『鬼火』(1996年、原田芳雄主演)、『恋極道』(1997年、奥田瑛二主演)等で知られる望月六郎が一般映画監督デビューを果たした『スキンレスナイト』。望月監督の自伝的作品ともいわれる本作がデジタルレストアされ、本日9月16日(土)、新宿K’s cinemaにて初日を迎え、12時の上映回終了後に、望月六郎監督、主演の石川 欣が登壇、初日舞台挨拶が行われた。
「本日はありがとうございます。この作品は、32年前に中野武蔵野ホールで上映して、お客さんが入らなかったんです(笑)。無理して撮ったんだけど、こんなもんなのかなと毎日劇場に行っていたんですが、映画評論家のドナルド・リチーさんに外国の映画祭に行かないかと言われ、川喜多さんを紹介してもらい、その後1000人ぐらいの劇場でたくさんの人にやっと観てもらいました。ビデオもなかったから、今回試写で久しぶりに観たんですが、多少慣れたけど、、、辛いです(笑)」とまず望月監督が挨拶。続いて石川 欣が「本日はどうもありがとうございます。僕は今(劇場で)観ていておもしろかった。この作品、面白かったんですね(笑)!」と監督に声をかけた。
「石川さんと僕は、中村幻児監督の助監督をやっていて、石川さんは年は若いんですが先輩で、この劇場の近所の『タイムス』という喫茶店で初めて会いました。この映画の話を持っていった時に、たぶん断るんじゃないかなと思ったんですが、石川さんどう?って聞いたら、やる気になってくれて」と語る望月監督に、「自主映画とかやってたんで、出演したり撮ったりというのを交替にやるので、あまり抵抗はなくてするっとやってしまいました」と語る。撮影中の話になり望月監督は「伊豆でのロケはゆったり撮っていたので、結構早く撮影が終了して。長回しも多いし、俺も何NG出していいか分からないから。毎日それこそ酒を飲んでたんだけど、石川さんだけは誘っても来なかったですね」と思い出を語る。
石川は「台詞を憶えるのが大変で。毎晩毎晩朝まで暗記して、本番直前までぶつぶつと本当に大変でした」と語る。また、その芝居に関しては「頼んだわけじゃないんだけど、僕のしゃべり方を真似していたと言われて、ああそうなのかい?(笑)という感じです」と監督が語ると、「必死に動きを見て、クセを真似しました」と答えた。
衣装に関しても望月監督は「当時、僕が本当に来ていた服を着てもらいました。ちょっとサイズが少し大きくて苦労したかもしれない。なぜあんな恰好をしているかというと、一応会社をやっているから、たまに銀行に行ったりするので、ラフな格好はしないでいたというのが本当です」。石川が「分身みたいな感じで自分を投影していたという感じなんでしょうか?」と逆に質問すると、「ピンクやって、事務所やってAVやって、そういうのは全部リアル。ラブストーリーの部分はフィクションです。まあ、多少はあるけど(笑)。自分の中で言い聞かせていたのは、当時AVというのは、中刷りはどの週刊誌もAVのことを書いてあって。自主映画だからお金がないけど、撮るんだったらセットにしろリアリティにしろ、これなら撮れるぞというのを言い訳にしていた。彼が(本日司会を務めた元部下で、本作企画の森川 圭さん)この現場に来られなかったのと先ほど話したのは、この作品を撮っている時に、AVの会社の方が動いていないとつぶれてしまうので(この作品に出てくる「さえき」がこの森川さんをモデルにした役柄)、僕らが映画を撮影している最中、孤軍奮闘でひと月4本とか5本とかAVを撮っていたんではないかと思います」。それを受けて森川は「あれから30年以上、未だに現役でAV監督やってます。ぜひ見て下さい」と語った。
また、現在の活動に関して、望月監督は「今、僕は映画もやめていて、お芝居をやっています。偶然なんですが、今やっているお芝居が『セクシー女優事変』という5連作で、5連作を『仁義なき戦い』みたいに、“人妻死闘編”とか~編、~編となっていて(笑)、それを森川さんが観に来てくれて、『スキンレスナイト』をもう1度上映したいと言ってくれたんです。基本的に『贋作伊豆の踊子』とか、うちの芝居は文芸作品のパロディーみたいなものが多いけど、偶然去年のアダルトビデオ新法を読んで『セクシー女優事変』をやろうと思いついて、『スキンレスナイト』の上映の話が出てきた。俺の中でアダルトって消えないんだなという思いが生まれた。中学生の時、ビニ本とかノーパン喫茶とかあって。ピンク映画やって、ポルノやって、アダルトビデオやって。俺の一生って、エロが頭から離れないのかなと思って(笑)。石川さんは?」と聞かれ、「基本的に性的な人間なんで、エロばっかり考えています(笑)」と石川が答え笑いを誘った。
望月監督は「今日は同い年ぐらいの人もずいぶん来てくれているんで、そういう人たちには共通の気持ちもあるだろうし……。若い人たちにしてみると、あまり即物的でないから、ビデオになってエロが家庭に入って、スマホになってポケットに入って……、今の子どもたちはエロとどう付き合うのかなと、なんか心配したりもするんだけど。のんびりした恋愛の話も、あっていいんじゃないかなという気持ちもあります」と、旧知の仲間同士の楽しい舞台挨拶が終了。上映後は、ファンが当時のちらしや、VHS作品などを持ってきて、望月監督にサインをお願いするなど、根強い作品の人気を裏付けた。
登壇者:石川 欣、望月六郎監督
3週間の上映中、望月監督セレクトの自身監督作『皆月』(1999年、奥田瑛二主演)、『恋極道』『鬼火』の3作品も特集上映される。また、連日下記のメンバーによる舞台挨拶が行われる。
『スキンレスナイト デジタルレストア版』&望月監督特集上映舞台挨拶
9月17日(日) 鈴木慶一、望月六郎監督
『スキンレスナイト』12時の回上映後
9月18日(月) 高原秀和監督 望月六郎監督
『スキンレスナイト』12時の回上映後
9月19日(火) 森岡利行、望月六郎監督
『鬼火』12時の回上映後
9月20日(水) 奥田瑛二、望月六郎監督
『恋極道』12時の回上映後
9月21日(木) 望月六郎監督
『皆月』12時の回上映後
9月22日(金) 佐藤正宏、望月六郎監督
『スキンレスナイト』12時の回上映後
※ 詳細は、新宿K’s cinema公式サイトをご確認下さい。https://www.ks-cinema.com/(外部サイト)
公開表記
配給:フルモテルモ
2023年9月16日(土)より 新宿K’s cinemaほか 全国順次公開中
(オフィシャル素材提供)