最新ニュースイベント・舞台挨拶

『宮松と山下』監督ティーチイン付き特別試写会&キャストがタイトルを連呼する30秒特別予告解禁

©2022『宮松と山下』製作委員会

 “新しい手法が生む新しい映像体験”を標榜し、過去に2本の短編映画がカンヌ国際映画祭から正式招待を受けた監督集団「5月」が、名優・香川照之を主演に迎えた初の長編映画『宮松と山下』(11月18日より、新宿武蔵野館、渋谷シネクイント、シネスイッチ銀座ほか全国ロードショー)。
 この度、公開に先駆け10月26日(水)に都内で一般試写会を実施し、上映後のティーチインでは監督集団「5月」が登壇、撮影時のエピソードや主演の香川照之の魅力についてたっぷり語った。一足先に鑑賞した来場者からは「予想を裏切る展開から目が離せなかった!」「香川さんの抑えた演技が凄い!」と称賛の声が続々到着している。
 また監督が撮影中に撮り溜めたという、キャスト陣が各シーンで「宮松と山下!」とタイトルを連呼する予告映像も特別試写会で初上映。そのタイトル連呼予告30秒版も併せて解禁となった。

「一度死んだエキストラが、むくむくっと起き上がる」という話を聞いてクラクラっとした(佐藤)

 上映後、大きな拍手で迎えられた「5月」の佐藤雅彦監督、関友太郎監督、平瀬謙太朗監督。それぞれが一言ずつあいさつした後、日本催促一般試写会で鑑賞し、興奮冷めやらぬ観客から寄せられた質問に答えるティーチインが始まった。

エキストラというありそうでなかった題材を選んだ理由は?

 関友太郎監督:私がNHKに就職してドラマ部で助監督としてエキストラの担当をしていた時に、撮影現場であるエキストラの方が江戸の町人役として撮影したと思うと、次は侍姿に着替えてロケに行く姿を見てこの人の一日は面白いと思いました。また斬り合いのシーンで、一度倒れた侍がむくっと起き上がってまた別の侍として斬られているのを見て、驚いたと同時にその要素だけ切り取って映像化したら独特で面白いのではないかと。それを「5月」のアイデア会議に出した際にエキストラと現実の生活をまったく同じトーンでつなげていくと、どっちがどっちなのか分からない映像のサスペンスが生まれるんじゃないかと考えました。
 佐藤雅彦監督:関が「エキストラが一度死んでもむくむくっと起き上がる」ということを言った時に僕はクラクラっと来てしまってこれをやろうとなりました。

3人の役割分担はどのようなものでしょうか?

 佐藤雅彦監督:よく聞かれるのですが、3人で一つなんです。全員でアイデアを出して、プロット、台本を書いて、編集して、音を付けている。言ってみれば3人で一人前なんです。アイデアを出す時に「これは面白いぞ」と思って自分は出しつつ、2人はどう思うのかということを考えるのですが、出した瞬間に2人が反応する前に『ああ、これはダメだ』と分かるんです。初めてカンヌに選出された『八芳園』を作った時に初めてこれを経験しました。アイデアは100案も200案も出しますが、良いアイデアを誰かが出した時に一瞬で「これだ!」と満場一致する瞬間があるんです。反応を見る前に分かるのがすごくおもしろいですね。3人でやると心強いということが多々ありますが、たくさんのアイデアが湧き出てきても、それが世の中にどういう役割を果たすのかというのが分からない時に、2人に伝えた瞬間に「つまらない」「面白い」が分かるんです。

ものすごい技術によって役の感情を表現している香川さんでなければ、『宮松と山下』の主人公は成し得なかった

香川さん、津田さん、尾美さんなど個性的な名バイプレイヤーをキャスティングした経緯は?

 平瀬謙太朗監督:この企画が5年前に出ていたのにも関わらずこれだけ時間がかかってしまったのは、やはり主演が決まらなかったからなんです。映画の中ではエキストラとして存在感を消さなければいけない、ただ作品としては主人公なので物語を引っ張っていく存在感の強さが大切で、この矛盾する2面性を持ち合わせていることが必要でした。それを誰ができるのか分からなくてなかなか進まなかったのですが、香川さんのお名前が出たときに、瞬間的に3人で『香川さんならできる!』と思ったんです。普通だったら、この人がダメだったら次の人、みたいな感じで当たっていくと思うのですが、今回は香川さんがダメだったらこの企画はナシにしようという感じだったので、香川さんが引き受けてくださり、本当に良かったです。

 佐藤雅彦監督:津田寛治さんに関しては、ある台詞を言うのが似合う俳優って誰だろう……と考えた結果、津田さんを選びました。尾美としのりさんに関しては、作品を海外で上映したいと思った時に分かりやすく主人公と区別がつく人が良い=白髪のほうがいいな、と思い、かつ演技や個性が好きな俳優さん……と考えて尾美さんにたどり着きました。

香川さんを主演にしたことで良かった点や現場での変化はありましたか?

 関友太郎監督:とにかく顔の演技が想像していたよりも豊かで凄かったです。特に終盤のシーンの表情の使い方が、顔全体が可動域というかどこまででも細かく顔を自在に動かせるんだなと思いました。この作品は台詞が少ないですが、演技力に支えられた、良い表情のカットがたくさんありました。今まで芝居を技術でやっていると言われてもピンと来ていなかったんですが、香川さんを見ているとものすごい技術によって役の感情を表現しているんだなと思ったのが一番の体験でした。

 佐藤雅彦監督:僕も顔の部分ですね。宮松が笑顔で振り向く1発OKのシーンがあるのですが、凄いなと思いました。「なんでこんな表情ができるんですか? 何かを思い出してるんですか?」と聞いても「違います」と言われ、結局教えてくれなかったのです。また谷(尾美)とのシーンで太陽がカンカン照りだった時が何度かあったのですが、香川さんは撮影直前までギラギラの太陽を覗いていて、僕は大丈夫かと心配していたのですが、撮影が始まると表情が元に戻ってるんです。これも気になって「なんでギラギラの太陽を見てるんですか?」と聞いたら「目を焼くんです」と香川さんは答えました。どうやら目を焼いて眩しいところで瞳孔を閉じると、本番中でも眩しい表情をせずに普通の演技ができるそうなんです。豊かな表情というのは技術があるんですね。

 平瀬謙太朗監督:私は、宮松がどういう人物なのかを香川さんと一緒に考えて、4人で議論する場面が多かったことが印象深かったです。特に現場で感動したのが、予告でも使用されている笑顔のシーンです。そのシーンをどう撮るか、分からないまま現場に入ったんです。香川さんもずっと悩まれていたと思うのですが、そのシーンを撮る前にこれはどうですか?と香川さんがやってくれたのですが、スタッフ全員がこれだ! となったとき、衝撃がありました。何か言われて演じるというよりは、一緒に考えてくださるので、良いシーンが撮れた。香川さんにお願いしてよかったです。

映画の中で宮松はエキストラについて「1日に4回死んだこともある」と語りますが、宮松はこの映画の撮影で何回死んだのでしょうか?  なぜ死ぬシーンがあるのかということを教えてください。

 関友太郎監督:数えたことなかったですね(笑)。編集してカットしたのも含めるとかなり死んでると思います。死ぬシーンについては、エキストラが同じことを繰り返すと考えたときに、「死ぬ」と「生き返る」が一番分かりやすく面白い、と思ったことと、死ぬ現象そのものが映像として、表現として強くて撮影の描写として面白いと思い取り入れました。

 質問はまだまだ尽きず、時間が足りない状態だったが、各監督より来場の観客の皆さんに一言ずつの挨拶で会場を締めて、ティーチインイベントは終了となった。

登壇者:監督集団「5月」(関友太郎、平瀬謙太朗、佐藤雅彦)

監督ディレクション第2弾、キャスト陣がタイトルを連呼する監督編集の特別予告をイベントにて世界初上映!30秒版をこの度解禁

 この日、ティーチインの終わりに、監督が撮影中に撮り溜めた映像を編集した、キャストがタイトルを連呼する監督編集による特別予告を世界初上映のサプライズも! この度、タイトル連呼特別30秒予告が解禁となった。
 キャストがカメラ目線でタイトルを連呼する予告というアイデアの発端について、佐藤雅彦監督は「これだけ世界観のある作品なので、何か出来ないかと思い、各シーンで“宮松と山下”というタイトルを言ってもらうのはどうかと考えました。香川さんにも相談してそれは面白いと乗ってくださり撮ることにしたのです。香川さんは他のキャストの方に『ここはフランス語みたいに発音すればいいんだよ』など演技指導もしてくれて、スタッフキャスト共にこのタイトルの連呼を撮るのが現場での楽しみになっていきました」と語った。

公開表記

配給:ビターズ・エンド
11/18(金) 新宿武蔵野館、渋谷シネクイント、シネスイッチ銀座ほか全国ロードショー

(オフィシャル素材提供)

関連作品

スポンサーリンク
シェアする
サイト 管理者をフォローする
Translate »
タイトルとURLをコピーしました