“新しい手法が生む新しい映像体験”を標榜し、過去に2本の短編映画がカンヌ国際映画祭から正式招待を受けた監督集団「5月」が、名優・香川照之を主演に迎えた初の長編映画『宮松と山下』(11月18日より、新宿武蔵野館、渋谷シネクイント、シネスイッチ銀座ほか全国ロードショー)。現在開催している、スペイン語圏最大の映画祭である第70回サンセバスチャン国際映画祭New Directors部門に招待されている本作の、ワールドプレミア上映が現地時間12:00(日本時間19:00)に行われた。
この部門はアカデミー賞®作品賞に輝いた『パラサイト 半地下の家族』(19)のポン・ジュノ監督の『ほえる犬は噛まない』(00)や、『ドライブ・マイ・カー』(21)の濱口竜介監督の『PASSION』(08)など名だたる監督らのデビュー作をどの映画祭よりも早くワールドプレミア上映している、いわば世界的監督の登竜門的な部門。併せて30秒予告・ポスタービジュアル・追加キャスト・場面写真4点が解禁された。
今年で70回目を迎える歴史の深いサンセバスチャン国際映画祭。名だたる映画監督たちの登竜門ともいえるNew Directors部門に正式招待された監督集団「5月」。過去に2本の短編映画をカンヌ国際映画祭に送り出しているが、サンセバスチャン国際映画祭は今回が初めての招待。数多くの名作CMや教育番組「ピタゴラスイッチ」を手掛けてきた東京藝術大学名誉教授・佐藤雅彦、NHKでドラマ演出を行ってきた関友太郎、多岐にわたりメディアデザインを手掛ける平瀬謙太郎の3人の監督が20日に行われたワールドプレミア上映に参加した。New Directors部門のメイン会場であるKursaal2は600席完売の満席。宮松が異なる役を演じるごとに場内では笑いや驚きの声が上がる。エンドクレジット中から拍手喝采が沸き上がり、監督たちが立ち上がって応えるという感動的な光景に。上映終了後再び起こった拍手喝采とスタンディングオベーションに迎えられて監督たちのQ&Aが始まると、3人の監督たちの役割分担や、主人公をエキストラ俳優にした理由など、客席からの質問は途切れない。上映後の映画祭公式レセプションでは、映画祭ディレクターのホセ=ルイス・レボルディノスが監督たちに駆け寄り、「とても斬新で驚いた! サンセバスチャンでワールドプレミア上映できてとても嬉しい」と賛辞を語った。上映終了後は街を歩いていても、「素晴らしかった!」と声をかけられるなど、『宮松と山下』のワールドプレミアは大好評となった。
ワールドプレミア上映を受けて監督「5月」コメント
『宮松と山下』が、初めて、この世の中に披露されました。サンセバスチャンの劇場を埋め尽くした600もの眼差しが、この映画を体験しました。上映中の『宮松と山下』は、いたるところで、観客におおっと声を挙げさせるほど驚かす一方で、私たち監督でさえ思いもよらぬところで笑いを生んでいました。そして主人公・宮松を演じる香川照之さんの存在感と演技は、世界の方に、とんでもない俳優が日本にいることを知らしめました。
上映終了後の観客との対話では、いつまでも質問が止まず、その興味の高さに嬉しくなりました。
私たちが世界に問う映画作りは、この映画から始まります。そう決意を新たにした上映でした。
第70回サンセバスチャン国際映画祭New Directors部門とは
サンセバスチャン国際映画祭は毎年9月に行われるスペイン語圏最大の歴史ある映画祭。New Directors部門は長編作品2作目までの監督作品が対象。これまでに、ポン・ジュノ監督と濱口竜介監督のデビュー作『ほえる犬は噛まない』(00)と『PASSION』(08)が、ワールドプレミア上映し、ポン・ジュノ監督は二作目『殺人の追憶』(03)、『ジョーカー』(19)や『8mile』(02)の脚本家として知られるスコット・シルヴァー監督の初監督作「ジョンズ」(96)が受賞するなど、名だたる映画監督たちの登竜門となっている。今年は【9月16日~9月24日】(日本時間:9月17日~9月25日)に開催。受賞式は現地時間の9月24日(土)に行われる。公式な賞としては、審査員が選出するNew Directors賞と18~25歳の審査員により選出されるTCM Youth賞があり、年によってNew Directors賞のSpecial Mentionが設置される。もし、本作『宮松と山下』が受賞すれば、監督のひとりである佐藤雅彦は過去最高年齢での受賞となる。)
登壇者:監督集団「5月」(関友太郎、平瀬謙太朗、佐藤雅彦)
30秒予告・ポスタービジュアル・追加キャスト&場面写真も解禁!
時代劇内で相手に斬りかかる香川照之演じる宮松の姿から始まる。勇ましく踏み込んだものの、あっさり斬られてしまう宮松。その後、ちょんまげ姿でラーメンを食べる姿と「エキストラ俳優、宮松」の文字により、宮松がエキストラとしてドラマ撮影に参加していることが分かる。そこへ尾美としのり演じる「谷」と名乗る男が現れたことから物語は不穏な空気を孕みだす。何者かに押されて頭を強打する男、「12年前、自分を失った」という文字。不安をかきたてる音楽が流れ、キャストの顔とエキストラをしている宮松、意味深な映像が連なる。その中で流れる「昨日までの自分を失ったら、何を演じたら良いのだろう」という言葉が意味するものは何なのだろうか。ミステリーを感じさせる予告編になっている。
併せて解禁されたポスタービジュアルでは、予告編同様に時代劇姿の香川照之がバスに乗る姿が大きく据えられている。共演者である津田寛治、尾美としのり、中越典子のもの言いたげな表情とともに、エキストラ・シーンと思しきシーンや宮松の実生活と思われるシーンが混在している。キャッチコピーは「名もなき誰かを演じ、名もなき自分を演じる。」。「自分を演じる」という言葉の意味を考えさせられるミステリアスなポスタービジュアルになっている。
これまでのキャストに加えて、今回出演情報を解禁するのは、野波麻帆、大鶴義丹、尾上寛之、諏訪太郎、黒田大輔の5名。先に情報解禁された4名とともに日本映画界を牽引する実力俳優たちが揃い、この5人が物語にどう関わってくるのか期待感を高める。
これまで香川のエキストラ写真3点のみが情報解禁されていたが、今回は場面写真4点を解禁。縁側で話す香川と中越典子、ちょんまげ姿の香川照之、悩める表情の津田寛治、朗らかに話す尾美としのりの写真である。
(オフィシャル素材提供)
公開表記
配給:ビターズ・エンド
11/18(金) 新宿武蔵野館、渋谷シネクイント、シネスイッチ銀座ほか全国ロードショー