映画『火だるま槐多よ』は、22歳で夭逝した天才画家であり詩人の村山槐多(1896-1919)の作品に魅せられ取り憑かれた現代の若者たちが、槐多の作品を彼ら独自の解釈で表現し再生させ、時代の突破を試みるアヴァンギャルド・エンタテインメント。タイトルの由来は、槐多の友人・高村光太郎の詩「強くて悲しい火だるま槐多」である。
“ピンク四天王”と称される佐藤寿保監督が、槐多の代表作である自画像“尿する裸僧”と出合い、槐多の感性に感銘を受け、「現代人の眠っている潜在意識を呼び起こし感応させるのだ!」と本作の制作を決意。脚本は、『乱歩地獄 / 芋虫』『眼球の夢』などでタッグを組む夢野史郎が担当し、槐多の死後、友人たちの熱望によりデスマスクがとられた事実なども盛り込んだ本作が完成した。
W主演の槌宮 朔役には、『佐々木、イン、マイマイン』などの遊屋慎太郎、法月薊役には『背中』で映画初主演を飾った佐藤里穂を抜擢。パフォーマンス集団の元村葉役に工藤 景、民矢悠役に涼田麗乃、庭反錠役に八田 拳、早川笛役に佐月絵美が集結し、研究施設を脱走した4人を観察する亜納芯役で田中 飄、朔を見守る式部 鋭役で佐野史郎が脇を固める。
音楽は、ジャンルを越境した破壊力抜群の前衛ビートで国内外で絶大な人気を誇る異端のアーティストSATOL aka BeatLiveと、舞踏や現代美術などとのコラボレーションで国際的な注目を集め、人間環境学博士でもある異色ミュージシャン田所大輔の二人が、それぞれの持ち味で槐多の摩訶不思議な世界を彩った。
図らずも、佐藤寿保監督作品初の映倫G区分となった本作は、12月23日(土)から1月12日(金)まで新宿K’s cinemaにて公開される他、12月23日(土)~12月29日(金)、同じく新宿K’s cinemaにて、佐藤寿保特集上映が決定! 今まで映画館でめったに上映されてこなかったレアな作品を上映予定。
この度、公開を前に、特報、場面写真及び、W主演の遊屋慎太郎と佐藤里穂よりコメントが届いた。
コメント
槌宮 朔役:遊屋慎太郎
こんにちは、遊屋慎太郎です。突然ですが、村山槐多という人物をご存知でしょうか?
この映画のオーディションを受けるにあたって、初めて彼の存在を知りました。彼の作品に触れた時、作中に登場する槌宮 朔と同様に、その情熱に魅せられ、気分が高揚したことを覚えています。
それは、現代に表現者として生きる我々への挑戦状のようなものにも感じました。
槌宮 朔を演じることが決まった時、体力を残したまま終わることだけはしてはいけないと思い、今あるエネルギーの全てを使い果たそうと決めました。
それが、村山槐多という人物への最大の敬意に繋がると信じて。
スタッフ・キャスト一丸となり、あの瞬間に出しうる限りの情熱を、この映画に閉じ込めることができたと思います。
ぜひ、劇場でご覧ください。
法月 薊役:佐藤里穂
この作品は、キャストやスタッフの方々はもちろんのこと、大自然や、なにより村山槐多の作品たちからたくさんのエネルギーを頂いてできています。
私が演じた法月 薊は、自分の欲望にどこまでも素直で純粋な人です。彼女の行動によって物語が大きく左右される感覚があったので、とても演りがいのある役でした。
ただ、間違うと自分勝手で傲慢な人に見えてしまうので、薊の欲望への真摯なまでの純粋さが失われないよう気をつけながら、カイタをはじめ他者とどう関わっているのか、薊にとって村山槐多とは“何者なのか”を考えながら演じました。
また、佐藤監督から頂いた言葉「薊の花のように鋭く!!」を、現場に入る際に必ず何回も唱えて挑んでいました(笑)。
私たちの現実と妄想と、村山槐多の作品が入り混じり、ガランスに塗れていくさまをぜひぜひ、劇場にてご覧下さいませ!!
村山槐多(むらやま・かいた)プロフィール
1896-1919。大正時代の日本の画家で、詩人、作家でもある。
従兄の山本 鼎(画家)に感化され画家を志し、中学生(旧制)の頃より美術、文学に異彩を発揮。ガランス(深紅色)を多用した独特の生命力に溢れた絵画は、二科展、日本美術院展などに入選し、異色作家として注目されたが、破滅的な放浪生活の末、流行性感冒で1919年2月20日死去。
主要作に、絵画「カンナと少女」「湖水と女」「尿する裸僧」、詩集「槐多の歌へる」(遺稿集)、小説「悪魔の舌」など。
公開表記
配給:渋谷プロダクション
12月23日(土)~1月12日(金) 新宿K’s Cinemaにて公開他全国順次公開
(オフィシャル素材提供)