イベント・舞台挨拶

『ゆめのまにまに』初日舞台挨拶

©2022 ディケイド

 俳優や音楽家のマネージメント会社のディケイド設立30周年記念映画『ゆめのまにまに』が、11月12日(土)より東京・ユーロスペースにて初日を迎え、主演のこだまたいち、千國めぐみ、村上 淳、張元香織監督が登壇した。
 東京・浅草六区に実在する古物店「東京蛍堂」を舞台に、人と時間が交差していく日々を描いた本作。多摩美術大学造形表現学部卒業後、吉田大八監督、横浜聡子監督、瀬々敬久監督らの助監督としてキャリアを積んできた張元香織監督の長編監督2作目。
 主演を務めるこだまたいちは、「メンズノンノ」専属モデルとしてデビュー、俳優・フォークシンガーとして活躍しており、2022年、新たに結成&デビューしたフォーク・バンド「酔蕩天使」(読み:ヨイドレテンシ)のリードボーカルでもある。

 まずはこだまが「本日は公開初日に足を運んでくださり、ありがとうございます。浅草というのはアミューズメントパークのような作り込まれた世界のイメージがあったんですが、この作品が決まってからとにかく浅草の空気を吸おうと思って。現場付近、浅草六区ですとか、映画には映らない部分、浅草のいろいろなところを歩き回りました。その中で裏路地に入ると人力車の方が休憩しているスペースがあったり、商店街の方の裏の顔が見ることができて。その裏路地の奥行きも浅草の魅力だなと思いました」と浅草の魅力をコメント。


 続く千國も「わたしもエンタメを楽しむ感じで、観光客として見る機会が多かったんですが、お店での常連の人たちのやりとりや、人とのつながりも密接で面白かったですね」と続け、さらに村上が「皆さんが映画でご覧いただいた、(古物店の)東京蛍堂。大事にされている骨董(こっとう)品の数々に、どうやったら勝てるかなと思いました。やはり本物なので、普通の美術ではここまでの背景はなし得なかった。感謝したいと思います。そして現場付近には、わたしが非常に大好きで、弱ったなという時によく聴くビートたけしさんの曲に“煮込みしかないくじら屋で”というフレーズがあるんですが、その“くじら屋(捕鯨舩)”が目の前にあって。食べには行けなかったんですが、それは思い出深いですね」としみじみ。さらに張元監督が「浅草は子どもの時からおじいちゃん、おばあちゃんと初詣に行く場所というところからスタートしたんですが、今、お話に出た東京蛍堂を映画にしようということで、わたしも浅草を知るのにも、そこから中心に広がって。ほかのところを見直していったというか、今も勉強中だと思いますが。人も濃いですし、映画を作る上でいろいろと勉強しましたが、歴史も調べれば調べるほど底がなくて。その途中段階が映画になったかなという感じです」と締めくくった。


 本作が長編2作目となった張元監督は「劇中でこだまくんがマンドリンを奏でるところがあったと思うんですが、あそこは元々台本になくて。現場中に、撮影の山崎裕さんと一緒に、マコト像になにかもうひと声ないかというので。実はこの人、音楽をやる人なんですということになり、じゃ何か弾いてもらおうということで、急きょ追加したシーンでした」と解説。村上も「こだまくんは本当にいつもギターを肌身離さず持っていて。すぐ歌うんですよ。でもそれがすごく良かった」と笑顔を見せた。


 またそんな張元監督について「監督は、2本目とは思えないくらい演出が細かかったし、難易度は高かった」と評した村上。「そして(キャメラマンの)山崎 裕といえば手持ちカメラみたいなところがあるんですが、今回はキャメラを三脚に据えてることが多かった。それはおそらく脚本を読み込んで、あのシチュエーション、背景を見て、冒頭に出た浅草を見て決め込んだ絵だと思った。そして千國さんにも、こだまくんにも細かかった。フィジカルから入ってましたね。上半身から動かすのか、ヨーイ、カチンで、そこまで行きつくのに、右足からいくのか、左足からいくのか、という細かい演出をされていて。それってすごく重要なことで、皆さんいい現場に入ったなと。そういうことを言ってくれる方は少なくなったので、フィジカルでいこうとすると、監督から今のは顔が怖いですよと指摘が入る。難易度が高い映画を作るんだなと思って、とても楽しかったです」と付け加えると、千國も「フィジカルという言葉はしっくりしました」。


 そんな中、本作が初主演となったこだまは「本当に大先輩ばかりで。また、東京蛍堂さんが厳かな雰囲気をまとっているんですね。大事な物がたくさんありますし、店主の稲本さんの思いが詰まっているので。物もそうですし、空気を壊さないようにというバランス力が求められているなと感じました」とコメント。千國も「東京蛍堂が圧倒的なオーラを放っていたので、それに吸い込まれるような気持ちになりました」と続けた。
 そして最後にこだまが「この作品はわれわれディケイド設立30周年作品として作られました。いろいろな強い思いが、この映画が大きい、映画業界というものを見た時に、棚の上に並べられた小物のようなものかも知れないと思うんですが。たくさんの強い思いが込められてて。こうして足を運んでくださって観てくださったことで、皆さんの思いがここに載っていくんだなと。この映画がここにあること、この思いが乗っていくことを信じていますし、長くどこかでまた愛してもらえるような、時代を越えられるような作品になればと願っています」と挨拶すると、村上が「あらためてうちの代表の佐伯真吾に拍手をお願いします。この映画は彼がいないと成立しなかった。わが社はだいたい5年に一度映画を撮っていますが、これが30周年なので、35周年もきっとあるでしょう。その時もまた健康に、身体健やかにお会いしましょう」と語ると、会場後方にいたディケイド代表の佐伯真吾氏に拍手が送られるひと幕もあった。
 そしてイベント終了後は、主演で本作の主題歌も手がけたこだまたいちによる本作主題歌「サンローゼ」の生演奏を披露。その優しい歌声が会場中を包み込み、温かな空間となった。

登壇者:こだまたいち、千國めぐみ、村上 淳、張元香織監督

(オフィシャル素材提供)

公開表記

配給:スールキートス
東京・ユーロスペース他全国順次公開中!

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