イントロダクション
江戸文化の裏の華である“笑い絵”とも言われた春画の奥深い魅力を、真面目に説く変わり者の春画研究者と、しっかり者の弟子という師弟コンビが繰り広げる春画愛をコミカルに描く本作。主演に内野聖陽、ヒロインに北 香那、共演に柄本 佑、白川和子、安達祐実を迎え、『月光の囁き』(99)、『害虫』(02)などの先鋭的な作品で映画ファンを唸らせてきた名匠・塩田明彦が監督・脚本を手掛ける。
春画は江戸幕府の禁制品で表に出ないものだったからこそ、自由な創作が可能となり、とどまることを知らぬ芸術の域に達して、庶民から大名までを虜にした真の江戸時代のエンターテイメントだった。これまでその取扱いは日本映画でもタブーとされ、性器部分の描写は映倫審査でボカし加工が必要だった。しかし、本作は、映倫審査で区分【R15+】として指定を受け、商業映画として全国公開される作品としては、日本映画史上初、無修正での浮世絵春画描写が実現した。その自由な精神を現代に映画として表現することを目指して制作された『春画先生』。「好きなものにのめり込んでいく者たちの幸せ」としての究極の「推し活」を描く異色の偏愛コメディが誕生した!
春画とは
肉筆や木版画で描かれ、平安時代からはじまり江戸時代の木版画技術の発達で全盛期を迎えた人間の性的な交わりを描いた画。鈴木春信、鳥居清長、喜多川歌麿、葛飾北斎、歌川国貞など、著名な浮世絵師のほとんどが春画を手がけていた。江戸時代、春画は“笑い絵”とも言われ単に好色な男性のためのものではなく、身分を問わず多くの老若男女が娯楽として愛好した。その根底には明治時代以降 西洋化でのキリスト教文化流入以前の日本人が持っていたとされる性をおおらかに肯定する精神が横溢している。超一流から無名まで多くの絵師、彫師、摺師たちが、表の浮世絵で発揮できない、その持てる全画力と全精力そして技巧を注いでとことん真面目に人の性を“笑い”や“風刺”として表現した作品が数多く現存するが、本物が美術館や博物館で展示される機会はまだ少なく、2015~16年東京と京都で開催された「春画展」以降、大規模な展覧会は開催されていない。
ストーリー
春画先生と呼ばれる変わり者で有名な研究者・芳賀一郎は、妻に先立たれ世捨て人のように、一人研究に没頭していた。退屈な日々を過ごしていた春野弓子は、芳賀から春画鑑賞を学び、その奥深い魅力に心を奪われ芳賀に恋心を抱いていく。やがて芳賀が執筆する「春画大全」を早く完成させようと躍起になる編集者・辻村や、芳賀の亡き妻の姉・一葉の登場で大きな波乱が巻き起こる。それは弓子の覚醒のはじまりだった――。
(2023年、日本、上映時間:114分、R15+)
キャスト&スタッフ
出演:内野聖陽、北 香那、柄本 佑、白川和子、安達祐実
原作・監督・脚本:塩田明彦
製作:中西一雄 小林敏之、小西啓介
プロデューサー:小室直子
共同プロデューサー:関口周平
音楽:ゲイリー芦屋
撮影:芦澤明子(JSCJSC)
予告編
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公開表記
配給:ハピネットファントム・スタジオ
10月13日(金) 全国ロードショー
(オフィシャル素材提供)