「豆腐」といえば、日本人のソウルフード。おいしい豆腐を食べたときに感じるまろやかな深い味わいのような、胸に染み渡る日本映画が出来た。尾道の昔ながらの小さな豆腐店で、すれ違う父と娘の心温まる愛情を描いた、映画『高野豆腐店の春』が8月18日(金)全国公開する。
スクリーンデビューから60周年を迎えた藤竜也が、尾道で長きにわたり豆腐店を営み、街の仲間たちから愛される主人公・高野辰雄を好演。主人公の人生を、まさに豆腐のように味わい深く演じている。
昭和、平成そして令和と時代を跨ぎ、『愛のコリーダ』(1976)や『龍三と七人の子分たち』(2015)、最新作『それいけ!ゲートボールさくら組』(2023)と活躍し続ける藤に今年注目が集まる! 三原光尋監督渾身のオリジナル脚本に惚れ込んだ藤は、出演を熱望。『村の写真集』(2004)、『しあわせのかおり』(2008)に続き、藤竜也×三原監督の3度目のタッグとなり、自身の代表作とするべく撮影に挑んだ。
そんな辰雄の娘・春役には、今や日本映画に欠かせない女優となった麻生久美子。麻生は藤の主演作『猫の息子』(1997)への出演以来、本作で26年ぶりに共演し、すれ違いながらも互いを思いやる親子役を演じる。そして、偶然の出会いから親しくなる独り身の老婦人・中野ふみえ役を中村久美が演じ、辰雄が心惹かれてゆく淡い恋模様も描かれる。
毎日陽が昇る前から、そっと厨房に明かりを灯し、地道にコツコツとこだわりの豆腐作りに励む二人は、少しすれ違うこともありながらも和やかな日常を過ごす。だが、辰雄には、自分がいなくなるとひとりぼっちになってしまう娘の心配事もあり……。そんな変わらない日々の中、二人には新しい出会いが訪れ、かけがえのない幸せな時間が尾道を舞台に描かれる。日々の丁寧で細やかな暮らしが愛おしく思える、“豆腐”のような心温まる物語が誕生した。
この度解禁された映像では、春が恋人を辰雄に紹介しようとするのだが、大人げなく逃げ回る辰雄に遂にキレた春。毎日二人っきりで仕事をして食事をして共に生活をしていた二人。キレた春の空気を辰雄はもちろん瞬時に感じ取り、春のご機嫌を取ろうと必死。厚揚げを揚げている春のもとに「おぉ、いい塩梅に揚がっとるの~」と普段は褒めたりなんぞしないのに、わざとらしく胡麻をする辰雄。返事もせず、不機嫌そうにどこかへ行く春。毎朝の儀式、豆腐作成後にしぼりたての豆乳を飲む二人。「ええ季節じゃ。すぐに熱うなんど」と大き目の声で話す辰雄。「そうじゃね」とかろうじて返事はしてくれたものの、これ以上会話は続けさせないと言わんばかりに立ち上がり、店の外をのぞきに行く春。そして、2人っきりの食事シーンでは、「春は瀬戸内のタイを楽しめとはよう言うたもんじゃ。いや~好物じゃ~」と盛り上げようとするも、「ごちそうさま」と春はそそくさ食事を終え、すぐに退席してしまう。その後も、商品を陳列している春に辰雄が近づいていくと、春は入れ違いに店の中へ。いい加減しびれを切らした辰雄は「会うよ! とりあえず会うけ、日取り決めとけ」と告げる。「ほんまに?」と嬉しそうな春。「こんな毎日が続いたら窒息してわしは死ぬわ」と敗北宣言。なんとも微笑ましい心温まる親子喧嘩のシーンとなっている。ぜひ大スクリーンで味わってみては?
公開表記
配給:東京テアトル
8月18日(金) シネ・リーブル池袋、新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座ほか全国公開!
(オフィシャル素材提供)