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「香港映画祭 Making Waves」『6人の食卓』リン・ミンチェン Q&A

 今年2022年、香港特別行政区は設立25周年を迎えた。エキサイティングで活気あふれる国際都市・香港が迎えた大きな節目を記念し、日本未公開作品を含めた選りすぐりの香港映画8本を上映する、香港特別行政区設立25周年記念映画祭「Making Waves – Navigators of Hong Kong Cinema 香港映画の新しい力」。
 イタリア・ウディーネ、インドネシア・バリ、イギリス・ロンドン、タイ・バンコク、オーストラリア・シドニー、デンマーク・コペンハーゲンなど、世界各地を巡回しており、このたび東京にて待望の日本開催となった本映画祭が、11月13日(日)に最終日を迎え、9月に香港で公開されるや大ヒット、コメディとして香港歴代興行収入第1位となる7,500万香港ドルを突破し現在も公開中の『6人の食卓』(2022/サニー・チャン監督)と、今年の東京国際映画祭「ガラ・セレクション部門」でも話題になった『神探大戦』(2022/ワイ・カーファイ監督)の上映を最後に全日程が終了した。

 13日『6人の食卓』上映には、キュートな魅力で大人気のマレーシア出身の女優リン・ミンチェンが上映前の舞台挨拶そして上映後のQ&Aに登壇した!
 今回が初来日となるリン・ミンチェンは、11日の『ワン セカンド チャンピオン』上映でもチウ・シンハン監督とともに登壇。日本語で観客に感謝を伝える姿が印象的だったが、『6人の食卓』の際も「皆さんこんにちは、私はリン・ミンチェンです。この映画が皆さんの心に響けば嬉しいです。楽しんでいただけましたか?」とすべて日本語で挨拶し、観客からは大きな拍手が。
 Q&Aでは、最初に脚本を受け取ったときの感想を「これは楽しく喜んだり笑ったりする、私の大好きな正月映画だ!」と喜んだ一方、「私が皆さんを笑わせなければならないんだと感じました。でも脚本家や監督が私のためにこの役柄を作ってくれたのか、と思うくらい自分と共通点が多かったので、やります!と返事しました」と振り返る。そして「でも出演するにあたって私の最大のチャレンジが言葉です。まだあまり広東語が得意でないので、自分のセリフのところに英語で発音を記したり、九声ある広東語をラップのように繰り返し言いながら暗記をしました」と役作りの裏話を披露。コロナ禍での撮影で、21日間の隔離中に必死にセリフを覚えていたという。
 また、リン・ミンチェン演じるモデルが撮影を依頼する三兄弟の長男ホンを演じたダヨ・ウォン(黃子華)は香港で大変人気のある俳優だが、彼との共演を聞いたときには「オー・マイ・ゴッド!」と驚き、緊張したそう。でも「現場に行くと、共演者皆さん優しくて、私にあわせてくれ、みんなは広東語なまりの下手な北京語で話しかけてくれ、私は北京語なまりの下手な広東語で返事をしたり(笑)、ちょうど映画の中のやりとりのようでした」。
 また、印象に残るシーンを聞かれるとダヨ・ウォンとテラスに出て話すシーンを挙げ、「脚本を読んだ時からここは重要な場面だと感じ、その後は撮影するまであえて読まないようにした。なぜなら一度読んだだけで涙があふれたから」と答え、本番のときには監督とダヨ・ウォンと共にどう撮影するか時間をかけて話し合って臨んだという。その甲斐あって気持ちがとても入りやすくなり、ダヨ・ウォンを抱擁する場面も「彼のことを本当に愛しいなぁと心から思いました。私自身も感動しましたが皆さんはどうでしたか?」とリン・ミンチェンが逆質問。観客もその思いが十分伝わり大きな拍手で応えていた。

 最後に、今後やってみたい役については、「実は私は歌手なので、自分が役者になるとは考えてなかった。これからもっと努力しなければならない」というリン・ミンチェンだが、『6人の食卓』は映画館でなんと7回も観たという。
 「観客が笑っているとすごく嬉しいし、私には喜劇の才能があるのでは(笑)と自信も出てきて、これが私の役割なのではないかと考えるようになりました。今後もコメディのオファーがあったら喜んでやりたいし、私の役で皆さんを楽しませて笑わせて、喜ばせることができたら、これ以上嬉しいことはないと思っています」と覚悟も見せた。


 そして現在香港で大ヒット中の本作は、出演者全員が続編を望んでいるそうで、リン・ミンチェン自身も「もし私が出演することができたら、もっと演技を磨いてもっと皆さんを笑わせようと思います!」とにこやかに答え、大いに盛り上がったQ&Aとなった。

 11月9日(水)から13日(日)まで5日間にわたって開催した本映画祭は、13日のラウ・チンワン主演『神探大戦』まで、世界的に評価された話題作から、これからの香港映画界を担う期待の新人監督作品まで、個性豊かな8本が揃い、各作品のチケットは即完売の大盛況。会場となったBunkamuraル・シネマには連日多くの映画ファンが集まり、来日ゲストを大きな拍手で迎えた。
 上映作品の来日ゲストは『黄昏をぶっ殺せ』の脚本・プロデューサーであり『リンボ』主演のラム・カートン、『ワン セカンド チャンピオン』監督・原作・出演のチウ・シンハン、香港返還25周年記念作『同じ空の下』ティム・プーン監督とサニー・イップ監督、『ワン セカンド チャンピオン』と『6人の食卓』出演のリン・ミンチェンと多彩な顔触れが登壇し、上映前の舞台挨拶とQ&Aに登壇。コロナ禍でなかなか叶わなかった来日ゲストとのQ&Aでは、質問が多く寄せられ、ゲストは時間の許す限り、日本の観客とのQ&Aを楽しむ様子が見受けられた。
 特に期間中、『黄昏をぶっ殺せ』と『リンボ』の2作品で上映後Q&Aに登壇したラム・カートンは、最後の挨拶で「このように映画館にわざわざ足を運んでいただき、観客の皆様へこの場を借りてお礼を申し上げたいです。今回の私の2作品(『黄昏をぶっ殺せ』1『リンボ』)を含めて、観客の皆様にはあまり失望を与えないようにいつも心がけていますが、これから私たちも力を出して、より良い香港映画をたくさん作って、また日本の観客の皆さんにご覧いただけるようがんばりたいと思います。本当にありがとうございました!」という熱く力強い言葉には、会場からの大きな拍手が鳴りやまず、来日ゲストと観客からの香港映画愛を存分に感じる5日間の映画祭となった。

第18回大阪アジアン映画祭
 香港映画を含むアジア映画を多数上映する大阪アジアン映画祭は、2023年3月10日(金)~19日(日)に大阪市内で開催! ぜひご注目ください。
 公式サイト:https://www.oaff.jp(外部サイト)

■ 上映作品

『6人の食卓』

©2022 Edko Films Limited, Irresistible Beta Limited, One Cool Film Production Limited. All Rights Reserved.

 ※日本初上映
 TABLE FOR SIX/飯戲攻心/2022年/広東語/116分
 監督:サニー・チャン(陳詠燊)
 出演:ダヨ・ウォン(黃子華)、ルイス・チョン(張繼聰)、ステフィー・タン(鄧麗欣)、イヴァナ・ウォン(王菀之)、リン・ミンチェン(林明禎)

 ホイ、ライ、ヘイの三兄弟は、日々ささいなことで口喧嘩しながらも、亡き両親から受け継いだ家で賑やかに暮らしている。ある日、次男ライが恋人モニカを自宅に招くが、彼女は長男ホンの元カノだった。三兄弟とそれぞれのガールフレンド、6人で囲む食卓は楽しい宴となるのだろうか!? 人気シンガーソングライターのイヴァナ・ウォン演じる三男のガールフレンド、ジョゼフィーンがふるまう料理の数々にも注目のコメディドラマ。

『同じ空の下』

 ※日本初上映
 LOOK UP/一樣的天空/2022年/広東語/117分
 監督・脚本:ダニエル・チャン(陳翊恆)、ティム・プーン(潘梓然)、エルビス・ハウ(侯楚峰)、サニー・イップ(葉正恆)
 出演:イヴァナ・ウォン(王菀之)、セッ・ソウ(石修)、チュウ・パッヒム(朱栢謙)、ケビン・チュウ(朱鑑然)

 ダニエル・チャン、ティム・プーン、エルビス・ハウ、サニー・イップの4人の新人監督が共同監督を務め、香港の4大映画会社(銀都機構、英皇、寰亞、天下一)が共同製作を手がけた、香港返還25周年記念作品。1997年、2003年、2012年、2022年の香港を舞台に、自閉スペクトラム症の青年やベテラン広東オペラ歌手、ライオンダンス(獅子舞)に挑む移民男性など、この街で生きる人びとの生活をスケッチした4つの短編で、返還からの25年を綴るオムニバス。

『ワン セカンド チャンピオン』

 ※日本初上映
 ONE SECOND CHAMPION/一秒拳王/2021年/広東語/98分
 配給:ライツキューブ
 監督・原作・出演:チウ・シンハン(趙善恆)
 出演:エンディ・ザーウグヲクイン(周國賢)、チャーノン・サンティナトーンクン、リン・ミンチェン(林明禎)

 一秒先を予知できる能力を駆使してボクサーとなり、“ワンセカンドチャンピオン”として名を馳せたヤン。ある日、思いがけない事故によってその能力が失われてしまうが、ヤンはたった一つの大切なものを守るため、再びリングに上がる。監督・原作は、香港のローカルバンドToNickのフロントマンで俳優でもあるチウ・シンハン。ヤンをスカウトしコーチとなるシュン役で出演も兼ねている。主演のエンディ・ザーウグヲクインが歌う「時間的初衷」は2022年香港電影金像奨主題歌賞を受賞した。

『サンシャイン・オブ・マイ・ライフ』

 ※日本初上映
 SUNSHINE OF MY LIFE/一路瞳行/2022年/広東語/96分
 監督:ジュディ・チュウ(朱鳳嫻)
 出演:カラ・ワイ(惠英紅)、カリーナ・ン(吳千語)、ヒューゴ・ン(吳岱融)

 視覚障害者の両親のもと健常者として生まれたヤンヤンは、幼い頃から自分の家族がまわりの家族とは異なることに息苦しさを感じていた。成長した彼女は、海外で芸術を学ぶことを望み、両親から離れ自分の人生を生きようとするが……。ジュディ・チュウ監督が、自身の経験をもとに、家族の絆を描いたヒューマン・ドラマ。『レディークンフー 激闘拳』(81)のカラ・ワイ(クララ・ウェイ)が母親役を熱演。

『黄昏をぶっ殺せ』

 ※東京初上映
 TIME/殺出個黄昏/2021年/広東語/99分
 監督:リッキー・コー(高子彬)
 出演:パトリック・ツェー(謝賢)、フォン・ボーボー(馮寶寶)、ラム・シュー(林雪)、チョン・シューイン(鍾雪瑩)、サム・リー(李燦森)

 かつて殺し屋としてタッグを組んでいたチャウ(パトリック・ツェー)、フォン(フォン・ボーボー)、チョン(ラム・シュー)の三人。引退後はカタギとして暮らしていたが、再び集結し、様々な事情で人生を終えたいと願う人たちのため自殺ほう助を請け負うことに。人生の黄昏期を迎えた彼らが、他者との関わりのなかで再びそれぞれの生を輝かせる姿をユーモラスに描く。主演のパトリック・ツェーが自身のキャリア初および史上最高齢(85歳)で2022年香港電影金像奨最優秀主演男優賞を受賞した。

『リンボ』

 LIMBO/智齒/2021年/広東語・日本語・英語/118分
 協力:東京国際映画祭
 監督:ソイ・チェン(鄭保瑞)
 出演:ラム・カートン(林家棟)、リウ・ヤースー(劉雅瑟)、メイソン・リー(李淳)、フィッシュ・リウ(廖子妤)、池内博之

 中国のインターネット小説を、舞台を香港に置き換えて映画化。香港のスラム街で起こる猟奇的連続殺人事件の犯人を追う刑事を、モノクロ映像で描いた重厚な香港ノワール。今年の第40回香港電影金像奨では脚本・撮影・美術・主演女優賞(リウ・ヤースー)・助演女優賞(フィッシュ・リウ)の5冠に輝いた。

『神探大戦』

©2022 Emperor Film Production Company Limited Emperor Film and Entertainment (Beijing) Limited ALL RIGHTS RESERVED

 協力:東京国際映画祭
 DETECTIVE VS. SLEUTHS/神探大戦/2022年/広東語/101分
 監督:ワイ・カーファイ(韋家輝)
 出演:ラウ・チンワン(劉青雲)、シャーリーン・チョイ(蔡卓妍)、レイモンド・ラム(林峯)、カルメン・リー(李若彤)

 人間がその内面に秘めている人格を察知する特殊能力を持つ元刑事の名探偵(神探)・バンと、多重人格殺人鬼のスリリングな攻防戦を描いた『MAD探偵 7人の容疑者』(2007)から十数年。『MAD探偵』でジョニー・トー(杜琪峰)と共同監督を務めたワイ・カーファイが、主演のラウ・チンワンと再びタッグを組んでその後日譚とも言うべき新たなクライム・サスペンスを手がけ、2022年7月に中国で公開されるや大ヒットを記録した話題作。

『チャイニーズ・ゴースト・ストーリー』

香港特別行政区設立25周年記念映画祭「Making Waves – Navigators of Hong Kong Cinema 香港映画の新しい力」

 2022年11月9日(水)~13日(日)
 会場:Bunkmamuraル・シネマ
 ※全て日本語字幕付き上映

 大阪アジアン映画祭事務局  makingwaves@oaff.jp TEL 06-4301-3092
 主催:香港特別行政区政府 創意香港/共催:大阪アジアン映画祭/協力:香港特別行政区政府 駐東京経済貿易代表部/企画・運営:香港国際映画祭/特別協力:Bunkamura
 公式サイト:makingwaves.oaff.jp(外部サイト)
 公式Twitter:@MakingWaves_HKC/公式Facebook:MakingWavesHKC

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