上海国際映画祭と並び中国を代表する国際映画祭である、第13回北京国際映画祭(4月22日~29日)の新人コンペティション「注目未来部門」で、第26回PFFスカラシップ作品『すべての夜を思いだす』(清原 惟監督)が審査員特別表彰を授与された。
吉報を受け、清原 惟監督からの喜びの声、そして審査員の一人である、深田晃司監督からのコメントが到着した。
世界三大映画祭のひとつベルリン映画祭のフォーラム部門で、2018年に前作『わたしたちの家』、今年『すべての夜を思いだす』が上映された清原 惟監督。初長編から2作品連続出品という快挙を成し遂げ、既に、海外でも高い注目を集めている。
本作は、2月のベルリン映画祭での上映後、世界中から選りすぐった新人監督の作品が集結することで著名な「ニューディレクターズ・ニューフィルムズ」(ニューヨーク)と注目の映画祭で次々に上映され、その感性と独自の世界観が激賞されている。
現在も、世界中から招待の打診が続く中、国内公開に向けて準備中なので、今後の展開に注目いただきたい。
コメント
清原 惟監督
このような賞をいただけたこと、とても光栄に思います。
この映画の最初の構想ができたのは5年前でした。私自身とても思い入れがあった最初の構想ですが、新型コロナウイルスの流行も含めたさまざまな問題が重なり実現することはできず、それから二回企画が変わりました。完成に辿り着くまでにたくさんの困難があったので、心が疲れ諦めそうになったこともありました。
それでも、この映画が誕生することができたのは、素晴らしいキャストとスタッフの皆さんが、この作品の向かう先を共に考え作ってくれたからです。その力なくては生まれなかった映画だと、心から思います。
そして、この静かな映画が発する声に耳を澄ませ、発見してくれた、北京国際映画祭の皆さん、審査員の皆さんに感謝いたします。
審査員・深田晃司監督
とても平易な語り口で、かつ大胆に、世界のあり方を示してみせた映画でした。アクションの連鎖するユニークなリズムを紡いでいった俳優たちも素晴らしかった。私たちと隣り合う生きた時間がここにありました。受賞おめでとうございます。
監督プロフィール
清原 惟(きよはら・ゆい)
1992年生まれ、東京都出身。東京藝術大学大学院の修了制作作品 『わたしたちの家』がPFFアワード2017にてグランプリを受賞、ベルリン映画祭フォーラム部門での上映を皮切りに、18の海外映画祭で上映。国内でも劇場公開され、大きな話題を呼ぶ。
第26回PFFスカラシップの権利を獲得して制作した本作『すべての夜を思いだす』が、商業映画デビューとなる。
『すべての夜を思いだす』作品情報
ストーリー
世代が違う女性たちの一日の断片が響きあう
多摩ニュータウンですれ違う三人の女性たち。誰かにとって大切な記憶が、ほかの誰かの一日と呼応する。街に積み重なる時間の痕跡に触れ、小さな変化が起きていく、ある一日の物語。
(2022年、日本、上映時間:116分)
キャスト&スタッフ
監督・脚本:清原 惟
出演:兵藤公美、大場みなみ、見上 愛、内田紅甘、遊屋慎太郎、奥野 匡
プロデューサー:天野真弓
撮影:飯岡幸子
照明:秋山恵二郎
音響:黄 永昌
美術:井上心平
編集:山崎 梓
(オフィシャル素材提供)