ごみ屋敷を舞台に繰り広げられる断捨離人情喜劇『断捨離パラダイス』でゴミ清掃業者「断捨離パラダイス」のカリスマ社長・市木八吉役を演じた北山雅康がインタビューに応じ、共演者や萱野孝幸監督について語ってくれた。
本作は、「断捨離パラダイス」という名前の清掃業者がゴミ屋敷を掃除するという6篇からなるオムニバス形式で展開する。オール福岡ロケで撮影された。さまざまな事情を抱えた掃除の依頼主たちの人間模様が見どころ。
撮影に入る前に、北山は主人公の白高律稀役を演じた篠田 諒と教員役を演じた武藤十夢と3人で読みあわせを行った。「(篠田も武藤も)役に真摯に向き合い、3人で萱野監督の言葉に悩みながら、答えを探しながら、(監督の演出に)近づいていけた」と振り返り、そんな時間が「とても尊かった」と話した。
篠田の印象を、北山は「芝居が大好きな真面目でストイックな役者さん」と評した。篠田は、主人公・律稀の心を病んだ感じを出したいと、役作りで肉類を食べずに節制していた。そんな篠田と北山は長濱の卸売鮮魚市場で朝食に明太子を食べに行ったという。「めちゃくちゃ美味しくて、安くて2人で大感激しました」と笑顔で語った。
3月にアイドル・グループ「AKB48」を卒業し、初の映画出演となった武藤については「コロナ禍でずっとマスクでしたが、武藤さんが初めてマスクを外した顔を見たときに、“凛としてなんてきれいな方なのだろう”と思いました」と印象を語った。
ゴミ屋敷の主(あるじ)を怪演している泉谷しげるとも共演している。「優しくて、愉しい方。初めてで慣れないスタッフが多い中、深夜までの撮影にも怒ることもなく誰よりも元気で、文句も冗談にして笑わせてくれました。大好きです!」と素敵な共演者について語った。
萱野孝幸監督は普段は物静かな人物だそうだが、場合によって「ズサッと厳しめの演出をされる方。そして、何よりも『諦めない。何度もやる! 何度も!何度も!』。それと、映画が好きで信じられないほど多くの本数を観ておられます」。
役作りでは、監督のこだわりで何度も何度もテイクを重ねたという。見どころのひとつ、八吉がゴミの穴に落ちるシーンは「面白いからと用意された」と明かし、監督との呼吸もバッチリ。笑える楽しいシーンになっている。8回は落ちたという北山。
いままでキャリアを重ねてきた北山は俳優になって35年になる。役を考える上でいろいろと肩に力が入っていたという若い頃――。今では「少しの抜け感を大事に、いろいろ背負い込まず、今の等身大の自分に、演じる人物を重ねるようにしている。まずは『その役としてそこに立つ!』ように心がけているそうだ。そんな映画が大好きな北山の今後は、最近は日本人俳優にも大きく道が開けてきた「海外の作品にも出演したい!」という熱い思い。しかし、何よりも北山が目指しているのは「観ていただいて皆さまに何かを届けることができたら……。笑っていただいたり、ほっこりしていただいたり、あの人が出ていると和むなぁ~と思っていただければ……」という気持ちだ。
インタビューを終えて、北山は「タイトルにふさわしく、普段抱えているストレスや背負い込んでいるいろいろな重いものを“よっこいしょ”と下ろして、自由に前に進んでみませんか? きっと愉しいことがそこには待っています! この作品を観て、笑っていただいて、少しでも心が軽くなっていただければ……」と」とポジティブな言葉を伝えた。
※ 今後の出演作:舞台「無法地帯」7/5(水)~7/9 (日)「劇」小劇場
映画『こんにちは、母さん』(山田洋次監督)9月1日(金) 全国公開
(取材・文・写真:福住佐知子)
公開表記
配給:クロックワークス
全国公開中
(オフィシャル素材提供)