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『ぼくらのよあけ』第35回東京国際映画祭アニメ・シンポジウム

©今井哲也・講談社/2022「ぼくらのよあけ」製作委員会

 現在⼤ヒット公開中の映画『ぼくらのよあけ』監督の⿊川智之が10⽉25⽇(火)、都内で開催中の第35回東京国際映画祭にて開催された『アニメーションで世界を創る』ジャパニーズ・アニメーション アニメ・シンポジウムに映画『⾬を告げる漂流団地』監督の⽯⽥祐康、映画『夏へのトンネル、さよならの出⼝』監督の⽥⼝智久と参加した。
 奇しくも『ぼくらのよあけ』と『⾬を告げる漂流団地』は“団地”を舞台にしている。これに⽯⽥監督は「同じ団地をテーマにした作品が同じ時期に公開されると知ったときはドヒャー!となってビックリしました。団地が舞台の作品が同時進⾏していることは露知らず、お互いにビックリした感覚です。でもそれはそれで⾯⽩い。同じ団地の友⼈として2作品とも楽しんでほしいです」と相乗効果での話題性に期待。
 ⼀⽅の⿊川監督も「僕も『⾬を告げる漂流団地』についてはNetflix の発表会で知ったほどで、まさに寝⽿に⽔でした。ただすでにこちらの作品も動いていて、どうこうできるわけでもないので、良くも悪くもそれぞれの作品ということであまり気にしませんでした。こういう珍しい機会もそうないので、⼀つの話題性として⾯⽩いと思いました」と偶然の⼀致を楽しんでいた。
 3作品に共通するアイテムとして“⽔”も挙げられる。⽥⼝監督は「登場⼈物たちが対になっている、お互いが写し鏡のような存在だということをさまざまなシーンで表現しているのですが、メインの舞台であるトンネルの中でも鏡の演出をしたいと思った。ただ、地⾯を鏡張りにすることはできないので、⽔を鏡⾯として捉えるアイデアを採⽤しました」と狙いを解説。
 ⿊川監督は作中登場する⽔の惑星・“虹の根”を表現するにあたり「⽔はアニメの作画的にカロリーが⾼い表現になる。でも原作を読んだときからそこは避けて通れないと覚悟を決めていたので、⽔を描くエフェクトの作画監督を専任で置きました」とこだわりを紹介。⽯⽥監督は「⿊川監督の話には共感しかありません」と笑いつつ「⽔をアニメで表現するのはとにかく⼤変ですが、『⾬を告げる漂流団地』は画⾯の9割が⽔なので避けられないことでした。しかし本作の⽔の表現は『ぼくらのよあけ』とは違って、演技をする⽔ではなく⼤海原という背景や環境としての⽔が多かったので、CG で繰り返し使えるようなものを作って使⽤しました」と明かした。
 またアニメ作品のアニメならではの魅⼒についても⾔及。⽯⽥監督は「描き⼿が何に価値を置いてどう感じているのかがそのまま表れるのが⾯⽩いところ」といい、⽥⼝監督は「アニメの最⼤のメリットは、実写とは違いすべてをコントロールできること。最初はイメージと離れていても、作画によって次第にイメージに近いものが⽣まれてくる」とその魅⼒を解説した。
 学⽣時代は、実写映画の勉強をしていたという⿊川監督は「アニメはすべてをコントロールできるけれど、実写にあるような偶然性は⽣まれないので狙わないといけない。そこに⼤きな違いがあると思う。真っ⽩なコンテに⾃分のイメージを落とし込んでいくのが⾯⽩さであり難しさであり苦しいところ。それがアニメーションの醍醐味だと思います」と実感を込めると、⽯⽥監督・⽥⼝監督ともに⼤きく頷く場⾯も。⽯⽥監督は「コンテを描く過程で⽩い紙がひたすら続いていると、これ本当に終わるのかな?と思うことがある。0から1を⽣み出す怖さがありますね」とも共感していた。


 現在公開中の『ぼくらのよあけ』について⿊川監督は「全編に渡って⾃分のイメージを超えてきた作品です。完成したフィルムは⾃分が思った以上に主⼈公の悠真が⽣き⽣きしている。ビジュアルもすごく綺麗にまとまったと思う。⾳楽も声もお芝居も皆さんのご協⼒を経て素晴らしい作品になった」と⼿応えを⼝にして「今⽇はお⼆⼈のお話を伺うことができて貴重な体験となりました。『ぼくらのよあけ』は現在公開中なので、皆さんも劇場に⾜を運んでください」とアピールしていた。
 また、⿊川監督は24⽇に⾏われたレッドカーペットにも悠⽊ 碧が演じたオートボット・ナナコのぬいぐるみと共に登場した。

登壇者:石田祐康(『雨を告げる漂流団地』監督)、田口智久(『夏へのトンネル、さよならの出口』監督)、黒川智之(『ぼくらのよあけ』監督)、藤津亮太(モデレーター、アニメ評論家)

(オフィシャル素材提供)

公開表記

配給:ギャガ/エイベックス・ピクチャーズ
全国劇場にて絶賛公開中!

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