イベント・舞台挨拶

『レジェンド&バタフライ』ティーチインイベント

©2023「THE LEGEND & BUTTERFLY」製作委員会

 東映創立70周年記念作品として、日本映画史上最高峰のキャスト・スタッフが集結して製作された映画『レジェンド&バタフライ』。壮大なスケールで、誰もが知る日本史上の“レジェンド”織田信長と、謎に包まれたその正室・濃姫(別名“帰蝶”)の知られざる物語を描いている本作。公開31日間で169万人を動員し、累計興行収入21.9億円を突破、公開から吹き荒れる“レジェバタ旋風”は勢いを増すばかり! そして24日(金)に、大友啓史監督と脚本の古沢良太、そしてプロデューサーの須藤泰司と井元隆佑といった製作陣が登壇するティーチインイベントが開催された。

 イベントは、この作品が企画された当初の話から始まった。「宮本武蔵」という作品で木村拓哉が東映京都撮影所に訪れた際、「信長として帰ってきたい」という言葉をプロデューサーの井元に残したという。その言葉を井元は須藤に相談を持ち掛け、一方須藤は、脚本家の古沢良太と京都撮影所でオリジナルの時代劇を作らないかという話をしていた。井元から木村の言葉を聞いた須藤は、「最高の企画が出来るのではないか」と思い、この企画が立ち上がった。そして、2021年の1月に井元と須藤が大友啓史のもとを訪れる。「古沢良太脚本、木村拓哉と綾瀬はるかで信長をやりたい」という企画の内容と共に、「大河ドラマを『龍馬伝』で変え、『るろうに剣心』で邦画アクションを刷新したように、新しい時代劇を作ってほしい」というプロデューサー二人の強い想いを受け、大友も快諾したという。

 その後、大友と古沢は企画について3時間ほど話す機会をもったという。プロデューサー陣より「木村拓哉で織田信長の映画を作りたい」という思い、そして古沢が持っていた「戦国時代の政略結婚をネタにしたラブコメを作りたい」というアイデアが混ざり合い、本作が誕生したのだ。

 そして打合せをしてから1ヵ月後、古沢から脚本が届く。大友は脚本を読んで「この気持ちのまま早く撮ったほうがいい、と思うのは人生で初でした」と当時を振り返る。古沢もその時のことを「描いているときには不安だったのですが、初稿を気に入ってくださってよかったです。僕の本は軽薄なので(笑)。『ハゲタカ』のときからファンだった大友監督のリアリズムと重厚感が脚本に付与されたらいいなと思いました。」と、謙遜しながら語った。「脚本は、現場の設計図」と話す大友だが、その後の撮影においても、製作期間に十分な余裕はなかったが、古沢が書いた“設計図”がしっかりと骨格があったからこそ、順調に進んでいったのだ。

 企画当初から撮影までを製作陣の目線で振り返った後、映画を観たばかりの観客からの質問へ。

 本作は2時間48分というボリュームのある作品であるが、その上映時間がどのように決まったのか問われると、「もっと長くも出来た」と話すのは大友。サブ・キャラクターそれぞれを膨らまし、最初の段階では3時間40分ほどあったというが、「信長と濃姫のストーリー」という軸にこだわり、そのために不純な部分は削り、二人の物語に集中するための必要なシーンのみを凝縮したのだ。その結果、観る者は信長と濃姫に感情移入をし、クライマックスの大きな感動を得ることができたのだ。

 作品のもう一つの魅力となるのが、音楽。映画館の大音量で聴くに相応しい音楽へのこだわりについて聞かれると、大友は、「曲のイメージとタイトル(曲名)をつけて、音楽担当の佐藤直紀さんと話しました」と語る。一番こだわったのがストリングスだというが、信長と濃姫の二人のイメージに合わせ、「バイオリンよりもチェロの深い音色が欲しかった」大友は、通常は4人程度だというチェロ奏者を、本作では日本の一流チェロ奏者を32人も集めることで、信長と濃姫の深い関係性を、艶っぽく深みのある音色で表現できたという。また、冒頭の新婚初夜のシーンで使用されるパーカッションの音は、昔の黒澤映画のイメージをベースに、佐藤と相談を繰り返して完成した。

 信長と濃姫という、実在した人物を描いた本作。史実で残っている信長のエピソードと脚色の線引きについて聞かれた古沢は、歴史と史実の違いについてこう語る。「確度の高い記録に基づいた客観的事実、史実というのは実はわずかで、後の部分に関しては、根拠は分からないけれど、おそらく後世の創作だけどこういう逸話があるといったもの。これらが混ざって“歴史”を捉えられているので、守らなければいけない“史実”はわずかで、残りの逸話の部分はいくらでも作品のテーマにそって解釈すべきだと思っています。例えば、信長が薬草園をつくったという逸話があるのですが、この作品においては濃姫のためにつくったという解釈に変えていく。抑えなければいけない“史実”は抑えることで、歴史好きの人ほど面白がってもらえると思います」。


 一方で、史実が少なかった濃姫に関しては、「信長と対等にしたかった。戦国時代の女性は政略の道具として使われていたイメージが多いのですが、それだと全然面白くなくて。戦後の日本人が作り上げてきた女性像ではなく、戦国という生きるのが大変だった乱世でたくましく生きてきた女性を描きました。特に若い頃は男性よりも女性のほうがだいたい成長が早いので、彼女が信長を引っ張っていくというキャラクターにしたかったです。僕のイメージとしては、『ニキータ』のような、“斎藤道三が作り上げたサイボーグ”と設定していました。その彼女が、信長と出会って人間的に変わっていくというイメージでした」と、綾瀬はるか演じる濃姫が魅力あふれるキャラクターになった原点について、語った。

 終始、製作陣の情熱とレジェバタ・ファンたちの熱い想いが共鳴し合ったイベントは、熱狂の中幕を閉じた。

■登壇者:大友啓史監督、古沢良太(脚本)、須藤泰司(プロデューサー)、井元隆佑(プロデューサー)

公開表記

 配給:東映
 大ヒット上映中!!

(オフィシャル素材提供)

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