2023/10/23(月)から開催される第36回東京国際映画祭にて、ヴィム・ヴェンダース監督の短編映画『Some Body Comes Into the Light』がワールドプレミア上映することが決定した。ヴィム・ヴェンダースは映画『PERFECT DAYS』の根底にあるもの、主人公が心の底で感じ取っていたものを、本編とは別に日本での撮影最終日に撮影をしていた。しかしその映像はあまりに鮮烈で、あまりに引力があり、本編のなかにはおさまりきれなかった。役所広司が最優秀男優賞を受賞したカンヌ国際映画祭、その授賞式の後、ヴェンダース監督はあの映像を一つの作品にすることにした。それから生まれた短編は『ピナ 踊り続けるいのち』やヴェンダース財団などでヴィム・ヴェンダース監督とも創作を共にしている世界的に活躍する音楽家、三宅 純氏の音楽と出合い、より美しく神秘的な作品になった。美しい時と光の揺らぎ。言葉のない、唯一無二の物語が出来上がった。
この度、東京国際映画祭期間中に4回の上映が予定されている。ヴェンダース監督のもうひとつの新作、戦後ドイツを代表する画家、アンセルム・キーファーの美しきドキュメント『ANSELM』、そして第73回ベルリン国際映画祭にて最優秀脚本賞(銀熊賞)を受賞した『MUSIC』との併映。
『MUSIC』との併映、丸の内TOEIでは田中 泯、高崎卓馬(映画『PERDECT DAYS』 脚本・プロデュース)、三宅 純(音楽)による舞台挨拶がある。ヴェンダース監督からコメントも到着した。
田中 泯 ドキュメンタリー企画 東京国際映画祭企画上映 短編『Some Body Comes Into the Light』
【チケット販売】※ 2023/10/14発売(予定)
https://2023.tiff-jp.net/ja/ticket/#ippan(外部サイト)
【公式上映スケジュール】
アンゲラ・シャーネレク監督「Music」併映 ※ 舞台挨拶あり 10/26(木)/丸の内TOEI SC1
14時05分 開場 ※ 14時35分 舞台挨拶後上映
アンゲラ・シャーネレク監督「Music」併映 ※ 舞台挨拶あり 10/29(日)/TOHOシャンテ SC2
19時55分 開場 ※ 20時15分 舞台挨拶後上映
ヴィム・ヴェンダース監督「Anselm」併映 ※3D 11/1(水)/スイッチ銀座 SC2
10時30分 開場 ※ 10時50分 上映開始
ヴィム・ヴェンダース監督「Anselm」併映 ※3D 11/1日(水)/スイッチ銀座 SC2
13時10分 開場 ※ 13時30分 上映開始
ヴィム・ヴェンダース コメント
田中 泯とは何年も前に出会い、彼の踊りを観たこともある。
親しくしていた友人のピナ・バウシュにとって彼は偉大なヒーローで、大きなリスペクトとともによく話しを聞かせてくれました。
だから、私たちの映画『PERFECT DAYS』で小さな役を演じることを泯さんが引き受けてくれたときは、本当に胸が踊りました。でもその一方で、不安を覚えました。
泯さんの才能を見せるのに十分な時間が映画のなかに本当にあるだろうか、この映画で彼の存在を本当にうまく表現できるのだろうか、そう自分を疑ったのです。
ほとんどの人からは「見えない」が、主人公の平山にとっては確実に存在する「ただの」ホームレスという小さな役を演じているとき、泯さんはかなり落ち着いていた。私はそれで心強い気持ちとともに、この役を大切にしようと心に誓いました。
なのに撮影が終わりにさしかかった頃、再び同じ疑念がわいたのです。
泯さんの大いなる才能を思えば、まだ存分に描ききれていないと感じたのです。
撮影の最終日、この日は主役の役所広司さんは不在で、いつもであれば足りない街の実景の撮影に充てるのですが、私はその半日を泯さんの撮影に使いたいと皆に言いました。撮影スタジオを用意して、撮影のフランツ・ラスティグが本物の木をたくさん用意して、泯さんのパフォーマンスを余すところなく撮影しました。彼と木々のみで、他にセットは一切なく、ただ光と影だけでした。大きな木漏れ日のなかの田中 泯、と言えるかもしれません。映画のなかの夢のシーンで、この映像をふんだんに使えるという期待がありましたがそれでも結局、泯さんの登場は少ないままでした。
私は突然に(カンヌ映画祭の受賞式の最中に)思いついたことを、良き友であり脚本を一緒につくった高崎卓馬氏に話しました。『PERFECT DAYS』のためにまだやり残したことがある、泯さんのあの踊りの映像の完全版を編集することだ、と。
それがついに完成して、この作品を、そしてあの映画のホームレスの存在が、平山だけでなく世界中のたくさんの人々の目に触れる。
そのことをとても誇りに思います。
泯さん、あなたは私が今まで出会った人の中でも、極めて素晴らしい人です!
ヴィム・ヴェンダース
『Some Body Comes Into the Light』
監督:ヴィム・ヴェンダース
踊り:田中 泯
音楽:三宅 純
撮影:フランツ・ラスティグ
プロデュース:ヴィム・ベンダース・高崎卓馬
製作:柳井康治
プロデューサー:國枝礼子、矢花宏太、ケイコ・オリビア・トミナガ、大桑 仁、小林祐介
編集:エレナ・ブロムンド
整音:マティアス・ランパート
インスタレーション撮影:ドナータ・ベンダース
美術:桑島十和子
スタイリング:伊賀大介
ヘアメイク:勇見勝彦
キャスティングディレクター:元川益暢
ポスプロスーパーバイザー:ドミニク・ボレン
演出部 :鈴木雄大・林 拓馬
1stアシスタントカメラ(2ndUnitカメラマン):江藤ゆか
照明:田中 洵
特機:愛甲常幸
映画『PERFECT DAYS』に関して
東京・渋谷でトイレ清掃員として働く平山(役所広司)は、静かに淡々とした日々を生きていた。同じ時間に目覚め、同じように支度をし、同じように働いた。その毎日は同じことの繰り返しに見えるかもしれないが、同じ日は1日としてなく、男は毎日を新しい日として生きていたが、その生き方は美しくすらあった。男は木々を愛していた。木々がつくる木漏れ日に目を細めた。そんな男の日々に思いがけない出来事がおきる。それが男の過去を小さく揺らした。
監督:ヴィム・ヴェンダース
脚本:ヴィム・ヴェンダース、 高崎卓馬
製作:柳井康治
出演:役所広司、柄本時生、中野有紗、アオイヤマダ、麻生祐未、石川さゆり、田中 泯、三浦友和
製作:MASTER MIND
配給:ビターズ・エンド
(2023/日本/カラー/DCP/5.1ch/スタンダード/124分/G/)
オフィシャルサイト:https://perfectdays-movie.jp/(外部サイト)
#パーフェクトデイズ #PERFECTDAYS
(オフィシャル素材提供)