今年で11回⽬となるポーランド映画祭2022が11⽉22⽇(⽕)~11⽉27⽇(⽇)まで東京都写真美術館ホールにて開催することとなった。全10作品の上映作品、上映スケジュール、またイエジー・スコリモフスキ監督からのメッセージが到着した。
ポーランドを代表する作曲家ヴォイチェフ・キラル⽣誕90年記念上映を祝う特集では、彼が作曲した3作をピックアップ。ポーランドの国⺠的詩⼈アダム・ミツキェヴィチ原作でアンジェイ・ワイダ監督作の『パン・タデウシュ物語』、また名作『コルチャック先⽣』、⾐装を⽯岡瑛⼦が担当している『ドラキュラ』も上映する。ポーリッシュ・シネマ・ナウ!では本映画祭の監修イエジー・スコリモフスキの最新作で今年のカンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞したロバが主演の話題作『EO(原題)』。スコリモフスキ監督の前作『イレブン・ミニッツ』も同じ⽇に上映することになる。今年のヴェネチア国際映画祭オリゾンティ・コンペティション部⾨にノミネートした39歳の新鋭ダミアン・コツル監督の最新作『パンと塩』。実際に起きた事件を元に、⻘年の⼼の動きを⽬や⾳楽で表現した傑作。『愛についての歌』は、若い男⼥があることをきっかけに⾳楽を⼀緒に作ることになる、モノクロ映像中⼼で描くキュートでほろ苦いラブ・ストーリー。
ドキュメンタリー映画は、世界の分断や悲劇を象徴する場所でショパンを演奏する3⼈のピアニストを撮った『ショパン 暗闇に囚われることなく』や、ポーランド外交官が極秘にユダヤ⼈救出を⾏なっていた事実を描いた『ポルミッション パスポートの秘密』。ウクライナ戦争を考えるではポーランド⼥性監督アグニェシュカ・ホランドの『⾚い闇 スターリンの冷たい⼤地で』を上映する。映画祭初⽇には開幕挨拶から上映作品のトーク、また2⽇⽬の11月23⽇にもトークを予定している。詳しくは公式サイトにてご確認を。
イエジー・スコリモフスキ監督( 監修)から⽇本の皆さまへ
昨年記念すべき10周年を迎えたポーランド映画祭、新しい章の始まりです。今年も素晴らしい作品の数々をご覧いただけること、⼤変嬉しく思います。またカンヌ国際映画祭の審査員賞を受賞した私の新作『EO』が、初めて⽇本の皆様にお披露⽬できること、⾮常に光栄です。他にも何年たっても⾊あせない傑作から、今まさに⽣まれたばかりの意欲作まで多種多様な作品が揃いました。ぜひご堪能ください。来年こそはお会いできるのを楽しみにしております。
■ 上映作品:全10作品
ポーリッシュ・シネマ・ナウ!
『EO(原題)』
※ジャパンプレミア
原題:EO(2022年、88分)
監督:イエジー・スコリモフスキ
配給:ファインフィルムズ
今年のカンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞したイエジー・スコリモフスキ監督最新作の主演は、なんとロバ。動物活動家のグループによってサーカス団から連れ去られたEO(イオ)は、その後も人聞に仕え続け、さまざまな冒険を経験していく。いったい“彼”には世界はどう見えるのだろうか……。ロべール・プレツンン監督の『バルタサールどこへ行く』にオマージュを捧げ、独特の視点から混沌とした人間社会を描(スコリモフスキの集大成とも言える傑作。
11/26(土) 13:30
『イレブン・ミニッツ』
原題:11 Minut(2015年、81分)
監督:イエジー・スコリモフスキ
首都ワルシャワを舞台に、17時から17時11分までのたった11分間に起ーる出来事を複数の視点からモザイク状に描いたスコリモフスキ美学の最高峰。ホテルの一室でオーディションを受ける女優、異様に嫉妬深い女優の夫、さらには見ず知らずの人たちに起こるドラマが華麗な映像美で綴られ、衝撃のラストへとなだれ込む様はまさに圧巻の一言。監督の愛大ブッフォンの名演技にも注目第72回ヴェネチア国際映画祭のコンべティション部門に選出。
11/26(土) 15:30
『パンと塩』
※ジャパンプレミア
原題:Chleb i sól(2022年、99分)
監督:ダミアン・コルツ
夏休みを家族と過ごすため、故郷に帰ってきたショパン音楽大学の学生テイメック。友人たちと再会を喜んだのもっかの間、地元の若者が集まるケバブ屋でアラブ系の従業員との間に諍いが起き、やがて悲劇的な出来事に発展してしまう。小さな町で起こった実話をもとに、プロではない俳優を起用して製作された問題作。監督は短編で数々の賞を受賞、本作が長編処女作となったダミアン・コツル。第79回ヴェネチア国際映画祭オリゾンティ・コンペティション部門出品作。
11/23(水・祝) 17:00、11/25(金) 19:00、11/27(日) 13:00
『愛についての歌』
※ジャパンプレミア
原題:Piosenki o miłości(2021年、94分)
監督:トマシュ・ハボフスキ
出演:ファインフィルムズ
有名俳優を父親に持つミューシシャン、ロベルトはウェイトレスのアリツィアの歌声を聞き、たちまち魅了される。一緒に音楽を作り始め、ふたりの距難は近くなっていくが……。『ONCEダブリンの街角で』や『ビフォア・サンライズ』を彷彿させる、キュートでほろ苦い音楽ラブ・ストーリー。若い男女の揺れる想いを端正なモノクロ映像で綴る。アリツィア役に扮するのは、本国で人気のパンドくダンプリングス〉のユスティナ・シフィエンス。
11/23(水・祝) 19:10、11/27(日) 15:20
ウクライナ戦争を考える
ロシアとウクライナの戦争が続く今、改めて観るべき映画を紹介します。
スターリンによって引き起こされたウクライナ人の歴史的な悲劇。約100年以上前の恐るべき出来事を通して、現在の戦争を深く考えるきっかけになるのではないでしようか。
『赤い闇 スターリンの冷たい大地で』
原題:Obywatel Jones(2019年、118分、PG12)
監督:アグニエシュカ・ホランド
出演:ジェームズ・ノートン、バネッサ・カービー、ピーター・サースガード
配給:ハピネットファントム・スタジオ
1933年、世界恐慌の嵐が吹き荒れる中、なぜソ連だけが繁栄しているのか。若き英国人記者ジョーンズはその謎を解くために単身モスクワを訪れる。監視の目をかいくぐりウクライナ行きの汽車に乗り込んだ彼が凍てつく大地で目の当たりにしたのは……。『僕を愛したふたつの国 /ヨ-ロッパヨ-ロッパ』、『秘密の花園』、『ソハの地下水道』などで知られる女性監督、アグニエシュカ・ホランドが手掛けた渾身の一作
11/22(火) 15:30、11/24(木) 16:00、11/27(日) 10:30
※ 11/22(火)上映後、久山宏一氏(ポーランド広報文化センター)の解説トーク付
ヴォイチェフ・キラル生誕90年記念上映
ヴォイチェフ・キラル Wojciech Kilar
1932年、ポーランド領ルヴフ(現ウクライナ・リヴィウ)生まれ。1960年代初めからクシシュトフ・ペンデレッキ、ヘンリク・グレッキらとともにポーランド前衛音楽派、特にソノリズムと呼ばれる潮流をつくり、戦後ポーランドを代表する作曲家の一人となる。またロマン・ボランスキー監督作をはじめ多くの映画音楽を手掛け、1990年代以降はハリウッドにも進出。主な作品に『約束の土地』(1974)、『ある貴婦人の肖像』(1996)、『戦場のピアニスト』(2002)など。2013年没。
『コルチャック先生』
原題:Korczak(1990年、118分)
監督:アンジェイ・ワイダ
出演:ボイチェフ・プショニャック、エバ・ダルコウスカ、ピョートル・コズロウスキーほか
ユダヤ人の小児科医コルチャックは、孤児院の院長として子どもたちを守り育てることに喜びを見出していた。第ニ次世界大戦中、ナチス占領下のワルシャワで、ユダヤ人はゲットーへの移住を命じられる。国外脱出の機会があったにも関わらず、子どもたちを見棄てることが出来ないコルチャックは、恐怖に震える200人の子どもたちと一緒に収容所行きの列車へ乗り込んでいく。名匠アンジェイ・ワイダ監督の人間ドラマ。抑制の効いた旋律が、人類史上類を見ない悲劇に巻き込まれた人々にそっと寄り添う。
11/24(木) 13:00、11/25(金) 16:30
『パン・タデウシュ物語』
原題:Pan Tadeusz(1999年、148分)
監督:アンジェイ・ワイダ
出演:ボグスワフ・リンダ、ダニエル・オルブリフスキー、アンジェイ・セベリンほか
ポーランドの国民的詩人アダム・ミツキエヴィチが亡命先のパリで発表した長編叙事詩をワイダが完全映像化。ナポレオンのモスクワ遠征を控えた19世紀初頭、ロシア支配下にあるリトアニアの農村を舞台に、対立する家に生まれた男女の愛と祖国への想いが壮大に描かれる。原作はポーランド・ロマン主義文学の最高傑作と称され本作も大ヒットを記録、公開時には国民の3分の1が鑑賞したと言われる。民族の誇りを高らかに謳うキラルによるボロネーズが感動的。
11/23(水・祝) 10:30、11/25(金) 13:15、11/27(日) 17:30
※ 各回上映前に3分程度の動画解説が付きます。
※ 11/23(水・祝)上映後、久山宏一氏(ポーランド広報文化センター)の解説トーク付
『ドラキュラ』
原題:Bram Stoker’s Dracula(1992年、128分)
監督:フランシス・F・コッポラ
出演:ゲイリー・オールドマン、ウィノナ・ライダー、アンソニ ・ホプキンス、キアヌ・リープスほか
あまりに有名な吸血鬼伝説に基づいた、ブラム・ストーカーの「吸血鬼ドラキュラ」を巨匠フランシス・F・コッポラが忠実に映画化。最愛の女性を失い、神への復讐を誓ったドラキュラ伯爵の400年にわたる彷徨と闘いをキラルの荘厳な音楽が盛り上げる。ゲイリー・オールドマンを筆頭に、ウィノナ・ライダー、アンソニ ・ホプキンス、キアヌ・リープスといった豪華キャストが揃う。アカデミー賞を受賞した石岡瑛子の衣装も話題に。
11/22(火) 18:30、11/23(水・祝) 14:00、11/24(木) 18:30、11/25(金) 10:30、11/26(土) 18:80
※ 各回上映前に3分程度の動画解説が付きます。
ドキュメンタリー映画
ポーランド広報文化センターお薦めのドキュメンタリー作品2本を紹介。
『ショパン 暗闇に囚われることなく』
※ジャパンプレミア
原題:Chopin. Nie boję się ciemności(2021年、ポーランド・韓国合作、58分)
監督:ヨアンナ・カチマレク
世界の分断や悲劇を象徴する場所で演奏する3人のピアニストたち。韓国では北朝鮮との国境付近に架かる橋で、レバノンでは首都ベイルートの中心で、そしてポーランドではアウシュヴィッ強制収容所で奏でられるショパンの美しい音色。音楽によって人々の感情が解放され、心が癒され、夢を取り戻していく様子を追った感動のドキュメンタリー監督はクシシュトフ・キシェロフスキ映画学校出身のヨアンナ・カチマレク。
11/22(火) 10:40、11/26(土) 11:00
※ 11/22(火)上映後、ウルシュラ・オスミツカ氏(ポーランド広報文化センター)の挨拶があります。
※ 11/22(火)上映後、本作のプロデューサーを迎えてトークを行います。
『ポルミッション パスポートの秘密』
原題:Polmission. Tajemnice paszportów(2020年、57分)
監督:ヤツェク・パピス
1941年から45年にかけて行われた極秘プロジェクト。それはスイス駐在のポーランド外交官アレクサンドル・ワドシとポーランド諜報機関が、南アメリカのパスポートを使って占領地のユダヤ人を救出するという決死の計画だった。危険を顧みず、信念を貫いたワドシの行動に迫るとともに、生き延びた人々とその子孫のインタビューを重ね、彼らのその後の運命を描いたドキュメンタリー。監督は俳優、作家でもあるヤツェク・パピス。
11/22(火) 13:00、11/24(木) 11:00
※ 11/22(火)上映後、杉浦 綾氏(ポーランド広報文化センター)の解説トーク。
ポーランド映画祭2022
2022年11⽉22⽇(⽕)~11⽉27⽇(⽇) 東京都写真美術館ホールにて開催
公式サイト:http://www.polandfilmfes.com/(外部サイト)
配給:マーメイドフィルム/コピアポア・フィルム
◎当日料金:一般1,500円/シニア1,100円/大学生以下・障害者手帳をお持ちの方1,000円
※午前10時より1F受付にて各回の受付を開始します。
※ご購入されたチケットの変更・取り消しはできせん。
※ホール及び美術館内でのご飲食はご遠慮ください。
※事業は諸般の事情により変更することがございます。最新情報は東京都写真美術館ホールのホームページでご確認ください。
恵比寿ガーデンプレイス内 東京都写真美術館ホール
TEL. 03-3280-0099(代表)
https://topmuseum.jp/(外部サイト)
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