現在公開中の映画『クリエイション・ストーリーズ~世界の音楽シーンを塗り替えた男~』のトークイベントが11月5日(土)、新宿シネマカリテで開催され、シンガーソングライターのカジヒデキと映画・音楽ライターの村尾泰郎が登壇した。
本作は、90年代にロック・シーンを席巻した「ブリット・ポップ」において、オアシス、プライマル・スクリームなど人気バンドを次々と世に送り出した伝説のインディ・レーベル「クリエイション・レコーズ」を創設したアラン・マッギーの波乱に満ちた人生を描く。
カジは「クリエイション・レコーズは、20代の頃憧れていた大好きなレーベルでした」と語ると「映画は、創設者であるアラン・マッギーの視点で描かれていてとても面白かった。とにかくアラン・マッギーという人物が音楽をピュアに愛していることが伝わってきました」と映画の感想を述べる。
ただただ音楽を愛する純粋な思いによって伝説的なレーベルを作り上げたというマッギー。カジはアラン・マッギーの音楽愛にプラスして、劇中で描写される家族との関係性に触れると、アランの行動に否定的だった父親について「あそこまでの成功を収めたのは、父親への反発もあるのだなということが分かりました」と語る。
カジの発言に大きくうなずいた村尾は、ラスト・シーンでアランの行動に大反対していた父親がオアシスの「ワンダーウォール」を聞いているシーンが「浪花節的だった」と語ると、カジも「あそこで僕も泣きました。本当にこうしたくだりがあったかは分かりませんが、そういうところがこの映画の良さですよね」と音楽ドラマだけではなく、人間ドラマも色濃く描かれていることを強調していた。
さらにカジは、「アランがボビー・ギレスピーやアンドリュー・イネスなど中学生時代にバンドを組んで、その3人が成長して大成功を収める奇跡的なところがすごい」と語ると、自身も20代に音楽を通じて出会った仲間たちがそれぞれ活躍しているところに、共通点や懐かしさを感じているという。
またクリエイション・レコーズの特徴についてカジは「80年代後半から90年代にかけては、インディ・レーベルがたくさん出てきましたが、クリエイションの影響というのはすごく大きかったと思う。クリエイションはサウンドのクオリティが高く、どんどんメジャーなバンドが生まれていった」と位置づけると、村尾も「インディの心を持っているけれど、クオリティがとても高い」と音楽レーベルとしての矜持があったと証言していた。
いろいろなことがありながらも、音楽に対する愛を忘れなかったというアラン・マッギーの人生。村尾が「アランはレーベル・オーナーというよりは、ロック・ミュージシャンの目線を持った人」と述べると、カジは「ポッドキャストやSpotifyでクリエイションのプレイリストをやっているので、それを聞いていただけると、映画とより深くリンクすると思います。この作品は、音楽の愛、家族の愛が描かれていて何度でも観返したくなる」と熱く語っていた。
登壇者:カジヒデキ(シンガーソングライター)、村尾泰郎(映画・音楽ライター)
(オフィシャル素材提供)
公開表記
配給:ポニーキャニオン
新宿シネマカリテほか全国にて絶賛公開中