映画『海岸通りのネコミミ探偵』公開記念舞台挨拶が12月3日(土)、東京・シネマート新宿で行われ、主演の牧島 輝、共演の和田正人、星野真里、メガホンをとった進藤丈広監督が登壇した。
本作は、江ノ島・湘南を舞台に、人生何もかもうまくいかない青年がひょんなことからペット探偵見習いとなり、心に傷を持つ少年との交流を通して新たな人生を見つけ出していく物語。湘南の浜辺でいなくなったペット猫・ミミちゃんを探している猫塚照を牧島が、湘南を拠点にペット探偵を営む猿渡浩介を和田が演じる。
本作で映画初主演を飾った牧島は、撮影現場の雰囲気を尋ねられると「作品も優しい感じだったので、現場の雰囲気も温かくてほんわかしたような感じでした」と回顧し、進藤監督から「真面目だなあ」と声が飛ぶと、牧島は「だって……いるんだもん、マスコミの方が」と猫をかぶっていたことを明かして笑いを誘った。加えて、撮影時に印象に残っていることを聞かれた牧島は「ずっとのんびり日に当たって海を眺めていたなってイメージだったんですよね……」と遠くを見つめ、和田と共演した感想を求められると「一緒にソファーみたいなところで日向ぼっこをしたシーンが最後のほうにあるんですけど、2人とも気持ちよくなっちゃって全然セリフが出てこなかったですよね」と打ち明け、和田も「ロケーションがすごく素敵なところだったので、日光浴をするシーンは本当に寝落ちしちゃうんじゃないかってくらいの心地よさでしたね」と振り返った。
続けて、ネコ探しを依頼してくる小学生・三浦裕斗(菊池 爽)の母・三浦祥子を演じた星野と共演した感想を聞かれた牧島は「夫婦でケンカをされていて、爽くんに『行こう』と言って連れて行っちゃうシーンがあるんですけど、あれは犯罪ギリギリ(の行動)ですよね」と苦笑し、このシーンについては共演者とスタッフで話し合いをしたそうで、和田は「“牧島くん(猫塚)が手を引っ張って行く”と台本には書かれていたんですけど、“誘拐やん!”って見えたから、逆に『行こう』って声をかけて、裕斗(爽)が手を引っ張っていくほうが一緒に行った感になるから、そっちのほうがいいんじゃないかって話し合いをしたんですよね」と説明し、進藤監督は「子どもの親である和田さんと星野さんの意見は貴重だなと思いましたね」と感謝した。
一方、牧島と共演したシーンで印象的なところを尋ねられた星野は「まずは息子との絆を作りたいなと思ったので、積極的に話しかけたり、いろいろなことを教えてもらったりしたんですけど、そんな私の努力を牧島さんが軽く超えてくるというか、最初から仲よく遊んでいて“いつこんなに仲よくなっちゃったんだろう”みたいな感じだったので、距離の縮め方に嫉妬をしました(笑)。劇中でも私では力になれなくて、私ではなく探偵さんに頼るというところと重なるところがあったので、自然と“いいなあ”“なんでだろう”って考えていましたね」と胸の内を明かし、これに牧島は「そうなんですよ(笑)」とドヤ顔を浮かべつつ、「僕は末っ子だし、子どもと接する機会もそんなにないんですけど、昔から割と子どもに好かれるんですよね。なんか来てくれるので嬉しいですね」と笑顔で語った。
そんな爽役の三浦から、クランクアップのときに手紙をもらったという牧島は「一生懸命書いてある字で、『牧島さんと共演できて楽しかったし嬉しかったです。僕と牧島くんは兄弟みたいで似ているところが2つあります。肌が白いところと、唇がカサカサなところです』って……。帰りの車でどんな気持ちで読んでいいか分からなくなっちゃって……」と嘆いて観客を笑わせ、「それで今日、爽くんから差し入れをいただいていて、紙袋の中に手紙が入っていたんですね。『試写会で映画を観ました。嬉しかったです。牧島くんはとっても唇がカサカサなので、ちょっといいリップを差し入れします』って書いてあって、リップクリームの差し入れがありました」と告白し、自身の唇をアピール。和田から「ちょっといいリップ塗ってるの?」と聞かれた牧島は頷いて「どうですか?」と聞き返し、和田が「い……いいと思う。カサカサしてないと思う」と言うと、牧島は「爽くん! カサカサしてないよ!」とカメラに向かってメッセージを送った。
また、和田との共演した感想について星野は「シーンの間にいろいろとお話をさせていただいたんですけど、最近おうちのフローリングを変えて、床板をご自身で張り替えたというエピソードが1番思い出に残っています(笑)」と本作とは関係のない話をして笑わせ、これに和田は、星野と進藤監督と仕事を一緒にした作品で使ったセットの床に貼っていたフローリング・シートを全部もらって今の家に敷いていることを明かし、星野は「そのエピソードにびっくりしてしまって。スタジオの床をもらおうって考えるところもすごいし、それを自分で張るってところも驚きました」とコメント。和田は「ハイエースを借りて行きましたよ。セットまで」と明かした。
そんな3人を演出する上でこだわった点を尋ねられた進藤監督は「本を読んでいただいた上で、和田さんはアドリブをやりたい放題でしたし、星野さんも僕がいたらないところまで読んでいただいて、牧島くんもイキイキとやってくれていたので、現場では3人がやってきたものをそのまま撮るということが多かったですね。信頼関係ができていたという気がします」といい、アドリブは和田が圧倒的に多かったそうで、そんな和田とのやりとりが大変ではなかったかと心配された牧島が「全然でした。一緒にやっていて面白かったんですよね。普段からしゃべることも面白いけど、役でも行動とか視線がすごく面白くて、僕はずっと楽しんでいましたね」と吐露すると、和田は「すぐ慣れてたよね。和田正人に!」と突っ込んで会場を沸かせつつ、「脚本にはめ込んでいかなきゃなっていうのはあるけど、ところどころ脱線しながらやっていったほうがのびのびできて、そのほうがいい画が撮れるんじゃないかなって。すごく真面目に考えているんですよ!」と主張した。
さらに、注目してほしいシーンを聞かれると、和田は猫塚と爽がサッカーをしているシーンを挙げ「聞くと、この人(牧島)も裕斗くんもサッカーを1度もやったことがないらしく、まったくの未経験者で、俺もそこのシーンをちゃんと見ていなかったから、どんなふうになっているのかなと思って試写で見たら、意外とやってるぜ感があって、それが意外にすごいなと思ってブラボー!ブラボー!裕斗もブラボー!みんなブラボー!」といま流行りのサッカー日本代表の長友佑都選手の言葉を用いて観客から拍手を浴び、同じくサッカー・シーンを挙げた牧島は「小学2年生くらいのときに(サッカーを)習いに行ったら、高学年の人が思い切り蹴ったシュートがお腹に当たっちゃって、息ができなくなっちゃって辞めました」とエピソードを明かし、「でも、裕斗くんと遊ぶシーンは自分が目線を合わせたという感覚よりも、気の許し合える友だちと一緒に街を散歩したり、サッカーをしたり、自然と2人で笑顔になれるシーンになったと思うし、撮影していることを忘れて2人ではしゃいでいたのが思い出に残っていて、そういう雰囲気がきっと映画でも分かるように撮っていただけていると思うので、ぜひ注目してください」とアピールした。
公開表記
制作・配給:ビデオプランニング
シネマート新宿、ムービル、シネマート心斎橋ほか全国順次公開中
(オフィシャル素材提供)