イベント・舞台挨拶

『炎上する君』公開記念舞台挨拶

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 8月5日(土)、渋谷シネクイントにて、映画『炎上する君』公開記念舞台挨拶が行われ、梨田役のうらじぬの、浜中役のファーストサマーウイカ、劇中歌・エンディング曲を手掛けるゆっきゅん、そして、ふくだももこ監督が登壇した。

 本作は、西加奈子の傑作短編小説をふくだももこ監督が、うらじぬの×ファーストサマーウイカで映画化。何度も現実に絶望する二人の女性が世にも奇っ怪な「炎上する男」を探すシスターフッド・ムービーだ。

 上映後、舞台挨拶時間になると、本作の主題歌「DIVA ME」のイントロが流れ、ゆっきゅんが登場。そのまま、ライブが始まった。そして、曲の終わりに近づくと、劇中さながら、うらじぬのとファーストサマーウイカが踊りながらステージに上り、最後は、3人で決めポーズ。その後登場した、ふくだももこ監督は、「ライブで始まるこの舞台挨拶は特別な空間です。今日の記憶を一生覚えておいてください!」と客席に呼びかけた。

 歌い終えたばかりのゆっきゅんは、「主題歌とエンディング曲を歌っています。今日はMCもやります。劇中歌を歌った歌手がMCをやるという前代未聞のことです」と自己紹介。

 そのゆっきゅんに、「DIVA ME」という曲を採用したことを含めて、映画『炎上する君』の制作の経緯を聞かれたふくだ監督は「この作品は、うらじぬのさんが所属されているレプロという芸能事務所が6人の主演俳優を候補にしたプロジェクト【感動シネマアワード】で作品募集していたのがきっかけ。その中の1人がうらじさんだったんですが、私は、うらじさんが所属されている『劇団子供鉅人』という劇団が大好きだったので、うらじさん主演で映画を撮りたい!とプロデューサーに啖呵切って、『炎上する君』をやることになりました」と話した。

 そして、「DIVA ME」の採用は、当初は予定が無かったという。元々2020年5月に撮影開始予定だった本作が、コロナ禍で撮影が止まっている間に、「DIVA ME」がリリースされ、「この曲があれば、この映画は良くなるかもしれない」とふくだ監督が感じて、ゆっきゅんに直接オファーすることで採用が実現した。
 ふくだ監督のうらじ愛を受けたうらじ本人は、「モデルさんのようなスッとした方々が多い事務所だけど、この事務所が良いなって思うのは、私のようなタイプの役者を主演に据えて企画するという、なかなかなチャレンジをすること。それに私が挑戦させていただけるのはとても嬉しかったです」としみじみと語った。
 続けてうらじは「原作を拝読したら、梨田のステータスが私とそっくりで、今は伸びてるんですが、そのときまではずっとおかっぱだったし、高円寺の近くに住んでたし、銭湯行ってるし、もう本当に私がやるしかないって思えたのがとても嬉しかったです。」と付け加えた。

 また、ゆっきゅんの曲に出合ったことは今思えば必然だったとも語るふくだ監督は、ウイカのキャスティングも運命的だったと明かす。
 「梨田役=うらじぬの」という方程式はすぐに完成したが、その梨田という強烈なパワーを持ったキャラクターに相対する「浜中役」のキャスティングはとても難航していたそうで、そんな2019年末頃、ちょうどブレイクし始めたファーストサマーウイカをテレビで見たふくだ監督は「めっちゃ面白くしゃべっている! 浜中がいた!」と感じたと明かし、以降は、「浜中役=ファーストサマーウイカ」という方程式以外は考えられなくなったという。
 その言葉を受けて、ファーストサマーウイカは「梨田も浜中も、目には見えてこないふつふつとした、鬱屈としたものとかも含めて、すごくパワーのある役どころ。うらじさんも役者さんとしてのパワーがすごくあるけど、その圧とはまた違うパワーを持った人間を(浜中役に)持ってこないと、梨田を引っ張っていけないかもしれない。(うらじさんと私は)見た目とかは真逆だけど、圧ハメ、パワーハメっていう意味では、演じながらすごく合点がいきました」と振り返った。

 こういったこの作品の経緯を改めて振り返ったふくだ監督は「そういった奇跡が重なって、今日この壇上に4人で立っている」としみじみ。
 そして、現場で監督ってやっぱりすごい!って思ったことを聞かれたうらじは「誰よりも号泣する監督だってことですね。撮影中でも(笑)」と即答。ウイカも大きく頷きながら「現場で爆泣きされる監督さんって、あんまりいない。クランクアップで感極まって泣くというのなら理解できるんですけれど、撮影初日から泣いてました」。
 そして話題は、うらじ演じる梨田がトモ(演:中井友望)に「君は何も悪くない!」と大きな声で投げかけるシーンの話に。ふくだ監督によるとこのセリフは、監督とうらじだけが決めていたことで、中井には伝えていなかったそう。そのうらじの突然のセリフを受けての中井の咄嗟の芝居に、ふくだ監督は大号泣したそうで、「あんな瞬間はなかなか無いんじゃないかなっていう素晴らしい光景でした」と話した。
 ちなみに、このセリフはウイカにも秘密にしていたそうで、「あまりにも私が大声で発していたので、ウイカさんがビクッ!となって。その生の感じが作品づくりとしていいなって思いました」とうらじも撮影エピソードを明かした。
 続けてウイカもふくだ監督の印象について、「(ふくだ監督は)ずっとピュアでいらっしゃって、お芝居の演出っていうのはほとんどなくって、基本アドリブ。そしてこれは珍しいなって思ったのは、俳優の芝居を褒めるんじゃなくて、『今の浜中、好きだぁ!』って、もう役者としてじゃなく、お客さんの1人としてキャラクターを見てるんです。ずっとその状態だったのがすごいなぁって思ったし、役としてあなたはそこにいますよ、って信じてくれているのを感じた」と明かすと、うらじも強く納得していた。

 そして、特に印象に残っているシーンという話題では、ウイカが、高円寺の純情通り商店街でのダンス・シーンを真っ先に挙げた。その理由として「すごいのが、あんだけ奇天烈な奴らが踊っているのに、高円寺の街の人々は誰も気にもとめないんです(笑)」と話す。ふくだ監督が「それは高円寺だからこそ」と答えると、ウイカは「ああいうのが日常的に行われている街なの?」と不思議がると共に、「高円寺の街は、撮影以降も開発で少しずつ変わっているそうだから、この映画は資料映像としても貴重な作品です」と紹介。ゆっきゅんは「聖地巡礼してぜひ踊ってください」と客席に話しかけた。

 ここで時間となり、最後に4人はそれぞれ次のようにメッセージを残した。
 ゆっきゅん「私の曲がどう使われているのか知らない状態で、完成した映像を試写で見たときに、自分の歌から始まるとは思っていなかったので、感激しました。エンディング曲『NG』についても、最後のシーンのセリフとも繋がっているような構成になっていると感じて、こんなふうに自分の曲が映画館で聴けるということはなかなかないことなので、とてもありがたい機会をいただけたなと思っています」。
 ふくだももこ監督「どうしてもこの映画を世の中の人全員に観てほしいんです。だからそのためには皆さんの力が必要なんです。たった42分の映画なんですけれど、観ていただいたら絶対に“今、自分が生きていることってしんどいことなんだ”って気づける人がたくさんいると思うんです。そこに気づくだけで、たぶん今後の日常が変わっていくから、そういう人たちのために、この映画を届けたいです。炎のようにこの映画が燃え広がればいいなと思っています」。
 ファーストサマーウイカ「この映画も、今公開中の某ジブリ作品も、感想を書きづらいというか、各々の想いに秘めるような作品だと思います。どこが印象に残ったかというのは、それぞれ違う映画なのかなと思うので、面白いと感じる人もいれば、よく分からないと感じる人もいるから、いろいろな人に観てもらって、どこが響いたかがが知りたいです。なので、SNSなどで広めてほしいですし……。あの、この中でお身内に映画館関係者がいるっていう方はいらっしゃいますか(笑)? この映画を47都道府県に広めていきたいので、コネがある方はぜひご一報ください!」。
 うらじぬの「昨日の公開初日の上映後、監督とお客さんとのアフタートークがあって、そこでほんとうにいろいろな感想をいただきました。こういう時間を持てたことは、この映画が豊かになるし、皆さんとの時間も豊かになるなぁって思って、とても良い映画になったんじゃないかなと思いました。たくさんの皆さんに観ていただいて、たくさんのご意見をいただきたいなと思っています。お客さんに観ていただいて、やっと映画は完成するなと改めて思っています。明日以降も上映は続きますので、どうぞよろしくお願いいたします」。

 登壇者:うらじぬの、ファーストサマーウイカ、ゆっきゅん(劇中歌・エンディング曲)、ふくだももこ監督

 (オフィシャル素材提供|写真:金田一元/文:三平准太郎)

公開表記

 配給:レプロエンタテインメント
 渋谷シネクイント他にて公開中

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