第72回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門に出品された『パピチャ 未来へのランウェイ』のムニア・メドゥール監督が手がけた『裸足になって』(7/21(金)公開)より、シーン写真8点が解禁となった。
第72回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門に出品された『パピチャ 未来へのランウェイ』のムニア・メドゥール監督が手がけた『裸足になって』。北アフリカのイスラム国家、アルジェリアで、内戦の傷が癒えきらぬ不安定な社会の中でバレエダンサーになることを夢見るフーリアは、貧しくもささやかな生活を送っていた。しかしある夜、男に階段から突き落とされ大怪我を負い、踊ることも声を出すこともできなくなってしまう。すべてを失い、死んだも同然の抜け殻となったフーリア。そんな失意の中、彼女がリハビリ施設で出会ったのは、それぞれ心に傷を抱えたろう者の女性たちだった。「あなたダンサーなのね。わたしたちにダンスを教えて」その一言から始まったダンス教室で、また再び“生きる”情熱を取り戻していく――。
この度解禁されるシーン写真は、フーリアの傷つき、声を失っても絶えることのないダンスへの情熱を切り取ったカットを中心にした8点。
監督が“声”というコミュニケーション手段を失ったフーリアが、自分を表現する手段として、手話、ダンスなどの身体表現を取り入れていくことについて「手話を使ったダンスには、ある種の自由や美しさがあって、傷ついた身体は“再生”していくの」「身体を使って他人と意思疎通を図って、関係を作る必要があるから、映画ではダンスという手段を使っているの。女性にも、何かを生み出したいという欲望や変化の必要はあるのよ」と、コメントを寄せているように、怪我を負う前、ただひたすら無心でクラシック・バレエのレッスンに励む様子や、事件に巻き込まれ、言葉を失ったフーリアが新しく出会った仲間たちと過ごす中で少しずつ踊る楽しさを思い出していくシーンや、希望を取り戻すために、フーリアが“自分だけの踊り”を見つけていくカット、唯一無二の親友と清掃のバイト先のホテルで将来の夢を語り合う場面のほか、いずれも、どんな状況にあっても自分の信じる“ダンス”と共に前を向いて進んでいこうとする彼女の力強さを切り取ったものとなっている。
主人公フーリアのダンスは、手話をモチーフにしたコンテンポラリー・ダンス。言語の壁を超えた肉体表現として、どんな台詞よりも雄弁に私たちにその想いを訴えかける。抑圧された社会の中で、手を携えて立ち上がる女性たちとの交流を通じて、尊い慈愛と生きる力強さを瑞々しく描き出す。本作を手掛けたのは第72回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門に出品された『パピチャ 未来へのランウェイ』のムニア・メドゥール監督。主人公フーリアを体当たりで演じたのは、ウェス・アンダーソン監督『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』で、ティモシー・シャラメらと共演し、キュートな存在感を放ったことも記憶に新しい、アルジェリア出身の期待の新星リナ・クードリ。そして、製作総指揮は『コーダ あいのうた』でろう者の俳優として初めてのアカデミー賞®助演男優賞を受賞したトロイ・コッツァーが務めることも話題に。
本作の脚本も手がけたムニア・メドゥール監督は「アルジェリア社会を舞台に、現代の問題や、人間と言語の豊かさをもっと掘り下げたいという気持ちがあった」と言う。北アフリカのイスラム国家であるアルジェリアは1990年代に“暗黒の十年”と呼ばれる内戦が勃発、その治安回復と同時に膨大なテロ事件が起き、20年以上が経った今でも癒えない傷が人々の心に隠されているのだ。「『裸足になって』では、事故による変化に苦しむ若いダンサーの物語を語ることで、現在のアルジェリアの歴史に再び踏み込むことにした」「私は元々、ドキュメンタリー映画出身だから、映画でフィクションに書き直すために、自分の記憶の奥や体験に迫るのが好きなの。私自身、事故でかかとを複雑骨折した後、しばらく動けず、長いリハビリをしたことがあって、孤独や寂しさ、障害、そして何よりも再起について語りたいと思っていたのよ」と明かし「フーリアは再生して、最終的にはもっと強い女性、つまり彼女自身になる。耐えることにより偉大になったフーリアのヒロイン像は、傷つきながらも立ち上がるアルジェリアのイメージを想像して出来上がったわ」とコメントしている。
公開表記
配給:ギャガ
7月21日(金) 新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座ほか全国順次ロードショー
(オフィシャル素材提供)