2023年1月29日に74歳でこの世を去った鮎川 誠。1978年に“シーナ&ロケッツ”を結成して以来、最後まで現役のロック・ミュージシャンとしてステージに立ち続けた彼の素顔に迫ったドキュメンタリー映画『シーナ&ロケッツ 鮎川誠 ~ロックと家族の絆~』が、8月11日(金・祝)に福岡先行上映となり、本日8月25日(金)より全国公開となった。
この度、本作の公開を記念して、寺井 到監督と、本作にも出演し鮎川 誠と同郷の福岡県久留米市出身で、元ARBのボーカルで、俳優としても知られる石橋 凌が招かれ、鮎川 誠やシーナ&ロケッツの魅力について話した。イベント後半には鮎川 誠の3人の娘たちと孫(長女・陽子、次女・純子、三女・LUCY MIRROR、孫・唯子)も登壇し、思い出話に花を咲かせた。
上映前に行われたスペシャルトークショー。大きな拍手に迎えられて登壇した石橋 凌と寺井 到監督。寺井監督は「今日から全国公開。ここからまた作品がスタートするのかな」と述べると「劇場に来れば鮎川さんに会えるという映画になっていると思いますので、ぜひ楽しんでいただければ」と挨拶。鮎川とは何度もステージで共演歴のある石橋は「鮎川さんのすごさ優しさが溢れた素晴らしいドキュメンタリー作品。非常に感動したので、一人でも多くの方にぜひ映画を観ていただきたいと思っています」と呼び掛ける。
劇中には鮎川の人となりが、さまざまな映像と関係者の証言によって描かれている。寺井監督は「福岡の人間は小さいころCMを見て鮎川さんを知るんです」と地域の象徴的な人物であることを強調すると「ギターを弾いている格好いい人というイメージがあるのですが、実際お会いするとビジュアルはサングラスでクールな感じですが、気さくで優しい。ライブ映像もいいですが、そういうところを残せればと思って取材していました」と鮎川の人柄が感じられる作品であることを述べる。
石橋は「1960年代にイギリスからビートルズやザ・ローリング・ストーンズが入ってきて、当時僕は小学生でそれらの音楽を聴いていたり歌っていたりしていたんです」と振り返ると「中学に入り、博多にサンハウスというバンドがいることを知り、レコードを聴き、ライブを初めてみたときに『こんな本物のバンドが博多のすぐそばにいるんだ』と衝撃を受けました」と鮎川との出会いを語る。その後、高校に入りバンドを組んだ石橋は、サンハウスの前座として一緒のステージに立つことになる。その当時は「怖くて話しかけられなかった」というが、石橋が19歳のとき上京してARBというバンドのオーディションを受けてデビューしたのが、シーナ&ロケッツと同じレコード会社で同一レーベルだった。そんな縁で交流が始まったという。
また2018年には、石橋の娘である女優の石橋静河が、NHK放送のドラマ「You May Dream」でシーナ&ロケッツのヴォーカルで鮎川さんの妻であるシーナさんを演じるという縁もあった。石橋は「毎年博多でやっているライブに5年ぐらい前に誠さんにゲストで出ていただいたとき、楽屋で『誠さん、何のご縁かうちの静河がシーナさんの役をやることになりました』と話したんです」という思い出話を披露すると、娘の演技については「いくら親でも立ち入らないようにしているし、実際シーナさんとお会いして笑顔が素敵な方だったので、その笑顔がうまいところで出ているのかなと思いました」と感想を述べていた。
またこの日は、劇場に駆けつけた鮎川の長女・陽子、次女・純子、三女・LUCY MIRROR、そして鮎川の孫・唯子が飛び入りで舞台挨拶に参加。大きな拍手で迎えられると、陽子は「世界で一番格好いいお父さん。ザ・ローリング・ストーンズのキース・リチャーズよりも格好いい。世界一レスポールが似合う」と賞賛。シーナ亡き後、バンドのヴォーカルとして鮎川と一緒のステージに立っていたLUCY MIRRORも「格好良くて博学。出会った人すべてを大事にしていて優しい人でした」と述べると、純子も「子どものころからずっとステージに立っていましたが、家でも外で何も変わらないお父さんとお母さんでした」と懐かしそうに語っていた。
寺井監督は「『こういうふうに生きたらいいんじゃないの』という見本のような方。鮎川さんとシーナさんを見ていると、好きなことの側にいれば幸せになれるんじゃないかと思える。ちょっとでも近づけるように、恥ずかしくないように頑張ろうと思っています」と作品に込めた思いを述べる。石橋も「誠さんは先輩でしたが同志だった気がします。1980年代、ロック・ミュージックが市民権を得ていない時代、お互いがむしゃらになりながらロックの土壌づくりに走り回っていた。その意味で尊敬する先輩でしたが、やっぱり同志という印象が強いです」と語ると「誠さんは福岡県久留米市の財産です。日本にも鮎川 誠という本物のロッカーがいたことを心にとどめてほしい」と客席に呼びかける。
寺井監督は「ここに一番いてほしい2人がいないんです」と鮎川とシーナに思いを馳せると、スマホを取り出し「ちょっと二人にも登壇してほしいです」と鮎川とシーナの生前の声を会場に流す。会場がしんみりするなか、寺井監督は「この後、映画でお二人に会えます」と語ると、客席からは大きな拍手が巻き起こった。
登壇者:石橋 凌、鮎川陽子(長女)、鮎川純子(次女)、LUCY MIRROR(三女)、唯子(孫)、寺井 到監督
公開表記
配給:KADOKAWA
8月11日(金・祝)より福岡先行上映、8月25日(金)より全国公開
(オフィシャル素材提供)