【顔面凶器】【Vシネマの帝王】など、数々の異名を持ち、映画やドラマ、そしてバラエティなど数々のフィールドで活躍する俳優・小沢仁志が”還暦記念映画”として、生きざまのすべてをぶつけ、「俳優人生で最後の無茶」を繰り広げる怒涛のアクション映画『BAD CITY』の初日舞台挨拶が開催された。
100人以上にのぼる敵を相手に、CGなし、スタントなしのガチンコ・アクションに挑んだ、本作製作総指揮・脚本・主演の小沢の元に集結したキャストらが登壇し、裏話などについて語った。
冒頭、「こんなにお客さんにいっぱいきてもらって!」と感謝を述べつつ、「梨乃姐の美脚に注目してもらえたらいいなと思います」といつもの小沢節で挨拶した小沢。実は、福岡の先行公開の際に、かたせがミニスカートを履いているのを見て、「これに網タイツだったらパーフェクトだった」とポロリと言ったのを聞いていたかたせ梨乃が、小沢の還暦記念映画の初日に合わせ、網タイツを履いてきたのだ!
特捜班新人刑事役の坂ノ上茜は、「オーディションで、この役をいただいたんです。普段のオーディションだと、エレベーターで上がって、廊下があって、控室でスタンバイをして、自分たちの番になったらオーディション会場に行くっていう流れなんですけれど、『BAD CITY』のオーディションは、エレベーターが開いた瞬間にオーディション会場で、開いた瞬間目の前にいたのが小沢さんだったんです。小沢さんがいらっしゃるって思っていなかったから、『こわ~』と思って。私は以前ご一緒したことがあったから、“怖い顔をしているけれど優しい人”っていうのは知っていたので大丈夫だったんですけど、みんな絶対怖かっただろうな」と回想。同じオーディションを受けて、かたせ演じる韓国マフィアの首領・マダムの息子の妻役でキャスティングされた圭叶に、小沢が「怖くなかっただろ?」と迫ると、小沢のプレッシャーもあり、圭叶が「全然怖くなかったです」と回答。そのやりとりに、客席から笑い声が広まった。
坂ノ上は、撮影中に小沢に拘置所のセットに入るように言われたそうで、「撮影中、小さい意地悪をされ続けたので、入ったら、鍵とかかけられて長時間放置されるんだろうなと思って、『嫌だ嫌だ』って言っていたんです。しつこいから『分かったよ』って入って、ドアを閉めた瞬間に、『ハッピー・バースデー・トゥ・ユー』とサプライズでケーキを持って誕生日をお祝いしてくださった」と、素敵なエピソードを話した。
勝矢は小沢と初めてご一緒した際は、「手錠をかける役で、手錠の掛け方を分からず、兄ィの腕に丸いのをバンっとやったら、反対側だったみたいで、ガチんって当たって、『いてえな、この野郎』と言われて、怖くて震えたけれど、『手錠っていうのはこうやってはめるんだよ』と教えてもらい、怖いけど優しい人だと知った」とのこと。それ以降、親交を深め、小沢が脚本を書いた本作では、『熊本』役。勝矢は、「兄ィが長年(草野球の)バッテリーを組んでいたキャッチャーの方が、熊本さんという方だったんで、そのバッテリーくらいの相棒という想いがあるんだろうなと思って演じさせてもらいました。『僕がクマみたいだから熊本だ』というような安易な方じゃないと思っています」と自信ありげにキッパリ言うと、小沢は、「安易な方だよ」と一蹴。
圭叶は「ずっとミュージカルをやっていたので、初めて映像のオーディションを受けたんです。台本をもらってから、お相手がかたせ梨乃さんと知り、一回固まりました。身が引き締まりました」と語り、「アクション映画に出るのも初めて、外国人役が初めてで、名前がない役も初めて」と言う“マダム”役のかたせは、圭叶について、「マフィアのボスの息子の嫁の役なので、オーラがあって、『うちの息子が選んだのはこの子なんだな』という説得力はすごくありました」と話した。
小沢は、圭叶について、「芝居もできるし、可愛いし、口説こうかなと思ったら、嶋 大輔の娘だっていうから、『無理無理無理無理』って。大輔も知り合いで仲間なのに、仲間の娘はないよね」と話し、会場の笑いを誘った。
『マンハント』『ベイビーわるきゅーれ』などのアクション監督として知られる園村監督について山口は、「兄ィから、『アクション監督、いい奴いねぇか』と相談があった時に、『監督もする園村さんは仲良しですよ』と言ったら、『今電話して呼ぼう』となり、監督が来たら、有無を言わさず、『おい、やれよ』『ほい、やります』となりました」と証言。
監督は、「最初は、アクション監督をやってほしいということだと思って、お好み焼き屋に行ったんですけれど、『還暦記念で派手めにアクション物をやりたいんで、お前ちょっと監督やらないか』と言われたので、脊髄反射的に『やります』と言ってしまいました」とお茶目に話した。
本作は、TAK∴(坂口 拓)、三元雅芸など、日本屈指のアクション俳優が出演している。小沢が、園村の演出するアクション・シーンについて、「『こっからは(殺陣なしで)フリーで』って言う。TAK∴との闘い、フリーだもん」と言うと、客席から、「え~!」と言う驚きの声が。坂ノ上も、「三元さんとTAK∴さんのところはフリーのところがありました」と話した。
山口が、「園村監督はアクションを研究していて、リアルに見える動き・新しい技術をここ何年か開発していて、僕らは前もって教えてもらっていたので、フリーに対処できたというところはありました」とフォローするも、勝矢は、「出来上がりを見て、『そうじゃないんですよ』と言って(参考に)持ってくる動画が、UFC(アメリカの総合格闘技団体・アルティメット・ファイティング・チャンピオンシップ)の試合で闘って本当に腕が折れている人の映像。『これがやりたいんですよ』『それやったら折れるよ』みたいな」と仰天エピソードを話すと、小沢も「『リアル、リアル』って言って、『避けてくれ』って言うんで」と付け加えた。勝矢が「(ラストのタイマン・シーンで闘った)ヤマ(山口)さんが一番大変ですよ。バリバリかわしている」と話すと、当の山口は、小沢について「(小沢は、俺が)避けたパンチでコンクリートを叩いて、骨折っていますから」と暴露し、客席から再度「え~っ」と驚愕の声が響いた。
加藤雅也は、「兄ぃはデビュー作『クレイジーボーズ』で出会って、兄ぃの25周年で呼んでもらってフィリピンに行って、今回還暦、と節目節目に呼んで下さるのは嬉しいです」と感慨深げに話した。
そして、「僕は闘わない(役だった)のは良かったなと。そんなのやってられないよ。危ないでしょ。ヤマがかわいそう。60とは思えないです」と話し、「(アクションでなく、)お芝居だったら呼んでください」と茶目っ気たっぷりに念を押した。
小沢が「アクション・シーンがあったら断っていたのか?」と啖呵を切ると、「台本の段階ではアクションと書いているだけだから分からないけれど、完成した映画を観たら断ったほうがよかったなと思いますよ」と話し、会場から笑いが起きた
加藤は、小沢と最初に出会ったときは、「『おまえよ、舐められたら終わりなんだよ。撮影現場に行ったら、誰かが攻撃対象にされるんだよ。それになったら芝居ができなくなるから、とにかく舐められないようにしろよ』と言われた」と話すと、小沢は、「それと対照的なのが、同じく『クレイジーボーイズ』(88)で映画デビューだったヤマで、雅也には『舐められるなよ』って言って、ヤマには『お前は舐めすぎだぞ』って言ったな」と話し、会場は笑いに包まれた。しかし、こわもてながら優しい小沢は、「ラスト、ヤマじゃなかったら成立しなかった」ときちんと褒めることも忘れなかった。
リリー・フランキーについて話が及ぶと、小沢は「あの男、いい役者で憎らしくてさ。バーで1回会った時に、『いつか共演したいですね』と言って、やっと実現した」と話し、「リリーさんは、コロナで家にこもっていた時に『日本統一』を見まくっていたらしくて、(主演の山口と、会長役の小沢に)ベンチ・コートにサインをくれって言われて書いたよな。『初めてサインもらった』って言っていた」と裏話を披露した。
小沢は、リリーと「LINE交換をしたことを忘れてて、『小沢さんって敵対する役だと連絡もくれないんだ?』って言われた。『Lily』って英語で書いてあるから、『俺こんなホステス知らない』と思ってブロックしちゃった」と失敗話を披露した。
小沢は最後に、「旧知の人も新しい人も含めて、本当に馴れ合いではない本気で挑んだ渾身の一撃だと思っています。観て、喜んでもらえたら、監督・キャスト一同苦労した甲斐があるなと思います」と最後は真剣に、本作に込めた想いが滲み出るような挨拶で舞台挨拶を締め括った。
登壇者:小沢仁志、坂ノ上茜、勝矢、圭叶、山口祥行、加藤雅也、かたせ梨乃、園村健介監督
(オフィシャル素材提供)
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