イントロダクション
ブライアン・ウィルソン――。《サーフィン・U.S.A.》《グッド・ヴァイブレーション》《神のみぞ知る》などのヒット曲で知られるアメリカのロックグループ「ザ・ビーチ・ボーイズ」の創設メンバー。1960年代、斬新な発想の曲作りで他の追随を許さなかった孤高のソングライターは、弱冠20歳で同グループを頂点へと押し上げながら、ある日、グループから忽然と姿を消す。いったい彼に何があったのか。何が彼をそうさせたのか。
映画『ブライアン・ウィルソン/約束の旅路』は、文字どおり、ビーチ・ボーイズの伝説的リーダー、ブライアン・ウィルソンにスポットを当てた感動のドキュメンタリーだ。友人のジャーナリストとドライブを楽しむブライアンからこぼれる肉声の数々。そこににじむグループや私生活をめぐる記憶を軸に、貴重なアーカイヴ映像やブライアンをよく知る関係者、彼を信奉する有名ミュージシャンらのコメントを絡めながら、伝説の実像を鮮やかにひも解いていく。
ブライアンをめぐっては過去に数本のドキュメンタリー、劇映画が製作されているが、本人に長時間、密着してのアプローチはこれが初。なにしろ、大のインタビュー嫌いで通っている人物である。正面からの取材でその心を開かせるのはまず不可能。固い壁を砕くべく選ばれたのが、ブライアンの古くからの友人で元『ローリング・ストーン』誌の編集者ジェイソン・ファインだった。製作陣は、ファインが運転する車でブライアンをふたりきりにし、そのリラックスしたムードの中での会話を収録することを発案。3年間で70時間ほどの撮影素材を収集し、9ヵ月をかけて再構成していった。
折々に挿入されるアーカイヴ映像には、ビーチ・ボーイズのレコーディング風景、家族が所有していたホームビデオ映像が並び、現在のブライアンが「ユナイテッド・レコーディング・スタジオ」で仲間とのセッションに興じる風景もこれに加わる。ジミー・ロジャーズの《Honeycomb》やブライアン自身による《ロング・プロミスト・ロード》をはじめとする名曲のカヴァー群は大きな聴きどころ。また、この映画のためにジム・ジェームス(マイ・モーニング・ジャケット)とブライアンの共作による新曲《Right Where I Belong》も用意されている。最後まで音楽ファンの期待を決して裏切らない。
ストーリー
白髪の老白人が眼鏡の中年男性と車に乗って話している。ひとりは、ブライアン・ウィルソン。かつて一世を風靡したロックグループ「ビーチ・ボーイズ」の中心的クリエイター。もうひとりは、ジャーナリストのジェイソン・ファイン。1997年の『ローリング・ストーン』誌での取材以来、ブライアンにとって数少ない心を許せる友人だ。
「きみと話をすると落ち着く」とブライアン。「それなら、いつでも頼って」とファイン。料理店では手に手を取り合って入店するふたり。ファインの運転で西海岸の街を気ままにドライブしながら、ブライアンは昔の思い出をたどっていく。
英題:Brian Wilson: Long Promised Road
(2021年、アメリカ、上映時間:93分)
キャスト&スタッフ
監督:ブレント・ウィルソン
製作:ティム・ヘディントン、テリサ・スティール・ペイジ、ブレント・ウィルソン
字幕監修:萩原健太
出演:ブライアン・ウィルソン、ジェイソン・ファイン、ブルース・スプリングスティーン、エルトン・ジョン、リンダ・ペリー、ドン・ウォズほか
オフィシャル・サイト
https://www.universalpictures.jp/micro/brian-wilson (外部サイト)
ギャラリー
公開表記
配給:パルコ ユニバーサル映画
TOHOシネマズ シャンテ、渋谷ホワイトシネクイントほか全国にて絶賛公開中