イントロダクション
娘を殺された元夫婦と、犯行時に未成年だった加害者の女性。癒やしようのない苦しみに囚われた3人の葛藤を見すえ、魂の救済、赦しという深遠なテーマに真っ向から挑んだ問題作「DECEMBER」(原題)の邦題が『赦し』に決定し、2023年3月18日(土)よりユーロスペースほか全国順次公開が決定。
本作のメガホンを執ったアンシュル・チョウハンは、長編第2作の『コントラ』(19)では、エストニアのタリン・ブラックナイト映画祭でグランプリ、北米最大の日本映画祭ジャパン・カッツで第1回大林賞を受賞したインド出身の気鋭監督。国内外で注目度が高まっている監督が、これまでの作風を一変させ、重厚でリアリスティックな語り口を披露した『赦し』は本格的な裁判劇でもある。法廷における裁判官、弁護士、検察官、証人のやりとりを臨場感たっぷりに描出し、スリリングな展開と、登場人物たちが抱く不安、迷い、痛みをシンクロさせた濃密な映像世界から目が離せない。
怒りと憎悪の呪縛に囚われた主人公、克を演じるのは、フィリピンの巨匠ブリランテ・メンドーサと組んだ主演作『義足のボクサー GENSAN PUNCH』が記憶に新しい尚玄。元妻の澄子に扮するのは、第62回ブルーリボン賞助演女優賞を受賞した『台風家族』『ひとよ』などで多彩なキャラクターを演じてきたMEGUMI。深い喪失感を共有しながら、対照的なベクトルで裁判の成り行きを見つめる元夫婦の複雑な思いを表現。さらに、澄子の現在の夫を演じるオリエンタルラジオの藤森慎吾、裁判長役を毅然と体現した真矢ミキがドラマに厚みを与える。そして、夏奈役に抜擢された松浦りょうのキャスティングも見逃せない。映画デビュー作『渇き。』など独特の存在感を示してきた新進女優が、本作における最大の発見としてあらゆる観客を驚嘆させるだろう。
ストーリー
かつて17歳の少女だった夏奈は、同級生の少女を殺害した。あれから7年、20年の刑を受けた夏奈に再審の機会が与えられ、釈放される可能性があると連絡を受けた被害者の父・克と、別れた元妻・澄子。二人はともに法廷に赴き裁判の経過を見守ることになるが……。当時の裁判では殺害にいたる経緯を話すことなく、検察の請求のままに刑が確定した夏奈。再審請求は、被害者の親二人の心を大きく揺さぶっていく。
7年が経っても決して薄れることのない彼女への怒りと憎しみは、周りを巻き込みながら大きく変転をしていくのだった。加害者の夏奈だけではなく、まるで囚人のように「娘を殺されたこと」への怒りから逃れることのできない、かつての親たち。そこから人はどうやって一歩進んでいくのか?
(英題:DECEMBER、2022年、日本、上映時間:98分)
キャスト&スタッフ
監督・編集:アンシュル・チョウハン
撮影:ピーター・モエン・ジェンセン
音楽:香田悠真
出演:尚玄、MEGUMI、松浦りょう、生津 徹、藤森慎吾、真矢ミキほか
プロデューサー:山下貴裕、茂木美那、アンシュル・チョウハン
エグゼクティブ・プロデューサー:サイモン・クロウ、ランカスター文江
アソシエイト・プロデューサー:前田けゑ、澤繁 実、岡田真一、木川良弘
脚本:ランド・コルター
助成:文化庁
製作プロダクション:KOWATANDA FILMS、YAMAN FILM
ギャラリー
予告編
公開表記
配給:彩プロ
2023年3月18日(土)より、ユーロスペースほか全国順次公開
(オフィシャル素材提供)