映画『スイート・マイホーム』ジャパンプレミアが都内で開催され、舞台挨拶に主演の窪田正孝、共演の蓮佛美沙子、奈緒、磯村アメリ(子役)とメガホンを取った齋藤 工監督が登壇してクロストークを繰り広げた。今作は、すでに中国・上海映画祭、米のニューヨーク・アジアン映画祭で上映されており、現地の映画ファンや関係者から大きな反響を呼んだ。
本作は、2018年、「第13回小説現代新人賞」を受賞した注目の女性作家・神津凛子の同名デビュー作の映画化。極寒の地・長野県に住むスポーツ・インストラクターの清沢賢二(窪田)は、愛する妻ひとみ(蓮佛)と幼い娘サチ(磯村)とともに念願の一軒家を購入し、住むことになる。理想のマイホームを手に入れ、新居生活をスタートさせた清沢一家だが、ある不可解な出来事をきっかけにその幸せな生活が、身の毛立つ恐怖へと転じていくのだった……。
主人公の清沢賢二役を演じた窪田は「(斎藤)工さんは映画への知識や愛が誰よりも強い方。工さんが描く世界で自由に動くことができるなんて、すごく貴重な時間だったし、不思議な気持ちもありました。20代のころにちょっと調子に乗っていたこともあったので恥ずかしい部分もありました。そういうのも全部、ぶつけられたらなと思って一生懸命やらせていただきました」と、オファーを受けたときの心境を吐露した。
齊藤監督は「窪田正孝を主演に起用することが絶対条件だった」と語り、窪田への大きな信頼を明かした。「原作の世界に太刀打ちできるのは、生身の人間の表現や表情だったりするので、普段僕も俳優をやってるんですけど、今回はとても太刀打ちできない域の役者さんが集まってくれた……」とコメントして、完成した映画に自信たっぷり。
窪田と夫婦役となった蓮佛が、「私、正さん(窪田)の芝居がすごく好きなので、本当に光栄でした。いつお会いしても柔らかくて穏やかな方」と話すと、窪田は「なんてこった! うれしー!」と思わず笑顔で絶叫し、会場を沸かした。
「両親役の2人はどうだった?」と質問された磯村は「(一緒に遊んで)楽しかった~! 肩車をしてくれました」と大きな笑顔で応えると、窪田も「日活スタジオの外を一緒にいっぱい走ったよね」と子役のアメリにとびっきりの笑顔を向ける。蓮佛も「一緒におままごとをしたね」と優しい眼差しを送った。
「監督はどうでしたか?」という質問に、磯村は「優しい監督。かわいいし、かっこいい」と大きな声で褒め言葉を連発。会場の雰囲気は上がりっぱなし。作品はおぞましいホラー・テイストだが、撮影の現場は幸せな雰囲気が溢れていたようだ。
賢二たちの新居を担当する住宅会社社員・本田役を演じた奈緒は「齊藤組に入りたかったので、参加できて嬉しいです。寒い冬の撮影でした。現場に監督と後ろ姿が似ている助監督がいてスタッフが間違えることが多く、区別がつくようにと監督がかわいいニット帽をかぶり始めました(笑)」とチャーミングなエピソードを披露した。
ホラーは好きですかと聞かれた窪田は「ホラー映画は、得意じゃないですよ。だって、怖いじゃん……」。蓮佛も「私も得意じゃないです」。意外にも奈緒は「私、結構、映画館に観に行きます」と応えていた。
映画の内容にちなみ、「我が家の秘密は?」という質問が飛ぶと、フリップに、“カエル”と書いた磯村は、「家で飼っているカエルのうち1匹が逃げ出したまま。家のどこかにいるかも」と不安顔。蓮佛は「お年玉の代わりに毎年本をもらっていました。お金が良かったのに。でも今では感謝しています」。奈緒は「犬の卵型のおもちゃが何故か何個も家の中でなくなっています」。窪田は「なぜかいつも数匹のアリが家の中に出てくるんです」。齊藤監督は「パン!という謎の破裂音」と回答。「家で酵素ジュースを作っているんですが、発酵する際に中身が膨張して、瓶を弾く音です」とホラーめいた回答について説明した。
上海国際映画祭に参加した齋藤監督は、映画祭での上映について「中国のお客さんは感情がストレートで、アトラクションを味わっているかのように悲鳴が起こって、おびえてくれました。思わぬところで笑いが起きたりもして――」と振り返っていた。
最後に窪田は「言葉で先入観を与えたくないんですが、一番怖いのは人間なんだということがまざまざと描かれている作品です」とアピール。
齊藤監督は「俳優さんたちとスタッフの皆さんの思いが宿った作品になっています。日本では、俳優が監督をすることはまだフィルターがかかってしまいます。ご覧になって、素直にこの作品を表現いただければと思います。楽しんでください」と観客にメッセージを伝えた。
登壇者:窪田正孝、蓮佛美沙子、奈緒、磯村アメリ、齋藤 工監督
(取材・文・写真:福住佐知子)
公開表記
配給:日活・東京テアトル
9月1日(金) 全国公開
(オフィシャル素材提供)