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『アンダーカレント』第43回湯布院映画祭 上映後シンポジウム

🄫豊田徹也/講談社 🄫2023「アンダーカレント」製作委員会

 日本一古い映画祭と言われる湯布院映画祭にて『アンダーカレント』初上映後、約120人の目の肥えた映画ファンがその余韻に浸る中、井浦 新と平石明弘プロデューサーが温かい拍手で会場に迎えられた。

 初お披露目となる本作の制作のきっかけについて「原作漫画自体が映画のようで、すぐに実写映画化したい、リアルな役者が演じているのが見たいと思った」と平石プロデューサーが語ると、真木よう子演じる銭湯「月乃湯」の女主人・かなえの前に「働きたい」と現れる謎の男・堀を演じた井浦も「原作漫画が映画のような作りなので、実写映画化は監督が大変そうだと思っていた。他の監督では違う、今泉力哉監督だからやるんだなとすごく納得した」と今泉監督のチャレンジに敬意を表した。自身の役柄については「真木よう子さんとの2人芝居が怖かった。その怖さが楽しみに変わっていった。真木さんとは『さよなら渓谷』以来の共演で、そのときはワンシーンだけでお互いそこで出しきる芝居。

 今回は時間をかけていっしょに作っていく流れで、芝居を超えて真木よう子がかなえになっていくさまを目の前で見られて、今泉監督のもと真木さんと芝居ができたことは幸せなこと」と主演女優との共演に思いをはせた。

 本作を見たばかりのシンポジウム参加者からは矢継早に感想や意見が出ると、同じく一緒に鑑賞していた井浦は「観終わったあと、真木さんのいろいろな目や表情が印象に残った」と語り、「独特の間がある、セリフのないところで何かを語っている作品。現場でも、役者が自然な間を作っているけど、監督が編集で作っている間もあって、今泉監督が『アンダーカレント』を作ると、こういう間ができるんだな」と感嘆した。
 また、参加者から原作漫画にはない映画オリジナルのラスト・シーンに質問がおよぶと、平石プロデューサーは該当シーンについて「原作漫画の読後感を大事にしたい、見た人によっては希望のもてるラスト・シーンにしたかった」と理由を語り、そのラスト・シーンに独特な解釈を披露した参加者に井浦は「その解釈は面白い」と前置きし「この作品のテーマでもある『誰かを分かることができるのか』『自分のことを分かることができるのか』というのは簡単なことじゃない。なにかと白黒つけたい世の中だけど、よく分からないから、あいまいだから救われるということもある。だからいろいろな解釈があっていいと思う」とトークが白熱した。

 今泉監督のほか、録音や撮影に関してなど、そのクオリティの高さについても意見が交わされ、「今泉監督の渾身の作品」「今年のベストテンに入る作品」など参加者から太鼓判を押されるなど、予定終了時刻を過ぎてもなお絶賛のコメントが続き、興奮冷めやらぬ中、この湯布院映画祭という舞台で初お披露目になった本作について、平石プロデューサーが「“銭湯”を舞台にしたこの映画が、温泉地である湯布院で初上映されたことに感慨深いものがあります。また、この地に戻ってきたい」と締め、凱旋アピールした。

 登壇者:井浦 新、平⽯明弘プロデューサー

公開表記

 配給:KADOKAWA
 2023年10月6日(金) 全国公開

(オフィシャル素材提供)

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