でなく、2度でも3度でもご来場ください。面白いと思ったら、声を出して笑ってください」、川越は、おっぱいの形がすごく綺麗だというのを見て欲しいなというのと、エロいけど面白いという思い出に残るような作品で、1回だけだと気づかない部分で面白いところだとかがあるので、ぜひ何回か観ていただければと思います」、永里は「アップリンク吉祥寺でのトークイベントにも登壇するので、ぜひ映画館で観ていただけたらと思います」、太田監督は「コロナ禍が続いていて欲求が溜まっているかと思います。現実の世界でマスクを外して走り回ったりはできませんが、映画の中では好き勝手できます。映画を観て、つかの間コロナの現実を忘れて、自由に浸ってみていただければと思います」と話した。
登壇者:小宮孝泰(コント赤信号)、川越ゆい、永里健太朗、太田 慶監督
公開表記
配給:アルミード
2022年1月21日(金)よりアップリンク吉祥寺ほか全国順次公開
(オフィシャル素材提供)