イラン映画『熊は、いない』が新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ渋谷ほかにて全国順次公開中。
本作は、国境付近にある小さな村からリモートで助監督に指示を出しながら遠隔で映画撮影をしているパナヒ監督を軸に、2組のカップルの物語が描かれる社会派サスペンス。ジャファル・パナヒ監督自身が主演を務め、第79回 ヴェネチア国際映画祭審査員特別賞を受賞した。
パナヒ監督といえば、イランで暮らす人々の日常を穏やかな視点で描きながらも、社会にある障壁や理不尽な規制を浮かび上がらせる作風で知られており、デビュー作『白い風船』(95)がカンヌ国際映画祭でカメラドール(新人賞)を受賞して以来、発表する作品のほとんどがカンヌ、ヴェネチア、ベルリンなど世界的な映画賞を受賞しているイランの名匠だ。
政府への反体制的な活動が原因で、2010年に“イラン国家の安全を脅かした罪”により、6年間の懲役、20年間の映画制作禁止、出国禁止、あらゆる取材の禁止を言い渡されたことも有名である。
刑を言い渡されたあとは、保釈金を払い釈放されたがパスポートを取り上げられ自宅軟禁状態に。それでも創意工夫を凝らし映画制作を続けたことで、“闘う映画監督”や“世界で最も勇敢な映画監督”と呼ばれている。
しかし、昨年2022年7月、反体制感情が国全体で高まり、反対派を取り締まる中で再逮捕。パナヒは「違法かつ非人道的な行為」とハンガー・ストライキを行い、2023年2月に一時釈放された。そのときにパスポートは返却され、事実上では出国禁止が解かれたと言える。早速2023年4月に息子らが暮らすフランスへ行ったことが報道された。
そんな、ジャファル・パナヒ監督から日本での公開に向けたメッセージ動画が突如到着。スタジオらしき場所でサングラス姿のパナヒ監督はまず、「日本の皆さん 特に『熊は、いない』を観に来てくれた皆さん こんにちは」と挨拶。続けて、14年ぶりに日本に行きたいと話し、皆さんと一緒にこの映画を観たいと訴えている。
パナヒ監督は来日に向けて意欲を示しており、関係各所に交渉中とのこと。パナヒ監督と一緒に観る『熊は、いない』実現なるか! 続報は公式SNSにて報告される。
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公開表記
配給:アンプラグド
新宿武蔵野館ほか全国順次公開中
(オフィシャル素材提供)