ドキュメンタリーとフィクションの両方で常に意欲作を作り続ける舩橋 淳監督の最新作『過去負う者』が、10月上旬より東京・ポレポレ東中野ほかにて全国順次公開されることとなった。併せてティザーポスターとチラシ、場面写真9点も解禁となる。
本作は、受刑者の採用を支援している実在の就職情報誌の活動にヒントを得て制作された劇映画である。日本の刑務所満期出所者が5年以内に再犯し、入所する確率は約50%。「世界一安全な国」を標榜しながら、一体、なぜ出所者は再び罪を犯してしまうのか? 背景には、再入所者の7割が無職だったという事実が示すように、元受刑者は「就労」がしづらいという大きな問題が横たわる。単にお金を稼ぎ、安定した住居を得るというだけでなく、他人から認められる意味でも社会復帰に重要とされている就労の問題は、数多ある映画の中でも、これまで大きく取り上げられることはなかった。
監督は劇映画からドキュメンタリーまで幅広く手がける舩橋 淳。実際のセクハラ事件に基づいて役者との即興劇で描いた前作『ある職場』(2022)と同様、自らプロデューサーも務め、前作とほぼ同じキャスト・スタッフで、前科者の社会復帰に横たわる問題を描いた。その先に見据えるのは、社会の不寛容が新たな犯罪を生んでしまう悪循環を変えたいという想い。あえて台本は用意せず、現場で俳優と演技を煮詰めてゆく「ドキュメンタリー×ドラマ」の演出手法は、観るものに震えるようなリアリティをもたらすだろう。
今回解禁されたティザーポスターとチラシに使用されたイラストを担当したのは、イラストレーターのハセナオ氏。かねてから元受刑者の更生支援に深く共感を寄せていたハセナオ氏が、映画の印象的なシーンから書き下ろしたイラストは過酷な現実の中にも一筋の光を感じさせ、「踏み誤ったとしても、支えたい」のコピーがひときわ強く響いてくるものとなっている。
また、6月9日より実施中のクラウドファンディングでは、リターンを全国の刑務所で受刑者がつくる刑務所作業製品とした。ネット上でも話題になった横須賀刑務支所の石けん「ブルースティック」、北海道・函館少年刑務所の「道中ウォレット」、栃木・栃木刑務所の「リストピロー」などで、どんな環境で製作されているのかも説明されており、“塀の中”を知る機会を提供している。製品の売り上げの一部は犯罪被害者支援団体の活動へ助成される。
★クラウドファンディング実施中! リターンはなんと刑務所作業製品!
(9月12日まで) https://motion-gallery.net/projects/bopthefilm(外部サイト)
公開表記
配給・宣伝:株式会社BIG RIVER FILMS
10月上旬よりポレポレ東中野ほか全国順次公開
(オフィシャル素材提供)