エドワード・ヤン、ツァイ・ミンリャンに続く才能、今、台湾で最も注目を浴びるホー・ウィディン監督作『青春弑恋』(読み方:せいしゅんしれん)が3月24日(金)に日本劇場初公開となる。
ヤン監督のポストモダンの傑作『恐怖分子』(86)で描かれた、何の接点も持たない人々たちの間の奇妙な連鎖反応を描いた群像劇と同テーマをデジタル時代にアップデートし、都市のミレニアル世代の若者の欲望と苦悩を野心的に描く。本作は、2021年トロント国際映画祭ワールドプレミア上映で公開されるや高い評価を受け、同年の東京国際映画祭決定が決まるや瞬殺でチケットは完売した超話題作。
物語は、一見何の関係もない6人が互いに影響し合い、オンライン・ゲーム、インフルエンサー、ポルノ、コスプレ、妄想、刀、恋愛のもつれをベースに、台北駅の無差別殺人事件に巻き込まれていく。ここ数年、台湾の映画やテレビでは、若者が犯した凶悪な公共犯罪の後日談を取り上げることが繰り返されるようになった。その事例を要とし、刺殺事件をきっかけに交錯するZ世代ティーンエイジャーたちの人生に焦点を当てたのが本作である。
主演は、心に闇を抱え権力を振るうストーカー役で強烈な毒気を放つリン·ボーホン。ジャッキー・チェンと共演した『ナイト・オブ・シャドー魔法拳』(20)など国際的に活躍する台湾期待の俳優。共演はムーン・リー。Netflixオリジナル・シリーズ『次の被害者』(20)で台湾のエミー賞と言われる「金鐘奨(ゴールデン・ベル・アワード)」最優秀新人賞を受賞。本作では心に孤独を抱える女性を情感たっぷりに演じている。撮影は『幸福都市』(18)でホー・ウィディン監督とタッグを組んでいるジャン・ルイ・ヴィアラール。監督がイメージする大都会・台北の光と影を登場人物の心の機微とあわせて美しく描写している。劇中に流れる音楽はショパンの「夜想曲(ノクターン)」。その美しい響きでこの作品に漂うメランコリーをより一層引き立てる。
一人の人間の行動が、身近な人間だけでなく、見ず知らずの人間にまで波紋を広げるという斬新なストーリーを、やがて巧みなサスペンスへと昇華する。残念ながら、ヤン監督はデジタル時代の到来を見届けることはできなかったが、ホー監督の敬意に満ちたオマージュは、巨匠が今日の世界をどう解釈していたかを、美しくも力強く示すことに成功している。
この度、場面写真が解禁となった!
解禁された場面写真は、雨の中自転車を漕ぐ男、台北駅でヘッドフォンをしながら不安な表情を浮かべる女、楽しそうにする男女、ワイングラスを持ち想いに耽っている女優、タバコを吸うマッサージ嬢、部屋の中のコスプレイヤーと物語の中心となる登場人物の6人。まさに映画でも描かれている都市のミレニアル世代の若者の欲望と苦悩が場面写真からも感じられる。
本作の監督を務めるホー・ウィディンは、「本作の中国語タイトルの最初の言葉は「青春」、残りは「弑恋(しれん)」と読むのですが、言葉遊びとして、「弑恋」は同じ発音の「試練」にかけているのです。つまり、青春(若者)の試練という意味にもなっています」とタイトルの意味を語っている。
「衝撃的そしてスタイリッシュ-Variety」「孤立した魂の人間交差点から見える不都合な真実-Screen Daily」「盲目的で真実な愛の描写-The Film Stage」など世界中からも高く評価されている本作にぜひご注目を!
公開表記
配給:2ミーターテインメント(2MT)
3月24日(金)よりシネマート新宿・心斎橋ほか全国順次公開
(オフィシャル素材提供)