本年度ノーベル文学賞を受賞した仏作家、アニー・エルノーが若き日の実体験をもとに描いた傑作小説「事件」を映画化した『あのこと』が12月2日(金)より Bunkamura ル・シネマ他にて絶賛公開中。
1時間40分、あなたは彼女となり〈あのこと〉の一部始終を体感する。鮮烈な映画体験!
『パラサイト半地下の家族』でアカデミー賞🄬4冠に輝いたポン・ジュノ監督が審査員長を務めた2022年ヴェネチア国際映画祭での最高賞受賞を皮切りに、世界の映画賞を席巻した本年度最大の話題となっている衝撃作『あのこと』がついに日本上陸! 舞台は1960年代、法律で中絶が禁止され、処罰されていたフランス。望まぬ妊娠をした大学生のアンヌが、自らが願う未来をつかむために、たった一人で闘う12週間が描かれる。この作品の特別なところは、本作と対峙した観客が、「観た」ではなく「体験した」と、それもアンヌと身も心も一体化して、「恐怖と怒りと情熱」を体感したと語ること。全編アンヌの目線で描かれる本作は、観ている者の主観がバグるほどの没入感をもたらし、溺れるほどの臨場感であなたを襲う。
タイムリミットが迫る中、闇をくぐり抜け、アンヌがたどり着く光とは? 身を焦がすほどの映画体験をあなたに──。
ノーベル賞授賞式を祝し、アニー・エルノーの実体験を描いた『あのこと』の本編映像を解禁
12月10日は、ノーベル賞授賞式がスウェーデンのストックホルムで行われる。本作の原作小説「事件」の作者アニー・エルノーが、今年の文学賞を受賞、彼女も授賞式に参加予定だ。そこでこのたびの受賞を記念し、本作の本編映像を解禁!
映画の舞台となる1960年代のフランスでは、人口中絶は法律で禁じられており、何らかの処置を受けた女性とそれを施した医師や助産婦、さらには助言や斡旋をしたものまでに懲役と罰金が科されていた。今回解禁となる映像は妊娠への焦りと恐怖を一人で抱えきれなくなったアンヌが、親友に事実を告げるシーン。アンヌと同じ学部に通い、ともに勉学に励み、時には3人でクラブへ夜遊びに出かける、心許せる親友であるエレーヌとブリジット。彼女たちの前で膨らんできたお腹を見せると2人は「ウソでしょ」と絶句する。「処置する。お願い、誰か探して」と助けを求めるアンヌに、エレーヌは手を差し伸べようとするが、ブリジットは「私たちには関係ない。刑務所に入りたい?」とエレーヌを止める。そして「好きにして。でも巻き込まないで」とアンヌを冷たく見放すも、やるせない表情を見せる――。
いくら親友でも中絶に手を貸せば自身も罪を問われることになってしまう時代。彼女たちもアンヌと同じように夢を持ち、大学まで進学した自身の努力を簡単に無駄にするわけにはいかないのだ。妊娠をしただけで、友情すらも失い、孤独な状況下におかれるしかないという、女性への理不尽な待遇をうけるアンヌの表情が切ない。
本作の監督を務めたオードレイ・ディヴァンは、脚本を執筆する前に作者のアニー・エルノーと一緒に過ごし、エルノーから当時のこと詳しく聞いたという。ディヴァン監督は、その時のことについて「話をしながらエルノーは目に涙を浮かべていました。80歳を超え今なお癒えていない彼女の痛みと激しい悲しみをどうにかして世に伝えたいと強く思いました」と語っている。またエルノー本人は小説の中で「わたしの経験を過去の話として埋もれさせてしまってもよい理由があるとは思えない」と記しており、相当な覚悟を持って「事件」を執筆したことが分かる。経験を見事に糧にし、ノーベル文学賞を受賞するまでに至った彼女の経験と信念を映し出したといえる映画を、この機会に味わってほしい。
さらに、『あのこと』公開を記念し、同原作者アニー・エルノーのもう1つの代表作 『シンプルな情熱』が約1年ぶりにル・シネマのスクリーンに戻ってくる!
さらに『あのこと』の公開を記念して、アニー・エルノー原作映画『シンプルな情熱』(21)が、Bunkamuraル・シネマでの特別上映が決定! 原作は、アニー・エルノーが1992年に発表した作品。自身の実体験が赤裸々に綴られ、日本でも時代をリードし続ける人気作家から熱く支持され、大反響を巻き起こした。
パリの大学で文学を教える教師のエレーヌは、年下で既婚者のロシア外交官アレクサンドルとパーティで知り合い恋に落ちる。昼下がりに、自宅やホテルで逢瀬を重ね、彼との抱擁にのめり込んでゆくエレーヌだったが……。
エレーヌには『若い女』(17)でリュミエール賞有望女優賞を受賞した、実力派レティシア・ドッシュ。アレクサンドルを演じるのはセルゲイ・ポルーニン。19歳で英国ロイヤル・バレエ団の史上最年少プリンシパルに選ばれた2年後、人気絶頂の真っただ中で突如として退団を発表。現在は全身にタトゥーをまとう異端のダンサー、そして俳優としての新たなステージを竜巻のごとく席巻中の危険な香りを放つアーティスト。
レバノン出身のダニエル・アービッド監督が、女性ならではの視点で原作のスピリットを忠実に映画化することに成功。2020年カンヌ国際映画祭に公式選出され絶賛された。恋という名の情熱とは、自分自身を発見し、人生をさらに自由に羽ばたくためのギフトだと教えてくれる、胸が高鳴る愛と官能の物語が誕生。
『シンプルな情熱』は12月16日(金)よりBunkamuraル・シネマにて特別上映。『あのこと』のチケットや半券提示で当日一般料金が¥300引きとなる。
アニー・エルノー プロフィール
1940年、フランス、ノルマンディーのリルボンヌ生まれ。両親はカフェ兼食料品店を営んでいた。ルーアン大学、ボルドー大学で学び、卒業後、教員となり高校や中学で教える。
1974年、「Les Armoires vides」(原題)で作家デビュー、以後の全著作を名門出版社ガリマールから上梓する。性の欲望をテーマにした「シンプルな情熱」でセンセーションを巻き起こし、「場所」でルノードー賞、「Les Années」(原題)でマルグリット・デュラス賞とフランソワ・モーリアック賞を受賞。2017年に全作品に対して、マルチメディア作家協会からマルグリット・ユルスナール賞を授与される。2022年ノーベル文学賞受賞。ほとんどが自伝的な小説で、オートフィクションの作家と呼ばれている。本作の原作「事件」は、「嫉妬」(早川書房)に併録されている。
『シンプルな情熱』 特別上映
[上映期間] 2022年12月16日(金)より特別上映
[会場] Bunkamura ル・シネマ
(東京都渋谷区道玄坂2-24-1 Bunkamura 6F TEL:03-3477-9264)
[料金] 一般・\1,800 学生・\1,500 (平日は学生・\1,200) シニア・\1,200(税込)
【毎週火曜日は\1,200(税込)均一】
※ 『あのこと』のチケットや半券提示で当日一般料金が¥300引き
※ご提示のチケットは半券・特別鑑賞券・QRチケットも可
<STORY>去年の九月以降、私は、ある男性を待つこと以外、何ひとつしなくなった――。
パリの大学で文学を教えるエレーヌはあるパーティでロシア大使館に勤めるアレクサンドルと出会い、そのミステリアスな魅力に強く惹かれたちまち恋におちる。自宅やホテルで逢瀬を重ねる度に、彼との抱擁がもたらす陶酔にのめり込んでいく。今まで通り大学での授業をこなし、読書も続け、友達と映画館へも出かけたが、心はすべてアレクサンドルに占められていた。年下で気まぐれ、妻帯者でもあるアレクサンドルからの電話をひたすら待ちわびる日々の中、エレーヌが最も恐れていたことが起きてしまう──。
原作:アニー・エルノー「シンプルな情熱」(ハヤカワ文庫/堀茂樹訳)
監督:ダニエル・アービッド
出演:レティシア・ドッシュ、セルゲイ・ポルーニン、ルー=テモー・シオン、キャロリーヌ・デュセイ、グレゴワール・コラン
(原題:Passion simple、2020年、フランス・ベルギー、99分、R18+)
配給:セテラ・インターナショナル
公開表記
配給:ギャガ
12月2日(金)、Bunkamuraル・シネマ他 全国順次ロードショー
(オフィシャル素材提供)