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市川 崑監督不朽の名作『ビルマの竪琴 総集篇』4Kデジタル復元版 第47回香港国際映画祭クラシック部門にてワールドプレミア上映決定!

©日活

 1956年日活製作の市川 崑監督作品『ビルマの竪琴 総集篇』4Kデジタル復元版が、第47回香港国際映画祭のクラシック部門に日本映画として唯一選出され、ワールドプレミア上映されることが決定した。上映に合わせて、鉄線を隔てて見つめ合う僧侶と兵士たちが印象的な海外版ポスタービジュアルも解禁となった。

■第47回香港国際映画祭は2023年3月30日より4月10日まで香港にて開催され、『ビルマの竪琴 総集篇』4Kデジタル復元版は3月30日にワールドプレミア上映

 香港国際映画祭は1977年にスタートし、メジャー作品からインディペンデント作品、クラシック作品まで幅広く紹介するアジアで最も歴史のある映画祭。毎年50ヵ国から280作品以上が選出されており、前々回は、黒沢 清監督『スパイの妻』、濱口竜介監督『偶然と想像』が上映され、今年は生誕90周年を迎える伊丹十三監督の特集上映が行われる。クラシック部門は、復元された作品に再び栄光を与えるため2010年に設立された。日本映画はこれまでに『雁の寺』(川島雄三監督)、『七人の侍』(黒澤 明監督)、『夜の片鱗』(中村 登監督)など、名だたる巨匠の作品の復元版が選出されている。今年の同部門においては、エルンスト・ルビッチ監督『ウィンダミア夫人の扇』、ベルナルド・ベルトルッチ監督『暗殺の森』などが選ばれ、本作は唯一の日本映画となる。

■国際的評価も高い不朽の名作が、市川 崑のスピリットを受け継ぐスタッフ、技術者の手により4Kデジタル復元

 『ビルマの竪琴 総集篇』(1956年)は竹山道雄原作の同名小説を巨匠・市川 崑監督が映画化し、第17回ヴェネチア国際映画祭にてサン・ジョルジョ賞を受賞、第29回米アカデミー賞®外国語映画賞にもノミネートされた市川 崑監督の代表作のひとつ。
 市川崑監督は生涯で80本の映画を残し、そのモダンなセンスと陰影に富んだ大胆な映像は多くのクリエイターに影響与え、山田洋次をはじめ、三谷幸喜、庵野秀明、岩井俊二など市川 崑ファンを公言する人は少なくない。本作は当時、ビルマ連邦(現在のミャンマー連邦共和国)への渡航許可が下りず止むなく国内ロケのみで制作した「第一部」を1956年1月に公開、その後ビルマでのロケが実現し完成させた「第二部・帰郷篇」を1956年2月公開した。しかし、市川監督の強い希望によって、すべてのシーンを再編集し「総集篇」を完成させた。1985年には、監督本人によってカラー作品としてリメイクされるなど、市川監督にとって最も思い入れの強い作品といえる。

 この4Kデジタル復元版は、市川 崑監督が設立した市川 崑プロダクションを継承した崑プロ監修のもと、近年市川作品の多くの復元版の監修を手掛ける映画編集者・長田千鶴子(1975年以降、市川監督作品すべての編集を担当。日本アカデミー賞最優秀編集賞を二度受賞)が立ち合い、崑プロに保管されていた制作当時の監督のメモ入りの脚本などを参考に行われた。復元作業は、昨年の第79回ヴェネチア国際映画祭クラシック部門にて最優秀復元映画賞を受賞した『殺しの烙印』を手掛けたIMAGICAエンタテインメントメディアサービスにより行われ、市川 崑のスピリットを受け継ぐ映画技術者たちの手によって完成した。

長田千鶴子(おさだ・ちずこ)氏 コメント

 クオリティの高い『ビルマの竪琴 総集篇』4Kデジタル復元版を作るにあたり、複数の素材をチェックして、各素材の良いところを生かしました。そのため、タイトルを抽出して別の素材に入れたり、ズレが生じた音を調整したり、かなり細かい作業を行いました。素晴らしい感動の作品です。音楽も白黒の映像も。
 ぜひ香港映画祭で多くの方に観ていただきたいと思っています。きっと満足していただけると思います。

『ビルマの竪琴 総集篇』作品紹介

 第17回ヴェネチア国際映画祭 サン・ジョルジョ賞受賞
 第29回米アカデミー賞®外国語映画賞 ノミネート作品

ビルマでロケを敢行し、雄大なスケールと名曲で反戦を伝える不朽のヒューマンドラマ

©日活

あらすじ
 1945年、日本軍の戦況が悪化していたビルマ戦線。ある小隊に竪琴の名手・水島上等兵がいた。
 敗戦後、水島のいる部隊は収容所に送られるが、水島は戦闘を続ける日本軍に降伏を説得するために地方に派遣される。そして、多くの兵士の死体を見て、戦地で逝った彼らの魂を供養するために僧侶となり、現地に留まることを決意する……。
 日英両軍の歌詞で歌われる「埴生の宿」、僧侶になると決意した水島が、隊員たちに日本に帰らないと意思を告げるシーンでの「仰げば尊し」など、劇中に流れる美しい音楽が、戦争と平和というテーマを真摯に伝え、市川崑の正攻法の演出が静かな感動をよぶヒューマン・ドラマの傑作。

スタッフ&キャスト
 監督:市川 崑
 脚本:和田夏十
 原作:竹山道雄
 撮影:横山 実
 音楽:伊福部昭
 出演:三國連太郎、安井昌二、浜村 純、内藤武敏、西村 晃、春日俊二、北林谷栄、三橋達也、伊藤雄之助ほか

 (1956年、日本、上映時間:116分)

配給:日活

市川 崑(いちかわ・こん) 1915年11月20日 – 2008年2月13日 享年92歳

 三重県出身。旧名、市川儀一。アニメーションと時代劇に夢中になり映画を志す。
 1933年J.O.スタジオに入社。アニメ制作に携わり、短編アニメ『新説カチカチ山』(36)で、企画、原案、脚本、作画、監督、撮影、編集を一人で担当する。
 37年、東宝映画で石田民三、伊丹万作らの助監督を務める。
 39年、東宝映画東京撮影所に転籍し、上京。48年、『花ひらく』で監督デビュー。同年、茂木由美子(後の脚本家、和田夏十)と結婚。
 73年、市川崑プロダクションを設立。スピーディな展開、ドライなコメディ・センス、モダンで実験的な演出、繊細な陰影の表現など<崑タッチ>と呼ばれるスタイルで多彩なジャンルの作品を残し、国際的にも高く評価されている。
 代表作に『ビルマの竪琴 総集篇』(56)、『炎上』(58)、『おとうと』(60)、『黒い十人の女』(61)、『東京オリンピック』(65)、『股旅』(73)、『犬神家の一族』(76)、『細雪』(83)など。
 また、テレビドラマ『木枯し紋次郎』や大原麗子が出演したサントリーのTVコマーシャルも手掛けた。
 セルフリメイク作品『犬神家の一族』(2006年)が遺作となった。

©日活

4Kデジタル復元版について

 日活株式会社が所蔵する2種類の35㎜マスターポジフィルムを元素材として、2022年にデジタル復元を行ったもの。
 復元:日活株式会社、国際交流基金
 デジタル修復:株式会社IMAGICAエンタテインメントメディアサービス
 監修:崑プロ、長田千鶴子

公開表記

 配給:日活

(オフィシャル素材提供)

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