イントロダクション
1960年代末から70年代半ばにかけ、アメリカ映画界に革命をもたらした<アメリカン・ニューシネマ>の数々。中でも後の映画、音楽などさまざまなカルチャーやクリエイターたちに大きな影響を与え続けている映画『バニシング・ポイント』(71)の4Kデジタルリマスター版が、3/3(金)よりシネマート新宿、ヒューマントラストシネマ有楽町ほかにて全国順次公開となる。
ベトナム戦争渦中のアメリカの衝撃的実態を映し出して60年代に終わりを告げた『イージー★ライダー』(69)から2年、すでにこの国は終わっているという諦念をもって70年代という新しい時代を切り開いた映画『バニシング・ポイント』(71)。60年代末から70年代半ばにかけ、アメリカ映画界を根底から揺るがした<アメリカン・ニューシネマ>を代表する一作だ。コロラド州デンバーからサンフランシスコまでの2,000キロを不眠不休、15時間で走り切るという、スピードにすべてを賭けた男、コワルスキーの姿を、体制も反体制も超越した、乾ききった精神性で鮮烈に描く。既存の体制や文化への反抗や、現実に敗北する主人公の姿を描いた多くのニューシネマとは一線を画し、何も求めない主人公の虚無感が全篇を貫いている。そして、壮絶なカー・チェイスと高鳴るロックのなか、コワルスキーの不条理なまでの逃走劇は、観る者をかつて辿り着いたことのない次元にまで導いていく。
消失点の彼方に、地上最後の<自由の魂>が解き放たれる──。
ストーリー
ベトナム戦争で名誉勲章、元バイク・レーサー、元ストックカー・レース・ドライバー、警官を懲戒免職処分となり、いまは車の陸送を生業にするコワルスキー(バリー・ニューマン)は、デンバーから1200 マイル離れた西海岸サンフランシスコまで、白の70年型ダッジ・チャレンジャーを15時間で届ける賭けをした。
交通法規を無視して爆走するコワルスキーを追って各州警察が追跡を続ける中、警察無線を傍受した盲目の黒人DJスーパー・ソウル(クリーヴォン・リトル)がその様子をラジオで実況中継を開始。死の恐怖もいとわず、憑かれたようにハンドルを握るコワルスキーは、大勢の野次馬やメディアが押し寄せる中、ブルドーザー2台によって道路封鎖されたバニシング・ポイント<消失点>に向かい、アクセルを踏み込んでいく……。
(原題:VANISHING POINT、1971年、アメリカ、上映時間:99分)
スタッフ&キャスト
監督:リチャード・C・サラフィアン
製作:ノーマン・スペンサー
原案:マルコム・ハート
脚本:ギレルモ・ケイン(ギリェルモ・カブレラ=インファンテ)
撮影:ジョン・A・アロンゾ
テーマ曲「バニシング・ポイント」“Nobody Knows”byキム&デイヴ
編集:ステファン・アルンステン
スタント・コーディネーター:キャリー・ロフティン、ルー・イライアス
出演:バリー・ニューマン、クリーヴォン・リトル、ディーン・ジャガー、ヴィクトリア・メドリン、ポール・コスロ、ギルダ・テクスター、デラニー&ボニー&フレンズ、アンソニー・ジェイムス、セヴァーン・ダーデン、ジョン・エイモス
ギャラリー
予告編
オフィシャル・サイト(外部サイト)
公開表記
配給:コピアポア・フィルム
3月3日(金)よりシネマート新宿、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開!
(オフィシャル素材提供)