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「イタリア映画祭 2023」今世紀最高の俳優 トニ・セルヴィッロによる朗読劇「ダンテの声」、一夜限りの日本初上演が決定

©NicolasSpiess

 2001年に始まり、毎年春の恒例イベントとして今年で23回目の開催となる「イタリア映画祭2023」が東京では5/2(火)~7(日)、大阪では6/10(土)~11(日)にて開催となる。初来日となるトニ・セルヴィッロの映画祭参加に加え、朗読劇上演決定情報が解禁となった。
 上映作品はすべて本映画祭での上映が日本初公開となり、イタリア喜劇のヒット作からスターが出演するエンタメ作品、国際映画祭をにぎわした映画やLGBTQ+やSDGsをテーマにした作品などフレッシュでバラエティーに富んだ全14作品。この映画祭でしか観ることができない貴重な作品が並ぶ。

今世紀最高の俳優トニ・セルヴィッロ、朗読劇「ダンテの声」にも出演。

 2020年ニューヨーク・タイムズによって21世紀の最も優れた25人の俳優の1人に選ばれたイタリアの名優トニ・セルヴィッロが、「イタリア映画祭2023」にあわせて初来日する。セルヴィッロは、当初は演劇を活動の場としていたが、30代になって映画界にも進出。評価を決定づけたのが、アカデミー賞®外国語映画賞を受賞した盟友パオロ・ソレンティーノ監督作『グレート・ビューティー/追憶のローマ』の作家でジャーナリストのジェップ役。その他、現代イタリアの腐敗や偽善、栄光、不条理な強さを描くソレンティーノの作品には無くてはならない存在として、実在の政治家、首相など複雑なキャラクターを演じている。ヨーロッパ映画賞〈男優賞〉を二度、ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞〈主演男優賞〉を四度受賞し、今も映画と舞台の両輪で活躍。演出家として舞台や、モーツァルト、ムソルグスキー、ロッシーニ、プッチーニのオペラの演出なども手掛ける。
 この度、現代ナポリを代表する小説家・演出家でもあるジュゼッペ・モンテサーノによるセルヴィッロによる朗読劇「ダンテの声」の日本上演が決定。「ダンテの声」はミラノのピッコロ・テアトロ・ディ・ミラノ – ヨーロッパ劇場により製作され、ダンテ・アリギエーリの『神曲』を原作に現代社会に照らし合わせながら、人間の情熱を探求する旅を描いたもの。モンテサーノは、哲学の教師、演出家、小説家と多方面で活躍しており、イタリア文学界最高の賞であるストレーガ賞のファイナリスト、また1999年発表の 『Nel corpo di Napoli』でナポリ賞を受賞している。モンテサーノによる独自の解釈とセルヴィッロのコラボレーションは、大きな話題を集め、イタリアの各都市のほか、リスボン、プラハ、パリなどヨーロッパ各地で上演されており、今回の初来日に際し、アジア初の日本での開催が叶う運びとなった。
 スクリーン越しとはまた異なる舞台俳優・演出家としての顔をもつセルヴィッロの円熟した演技、肉声を生の朗読劇で堪能できる稀有な機会となっている。

 くしくも「イタリア映画祭2023」での上映作品は、演劇に関連の深いタイトルが集まっていることにも注目したい。ロベルト・アンドー監督作『奇妙なこと』は、20世紀を代表するノーベル文学賞受賞作家で劇作家のルイージ・ピランデッロの戯曲『作者を探す六人の登場人物』がどのように世に出ることになったかを描き、セルヴィッロがルイージ・ピランデッロ本人を演じている。オープニング上映作品『遺灰は語る』は、ピランデッロの遺灰がローマから故郷シチリアに運ばれる旅を描く、タヴィアーニ兄弟の弟パオロによるベルリン映画祭国際批評家連盟賞に輝いた一作だ。
 巨匠から若手まで、多種多様な14作品が一堂に会し、作り手たちの思いを感じながら、最新のイタリア映画の今を垣間見ることのできるイタリア映画祭。東京では有楽町・朝日ホールでの開催に会場が戻り、活気溢れる6日間になりそうだ。上映作品は、配信、劇場公開が困難なものが多く、日本語字幕&スクリーンで味わうことのできるこの貴重な機会をぜひ堪能してほしい。

<概要>朗読劇「ダンテの声」 ジュゼッペ・モンテサーノ作(日本語字幕付)

 開催日時:2023年5月5日(金・祝)19:00(開場18:30)
 場所:イタリア文化会館ホール
 主催:イタリア文化会館
 制作:ミラノ・ピッコロ座
  ※ 入場無料 お申込み:https://iictokyobooking.net/rsv/6186/(外部サイト)
  ※ 4/18正午より上記URLより、申込み受付スタート ※定員になり次第、受付は終了いたします。

イタリア映画祭2023

▼東京会場
 会期:5月2日(火)~5月7日(日)
 会場:有楽町朝日ホール(東京都千代田区有楽町2-5-1 有楽町マリオン11階)
 主催:朝日新聞社、イタリア文化会館、チネチッタ 後援:イタリア大使館
  ※ チケットは4月1日(土)12:00からあさチケ(https://l-tike.com/st1/asahi-id-top-29、外部サイト)にて発売。
   (システムの都合上、座席を選択して購入ができるのは、4月2日[日] 0:00からになります。)
 <前売券>A~Y作品1回券:一般1,500円/学生1,200円 Z作品1回券:一般3,900円/学生3,300円
 <当日券>A~Y作品1回券:一般1,900円/学生1,600円 Z作品1回券:一般5,000円/学生4,200円

▼大阪会場
 会期:6月10日(土)~6月11日(日) 会場:ABCホール(大阪府大阪市福島区福島1-1-30)
  ※ チケットは4月21日(土)12:00(予定)からあさチケ(https://l-tike.com/st1/asahi-id-top-29、外部サイト)にて発売。
 主催:朝日新聞社、イタリア文化会館-大阪、チネチッタ 後援:イタリア大使館、イタリア領事館

イタリア映画祭2023 公式サイト

イタリア映画祭2023
日本初公開の最新のイタリア映画14本を一挙上映!

 公式twitter:@italianfilmfes

上映作品ラインナップ

A.『スイングライド』
  (2022年、96分)

 監督:キアラ・ベッロージ
 出演:ガイア・ディ・ピエトロ、アンドレア・カルペンツァーノ、バルバラ・キキャレッリ

 社会や家族から外れたアウトサイダーの二人の出会いと小さな旅を、研ぎ澄まされた映像と抑制された語り口で描く女性監督キアラ・ベッロージの2作目。両親と二人の妹と郊外に住む15歳のベネデッタは、日中はほぼ家と学校を往復するだけ。真夜中には冷蔵庫をあさるので母とは対称的に肥満体だった。ある日、移動式遊園地が家の近くにやって来る。その一員でトランスジェンダーのアマンダとの出会いが、ベネデッタの日常を変えていく。
 ベルリン国際映画祭パノラマ部門出品。

B.『あなたのもとに走る』
  (2022年、113分)

 監督:リッカルド・ミラーニ
 出演:ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ、ミリアム・レオーネ

 エンタメにも社会性を巧みに織り込むコメディーの名手リッカルド・ミラーニ監督(『これが私の人生設計』『ようこそ、大統領』)のヒット作。50歳のジャンニは、ハンサムな独身のスポーツマンで、有名な靴ブランドを経営していた。一方で、女性を虜にすることに情熱を注ぐプレイボーイで、新たなターゲットはひょんな事から車椅子に乗るキアラに。誘惑するために自分も車椅子を使用していると必死に偽装するジャンニだが、キアラと時を重ねるうちに考え方に変化が生じ始める。

C.『ノスタルジア』
  (2022年、118分)

 監督:マリオ・マルトーネ
 出演:ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ、フランチェスコ・ディ・レーヴァ、トンマーゾ・ラーニョ

 カンヌ国際映画祭コンペティション部門に選ばれ、主演ピエルフランチェスコ・ファヴィーノの重厚な演技が絶賛された名匠マルトーネ監督(『笑いの王』)の濃密なドラマ。国外に生活の拠点を移した中年男性フェリーチェは、年老いた母親に再会するために40年ぶりに故郷のナポリに戻ってきた。郷愁にかられて滞在が延びていくが、国外に突然去るきっかけになった秘密の過去に向き合うことを余儀なくされる。
 アカデミー賞®国際長編映画賞イタリア代表作品。

D.『警官ジジのアドベンチャー』
  (2022年、102分)

 監督:アレッサンドロ・コモディン
 出演:ピエル・ルイージ・メッキャ、エステル・ヴェルゴリーニ

 マジックリアリズム的な表現で不可思議な世界を表出させる稀有な存在、アレッサンドロ・コモディン監督の3作目。イタリア北東部ののどかな田舎を車でパトロールする警官ジジの日常は一見、平和そうだ。しかしある日、少女が列車に飛び込んで自殺してしまう。こういったことが起こったのは初めてではなく、自殺が相次ぐという説明しがたい状況に直面したジジは、現実とファンタジーの間をぬって奇妙な世界を調べ始める。
  ロカルノ国際映画祭で次席の審査員特別賞を受賞。

E.『デルタ』
  (2022年、105分)

 監督:ミケーレ・ヴァンヌッチ
 出演:アレッサンドロ・ボルギ、ルイージ・ロ・カーショ
 スケールの大きさを感じさせる若手ミケーレ・ヴァンヌッチ監督の骨太な2作目は、スターのアレッサンドロ・ボルギとルイージ・ロ・カーショが共演。舞台は厚い霧に包まれたポー川のデルタ地帯。外国から移ってきたフロリアン一家は、密漁を行っていた。地元の住民は川を守るために密漁を取り締まろうとするが、一家は監視の目をかいくぐる。住民と一家の間で対立は次第に高まり、ついには危機的な事態に陥る。
 ロカルノ国際映画祭ピアッツァ・グランデでプレミア上映。

F.『無限の広がり』
  (2022年、94分)

 監督:エマヌエーレ・クリアレーゼ
 出演:ペネロペ・クルス、ヴィンチェンツォ・アマート、ルアーナ・ジュリアーニ
 傑作『海と大陸』から11年ぶりとなる鬼才クリアレーゼ監督の5作目は、主演がペネロペ・クルス。1970年代のローマを舞台に、ある一家族を通してその絆や愛情について問いかける。新しいアパートに引っ越してきたボルゲッティ一家。愛情が冷めている夫婦をつなぎとめていたのは3人の子どもだった。だが、12歳の長女が自身のジェンダー・アイデンティティーに疑問を持つことをきっかけに、家族の絆が崩れ始める。
 ヴェネチア国際映画祭コンペティション部門出品。

G.『乾いたローマ』
  (2022年、124分)

 監督:パオロ・ヴィルズィ
 出演:シルヴィオ・オルランド、ヴァレリオ・マスタンドレア、モニカ・ベルッチ
 3年経っても雨が降らないローマとその市民はどうなるか? 危急の問題に大胆な設定と大予算で挑んだのは群像劇の名手ヴィルズィ監督(『人間の値打ち』)。誤って脱獄してしまった囚人、タクシー運転手、病院の医師、インフルエンサーの美女、SNSに熱中する中年男性、移民の青年ら。水不足で生活様式が変わり社会的格差が拡大する首都で、老いも若きも富める者もそうでない者もはたして救済されるのだろうか?
 ヴェネチア国際映画祭特別招待作品。

H.『奇妙なこと』
  (2022年、103分)

 監督:ロベルト・アンドー
出演:トニ・セルヴィッロ、サルヴァトーレ・フィカッラ、ヴァレンティーノ・ピコーネ

 芸術性と娯楽性を兼ね備えるロベルト・アンドー監督(『修道士は沈黙する』)の新作は、ノーベル文学賞受賞作家ルイージ・ピランデッロ(戯曲『作者を探す六人の登場人物』など)が主人公の喜劇。主演に再び名優トニ・セルヴィッロを迎え本国イタリアではヒットを記録。1920年、創作の危機に陥っていたピランデッロは彼の師である有名な小説家の誕生日のためにシチリアに帰郷する。そこで昼は墓堀人で、夜はアマチュア劇団を率いる二人の男との出会いが、大きな驚きをもたらすことになる。

I.『キアラ』
  (2022年、106分)

 監督:スザンナ・ニッキャレッリ
 出演:マルゲリータ・マッズッコ、アンドレア・カルペンツァーノ、ルイージ・ロ・カーショ
 ヒロインの映画を作り続けてきたスザンナ・ニッキャレッリ監督(『ミス・マルクス』)の5作目は、女性の修道会のための独自の会則を書いた最初の修道女、聖キアラの物語。アッシジ、1211年。結婚させられそうになった18歳のキアラは家を飛び出し、貧しい人々や病気の人々を助け、神に仕えるフランチェスコの活動に加わる。カリスマ的なキアラは、自分自身のみならず、女性たちや自由という夢のために闘い始める。
 ヴェネチア国際映画祭コンペティション部門出品。

J.『はちどり』
  (2022年、125分)

 監督:フランチェスカ・アルキブージ
 出演:ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ、カシャ・スムトニャク、ベレニス・ベジョ

 イタリア文学の最高峰ストレーガ賞に輝き、世界20言語以上に翻訳された小説をアルキブージ監督(『ハートの問題』)が豪華キャストで映画化したヒット作。眼科医マルコ・カッレーラ(愛称は「はちどり」)の運命的な偶然と絶対的な愛に揺さぶられる人生を、時間軸を巧みに交錯させながら描く。ヴァカンスで青年マルコはルイーザと恋に落ちるが、二人は離ればなれに。大人になったマルコは別の女性マリーナと結婚するが……。
 ローマ国際映画祭オープニング作品。

[オープニング作品]

W.『遺灰は語る』
  (2022年、90分)

 監督:パオロ・タヴィアーニ
 出演:ファブリツィオ・フェッラカーネ、マッテオ・ピッティルーティ、ロベルト・エルリツカ

 1936年、ノーベル文学賞受賞作家のピランデッロが死去。ムッソリーニは、その遺灰をローマから手放さなかった。戦後、ようやく遺灰は故郷シチリアに帰ることになるが、次々にトラブルに見舞われる……。タヴィアーニ兄弟の弟パオロが、兄ヴィットリオ亡き後、初めて発表し、ベルリン映画祭国際批評家連盟賞に輝いた。エピローグとしてピランデッロの遺作「釘」から脚色された一編も描かれる。
 6/23ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館他全国順次公開。

[特別上映]

X.『蟻の王』(仮題)
  (2022年、130分)

 監督:ジャンニ・アメリオ
 出演:ルイージ・ロ・カーショ、エリオ・ジェルマーノ、サラ・セッラヨッコ

 1960年代末、同性愛に対する差別がはびこる中、教え子の青年と恋に落ち、教唆罪で投獄された実在の詩人で劇作家アルド・ブライバンディの人生にインスパイアされた物語。裁判で偏見にさらされるアルドと、家族によって矯正施設送りとなる青年エットレ。二人の愛の行方は……。監督は名匠ジャンニ・アメリオ。「今も存在する“違う人”に対する憎悪に、立ち向かう勇気を与えたい」と制作の動機を語る。
 ヴェネチア国際映画祭コンペティション部門出品作。

Y.『旅するローマ教皇』
  (2022年、83分)

 監督:ジャンフランコ・ロージ
 ドキュメンタリーの名匠ジャンフランコ・ロージ監督最新作では、ローマ教皇の真の姿に迫る。 2013年から9年間、37回の旅、53ヵ国を訪れた教皇の旅の膨大な記録映像と、これまで圧倒的な映像美により世界を切り取ってきた監督による撮りおろし映像を交えながら紡いだ新たなドキュメンタリーの傑作が誕生した。貧困、紛争などさまざまな問題を抱える世界の片隅で生活する市井の人々の姿が教皇の旅を通して描き出される。2023年秋全国順次公開予定。

Z.『夜のロケーション』
  (2022年、330分)

 監督:マルコ・ベロッキオ
 出演:ファブリツィオ・ジフーニ、マルゲリータ・ブイ、トニ・セルヴィッロ

 巨匠マルコ・ベロッキオ監督の渾身の一作は、上映時間330分の超大作。1978年、世界を震撼させる事件がイタリアで起こる。アルド・モーロ元首相が極左テロ組織「赤い旅団」によって誘拐、暗殺された。監督は6つのエピソードを設け、それぞれにパウロ6世(ローマ教皇)、モーロの妻、内務相など中心的な人物を配置し、多角的な視点で謎めいた事件の真相を浮かび上がらせようと挑む。集大成的な本作はカンヌ国際映画祭でプレミア上映され、絶賛された。

(オフィシャル素材提供)

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