イベント・舞台挨拶

『高野豆腐店の春』公開初日舞台挨拶

©2023「高野豆腐店の春」製作委員会

 「豆腐」といえば、日本人のソウルフード。おいしい豆腐を食べたときに感じるまろやかな深い味わいのような、胸に染み渡る日本映画が出来た。尾道の昔ながらの小さな豆腐店で、すれ違う父と娘の心温まる愛情を描いた、映画『高野豆腐店の春』が8月18日(金)より全国公開した。

 この度、主演の藤 竜也、共演の麻生久美子、三原光尋監督が初日舞台挨拶に登壇し、映画公開初日を迎えることとなった思いを語るとともに、8月27日に82歳を迎える藤のバースデーを一足先にサプライズでお祝い! 麻生と監督からの心のこもった“お豆腐バースデー・ケーキ”も登場するなど、感動のひとときとなった。

 初日を迎えた会場には、大勢の観客が来場。感慨深い様子で客席を見渡した藤は「このお話は3年半前、コロナがはじまって間もない頃、この世はどうなっていくんだろうと、心穏やかならざる時にこちらの三原監督から台本をいただいたもの。それを読ませていただいて、こんな何でもない日常の繰り返しのリズムを懐かしく感じましたね。それが今、コロナが少し静まったタイミングでこうやって皆さまに映画を披露できるようになりましたことをうれしく思っています。何とぞ皆さまに届くことを祈っております」と挨拶。白の衣装に身を包んだ麻生も「今年2月、3月に撮影をして。こうやって初日を無事に迎えることができて本当にうれしく思っています。先日の完成披露試写会では木綿のお豆腐をイメージした衣装を着てきたので、今日は絹にして来ました」と笑顔で呼びかけた。

 そして本作のイメージ・キャラクターとなる豆腐坊やの人形を手にした三原監督は「藤さんがおっしゃった通り、3年半前。誰とも会うことができず家にいたときに、これからは一生映画をつくることもないのではないかとパニックになったことがあったんですが、その時に、映画にはなるかどうか分からないけど、どうしても自分で撮ってみたいという思いで脚本を書いたのがこの作品のスタートでした。そしてその脚本を思い切って藤さんに送ってしまいました。藤さんとこういう映画を撮りたいというラブレターのような思いで。それから2日後には速達で藤さんから“お引き受けします”とひと言、お返事があって。それを観た時に本当に希望が湧いたというか、うれしくて、ドアの前で立ちながら泣いてしまったんです」とその時の思いを切々と語る三原監督。その横で藤もかみ締めるように、うん、うんとうなづきながら、「三原監督とは20年前に映画を1本やりました。その間でもう1本、今回は3回目のお呼びですから、こんな名誉なことはないので。お礼には賞味期限がありますから。なるべく早くサンキューということを伝えたかったので、速達で送りました」と振り返った。

 藤が演じる主人公・辰雄の娘、春を演じた麻生は「はじめはとても緊張しました」と切り出すも、「でも温かさがにじみ出ていて。お話しやすくてすてきな方。たくさんコミュニケーションをとらせてもらいました」と笑顔。豆腐店が舞台ということもあり、藤とは“食べもの”の話をたくさんするなど、コミュニケーションも良好だったようだ。それゆえ、三原監督も「自分が書いた脚本のト書き以上に、藤さんと麻生さんが生き生きと、そこで暮らしているように演じてくれたので。撮影で演出をすることがなかった。すてきな2人の芝居をカメラでとらえるだけで良かった。本当にこのお二人はすばらしくて。この親子を撮ることができたということは、人生でもうれしいことでしたね」としみじみ。

 その言葉に藤も「映画っていうのは最初の状態では単なる映像なんですが、そこでお客さんが観て、交流して初めて映像から映画になるんですね。だから今晩、映画になるということですね」と語ると、麻生も「ステキ!」と笑顔。そしてその後も、寝ている娘に声をかけるシーンでのアドリブのセリフについて「わたしがセリフを変えるのではなく、演じる辰雄が勝手に言うんです。わたしは責任を持てないんですよ」と語るなど、藤からは名言マシーンのごとく続々と名言が発せられ、そのたびに麻生もすっかり心をつかまれたようで、この日は「ステキ!」と笑顔をみせることしきりだった。

 そんな和気あいあいとした雰囲気の中、場内にはバースデー・ソングのメロディーが鳴り響き、ステージには豆乳を使用した豆腐型のケーキが登場。8月27日に、82歳の誕生日を迎える藤をひと足先に祝福するということで、観客と共にサプライズでお祝いすることとなった。「お父ちゃん、お誕生日おめでとうございます!」という祝福のコメントを送る麻生だが、「なんか藤さんの顔を見ていたら……」と語るや、その瞳からはみるみるうちに涙があふれてきて、思わず手で涙をぬぐうひと幕も。そんな会場内からの温かな祝福に藤も「取りあえず82歳……らしいですね。ありがとう」と照れくさそうに感謝のコメント。

 このケーキは、パティシエが豆腐をイメージしてつくられたものとのことで、砂糖を控えめにし、大豆の風味を引き出したものに。「豆腐ですね」「食べてみたい」と感心した様子の藤と麻生だったが、三原監督が「先ほどいただきました!」と語り、ビックリした様子の会場内。すかさず三原監督が「僕、早く来てヒマだったんですけど、その時に試食をやっていたので。ペロッとひとつ食べてしまいました。おいしかったです」とその理由を明かすと、会場からはドッと笑いがわき起こった。

 1962年にスクリーン・デビューし、現在まで60年以上のキャリアを誇る藤に「続ける秘訣」について質問がおよぶと、「健康ですね」と返答。「続けられたことが奇跡です。そのうえ、新しい映画に出て、皆さんの前でご挨拶ができるなんて。こんな光栄なことはないですね。ぜいたくの極みです」としみじみ。さらに「今後の人生で楽しみなことは?」という質問には「何もないです」とキッパリ。「つつがなく今日が終わって、また明日が来るであろうと。それだけで十分です」とその理由を付け加えると、麻生もため息交じりに「ステキ」。次から次へと飛び出す藤の名言に「メモしておきたいです」と笑いながら付け加えた。

 そして最後のコメントを求められた三原監督は「気楽に楽しんでもらえる日本映画をつくりたいという思いでつくりました。僕が愛した日本映画は、人と人がつながって。そこに暮らしがあって、笑ったり、泣いたり、ケンカしたり、そこからいろいろなツヤが生まれてくるんですが、昔からそういう日本映画が大好きでした。僕も歳を重ねながら、自分が夢見る日本映画をつくりたいという思いで、藤さんや麻生さんたちの力をお借りしてつくらせてもらいました。肩肘張らずに気軽に観ていただけたら」と語ると、麻生も「この作品はお豆腐のようにじっくりと丁寧につくられた温かい作品です。人が人を思いやる気持ちにあふれた、本当にすてきな作品になっているので、温かいものを持ち帰っていただけたら」と続け、そして最後に藤が「皆さんに言いたいことを全部言っていただきましたが、これからこの映画が皆さまの心に届くことを祈っております。最後までお楽しみください」と観客に呼びかけた。

 映画『高野豆腐店の春』はシネ・リーブル池袋、新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座ほか全国公開中!

 登壇者:藤 竜也、麻生久美子、三原光尋監督

公開表記

 配給:東京テアトル
 8月18日(金) シネ・リーブル池袋、新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座ほか全国公開!

(オフィシャル素材提供)

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