大人も泣けるアニメとして300万人の心を動かし、現在のアニメ・ブームの礎となった「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」などアニメ・ファンだけでなくアニメに馴染みのない人たちの心も掴む脚本家であり、監督デビュー作となった『さよならの朝に約束の花をかざろう』で国内外から高い評価を得た岡田麿里。2作目となる監督最新作で、数々のヒット作を手がけるスタジオMAPPA初のオリジナル劇場アニメーション作品となる『アリスとテレスのまぼろし工場』が、ワーナー・ブラザース映画とMAPPAの共同配給で、9月15日(金)から全国公開となる。
この度、アニメーションスタジオMAPPAが、5月21日(日)、東京ガーデンシアターにて実施したスペシャルイベント「MAPPA STAGE 2023」にて、『アリスとテレスのまぼろし工場』のスペシャルステージが行われ、本作の最新情報が解禁された。
岡田麿里による完全オリジナル・ストーリーで、MAPPA初のオリジナル劇場アニメーション作品となる『アリスとテレスのまぼろし工場』。岡田監督の才能に惚れ込んだ、MAPPAの大塚社長が「岡田監督の作りたい世界を徹底的に追求した作品を作りたい」と制作を決意したこのプロジェクトは、2021年に制作発表され、同時に公開された特別映像は瞬く間に500万回以上の再生回数を叩き出し世界から注目を集めている。
その後、新しい情報はなくヴェールに包まれていたが、この日は最新情報が発表されるとあってステージに会場に集まった5,000人を超える観客たちの期待の眼差しが注がれる中、MCの呼び込みで榎木淳弥、上田麗奈、久野美咲の3名が登場! 歓声が鳴り止まない中、本作のメインキャストを、榎木、上田、久野が務めることが発表された。
併せて、本作が「ある日突然起こった製鉄所の爆発事故により出口を失い、時まで止まってしまった町」が舞台の物語であることも判明。この世界の住人たちは、いつか元に戻れるように“変化”を禁じられてしまう。
榎木が演じるのは、そんな閉ざされた世界で退屈な毎日をただ過ごす中学三年生の少年・菊入正宗。榎木は「正宗は14歳で時が止まっているという状態なので、退屈さや変化してはいけないこと思うところがあって、鬱屈したところからスタートしていく。睦実や五実と関わることでどう変化していくのか……ネタバレしそうで本当に怖い……!」と恐る恐るながらも役どころを説明しつつ、「めちゃくちゃ濃厚な作品に仕上がっていると思います!」と自信満々に語った。
正宗の気になる存在で、少し大人びた雰囲気がある同級生の佐上睦実を演じることになった上田は「睦実はミステリアスな少女。この町のルール、“心を動かしてはいけない”“変化があってはいけない”という中で人一倍、“動かしてはいけない”と思っているキャラクター。なぜ、そこまでルールを守っているのか? 本当の気持ちはどこにあるのか? 探りながら観ていくと、より面白く観ていただけると思う。そんな絶妙なキャラクターになっている」と魅力を語った。
久野が演じる五実は、突然現れた言葉も話せず感情剥き出しの謎の少女で「言葉も話せないですし、野生の狼みたいな正体不明の……話せる内容が限られていて、何言ってもダメな気がする(笑)」と戸惑いながらも「正宗と睦実が五実と出会ってどう変わるかが重要なポイント」と物語の鍵を握る少女であることを明かした。
言葉を慎重に選びながらも、榎木は「3人とも主人公みたいな、3人の成長が描かれていく作品」と説明すると上田も、「皆さんのお芝居の爆発力がとんでもない!」と魅力を明かす。榎木と久野に対して「物語やキャラクターの成長を表現するお二人の爆発力はこの作品の見どころになるんじゃないかなって思ってます」と称賛すると、すかさず榎木も「上田さんも凄かったですよ!」、久野も「あんな麗奈ちゃん初めて見た!」と興奮気味に返した。「人間と向き合う作品だから、アフレコの時に3人でトライアングルになって、お互いを見ながらバチバチにアフレコした。楽しかった思い出がある」と榎木が驚きのエピソードを明かすと、会場からは感嘆の声が漏れた。
続いて、岡田監督から届いたメッセージが読み上げられ、メッセージと共に届いた、岡田監督からの質問へキャスト陣が回答するコーナーへ。久野は、生命力の塊である五実と自分に似ているなと思うところがあるかという質問に「ここ最近は自分の本能というか思いのままというか、衝動的に行動しちゃっている瞬間がある。野性味の強いキャラクターなのでそういった部分で重なるところはあるんじゃないかな?」と回答。すると榎木も久野に「野性味を感じる」と賛同。「やっぱり飲み屋での姿が……」とアフレコが終わり3人で初めて飲みに行った時に久野がはじけていたことを暴露、3人の仲睦まじいエピソードに会場は和やかな雰囲気に包まれた。上田に対しては演じた睦実が一筋縄ではいかない複雑な少女であることから、上田自身にも他の人には理解してもらえない習慣やクセがあるかという質問が投げかけられ「猫ちゃんが2匹いて、その子たちに行ってきますと挨拶してから家を出るんですけど、『もう一生会えなくなるかも……最後かもしれない……ありがとう!』と心の中で思ってからじゃないと家を出れない」と意外な一面を披露した。「猫も困惑していると思う」と榎木がツッコむも、まさかの久野が「気持ち分かる!」と意気投合する展開に。榎木のオーディション・テープを聞いた瞬間に「正宗を見つけた!」と思ったという岡田監督。テープを収録する際に自身でどんなディレクションをしたのか、という質問に対して榎木は「オーディションの時もあまり作品の情報がなかったけれども、リアルにやってほしいと言われて。アニメってデフォルメすることが多くてリアルにやる現場多くないので、リアルにやっていいと太鼓判をいただいたので、『じゃぁ、自分の好きな世界観を出そう!』と。セリフ聞き取れなくてもいいやってくらいの気持ちでやったら、岡田さんにすごい褒めていただいて。『よっしゃ! 受かった!』と思った(笑)」と、オーディション時の心境を素直に語った。
イベント中盤では最新のティザービジュアルと特報映像がお披露目された。陽の光に手にかざす謎めいた雰囲気の少女が大々的にデザインされたビジュアルがスクリーンに投影されると一同、「かっこいい!!」と声をそろえて絶賛!
特報映像は、<変化は悪>とされ“恋する”ことすら許されない世界で、葛藤する少年少女たちの切ない表情や泣き叫ぶ少女の声が容赦なく胸に突き刺さる映像となっており、観客もわずか30秒の映像ながら引き込まれている様子だった。
そして、岡田監督が10年ぶりに書き下ろした、本作の原作小説が角川文庫から発売されることも発表された。6月13日(金)より全国の書店および電子書店で発売が開始される。
最後に、久野「MAPPA初のオリジナル劇場アニメということで、岡田監督含めて、スタッフさんが命を削りながらこの作品と向き合っているので、一人でも多くの人に観てもらいたい。私も全部ぶつけてアフレコしたので、楽しみにしていただけたら」、上田「本当に恋っていいな、と思わせてくれる作品。大人になるにつれて恋みたいに心が激しく動くことって少なくなっていく。その中でこのキャラクターたちに触れて、こんなにも溢れて止まらないものがあるんだって、改めて恋っていいなぁって。みんなの熱量がフィルムから伝わってくる作品になっている」、榎木「岡田監督が100%こだわり抜いた作品になっている。こんなにアフレコで疲れたのは初めて。それだけエネルギーを秘めた作品になっている。劇場で観たら観終わった後、茫然としてしまうと思う。公開を楽しみにしていただけたら」と作品をアピールし、大歓声の中イベントは幕を閉じた。
岡田麿里監督最新作『アリスとテレスのまぼろし工場』は9月15日(金)より全国公開される。
岡田麿里監督メッセージ全文
『アリスとテレスのまぼろし工場』ですが、作品に関わってくれている多くのスタッフの情熱により、少しずつ作品の完成形
が見えてきました。
この作品を作っている理由の一つに、自分が子どもの頃に憧れた邦画や劇場アニメの空気を、現代の文法で作ってみたいというものがありました。抱いていた理想そのままに、どこか懐かしい、それでいてちょっと見たことがないような映像になってきていると思います。
少年たちが主人公の本作ですが、甘酸っぱい青春物とは全力で逆走している、ヒリヒリした青春を描いています。皆さんに楽しんでいただけますよう、スタッフ一同頑張ります。なにとぞよろしくお願いいたします。
登壇者:榎木淳弥、上田麗奈、久野美咲
公開表記
配給:ワーナー・ブラザース映画 MAPPA
9月15日(金) 全国公開
(オフィシャル素材提供)