ハンガリーが誇る映画監督の一人であり、女性として初めてベルリン国際映画祭金熊賞に輝いたメーサーロシュ・マールタ。
その後も、カンヌ国際映画祭での受賞歴をはじめ国際的な評価を得ながらも、彼女の作品はいずれも日本では劇場未公開。
女性の主体性を脅かす社会の相貌にカメラを向けてきたメーサーロシュ。その誠実なまなざしが、時代を超え、今ここに。
この度、メーサーロシュ・マールタ監督特集上映のキービジュアルおよび予告編が解禁、併せて5月26日(金)より新宿シネマカリテほか全国にて順次公開となることが発表された。
本上映は、国際的な評価を得ながらも日本では上映の機会に恵まれなかったハンガリーの映画監督メーサーロシュ・マールタ Mészszáros Márta, 1931/9/19~)の特集上映となる。
イザベル・ユペール、アンナ・カリーナ、デルフィーヌ・セイリグ……名だたる俳優を魅了し、アニエス・ヴァルダがオールタイム・ベストのひとつとしてその作品を挙げた、ハンガリーの映画監督メーサーロシュ・マールタ。
彼女は第二次世界大戦中、スターリンの粛清が吹き荒れるなか、両親を亡くした。孤児となった彼女は、ソヴィエトとハンガリーを行き来する人生を送っていた。彼女の作品にハンガリー事件(1956年)やファシズムの記憶が度々刻まれるのも必然だろう。そしてそれは、ロシアによるウクライナへの侵攻でヨーロッパ世界が揺れるいまこそ再考すべき歴史であることは言うまでもない。
珠玉の作品群の中から、1975年ベルリン国際映画祭金熊賞に輝いた『アダプション/ある母と娘の記録』をはじめ、青春音楽映画の決定版『ドント・クライ プリティ・ガールズ!』、ドキュメンタリー作家としてキャリアをスタートさせたメーサーロシュが、作為性や修飾を極限にまで削ぎ落した「真実」の記録『ナイン・マンス』、結婚生活に絡めとられる二人の女性の連帯を、厳しくも誠実なまなざしで捉えた精緻な秀作『マリとユリ』、イザベル・ユペール最初期の重要な出演作であり、見落とすことができない意欲作『ふたりの女、ひとつの宿命』の5本が日本初公開となる。
今回公開された予告編では、「知りたいんです、この年で子どもが産めるかどうか」という印象的な台詞から始まり、5作品それぞれの象徴的な場面が描かれている。一貫して選択する女性の姿を描き続け、ハンガリー映画の一翼を担ってきたメーサーロシュの片鱗が見える映像となっている。
また、クリエイター支援に強みを持つ「MOTION GALLERY」でのクラウドファンディングを2月15日(水)まで実施中。リターンとしてオリジナル・ポストカードや劇場鑑賞券、パンフレットなどが用意されている。
本作を一人でも多くの方に届けるためにもどうかご賛同、ご支援のほどを!
クラウドファンディングサイト:https://motion-gallery.net/projects/MeszarosMarta(外部サイト)
監督:メーサーロシュ・マールタについて
1931年、ハンガリーの首都ブダペシュトに生を受ける。ファシズムが台頭する戦間期、両親とともにキルギスへ逃れるも、父親はスターリンの粛清の犠牲となり、その後、母は出産で命を落とした。ソヴィエトの児童養護施設に引き取られ、戦後ようやくハンガリーへ帰郷する。
1968年から長編映画を撮り始める。残酷な社会のなかで日々決断を迫られる女性たちの姿を描きながら、ファシズムの凄惨な記憶や、東欧革命の前兆であるハンガリー事件の軌跡など、そのまなざしは暴力と化す社会の相貌をも見逃さない。
1975年の『アダプション/ある母と娘の記録』は、第25回ベルリン国際映画祭において女性監督としてもハンガリーの監督としても史上初となる金熊賞受賞の快挙を成し遂げた。その後もカンヌ国際映画祭をはじめ数々の国際映画祭で受賞を果たし、同時代のアニエス・ヴァルダらと並び、もっとも重要な女性作家としての地位を確立した。最新作は2017年の「Aurora Borealis:Northern Light」。
オフィシャル・サイト(外部サイト)
Twitter:@MeszarosMartaJP
公開表記
配給:東映ビデオ
後援:駐日ハンガリー大使館/リスト・ハンガリー文化センター
2023年5月26日(金) 新宿シネマカリテほか全国にて順次公開