11月3日(金・祝)より公開となる人気アーティストMOROHAのアフロ初主演映画『さよなら ほやマン』の完成披露試写会が10月18日(水)に実施され、アフロ、呉城久美、黒崎煌代、津田寛治、松金よね子のキャスト一同ならびに長編映画監督デビューの庄司輝秋監督が登壇。さらに主演のアフロの友人でもある東出昌大が花束ゲストとしてサプライズ登壇した。
満員御礼で迎えたこの日、キャスト&監督陣がずらりとラインナップする中で、アフロは“ほや”をイメージした劇中キャラ・ほやマンのコスチュームに身を包んで登場。「今日はありがとうございます! このマスクを着けていると視界がほぼふさがれていてお客さんがどんな顔をして俺を見ているのか気になったけれど、皆さん柔らかい表情をしてくださっていて嬉しく思います」と喜色満面でほやマンヘルメットを脱いでいた。
ほやマンのコスチュームについてアフロは「これを着ているととても暖かい。胸筋部分は“浮き”で出来ていて、物語上このコスチュームは漁師さんが手作りしたという設定。クオリティを上げすぎても下げすぎてもいけない。その絶妙なラインを美術さんが頑張って作ってくれました」と完成度に自信。庄司監督も「ヘルメットはブイをくり抜いて作ったり、撮影地の網地島の浜に打ち上げられたものを材料にしたりしています。目の部分はアキラ(アフロ)が幼少期に買ってもらった仮面ライダーのお面の目の部分をくり抜いたという設定で、実際に当時のものを探して使用しているので意外と貴重です」と細部までのこだわりを明かしていた。
庄司監督からの激烈オファーを受けて映画初主演を飾ったアフロ。「お話をいただいた時は、いよいよ来たかと。でも台本のタイトルを見たら『ほやマン』。……B級かい!と思って台本を返しそうになった」と苦笑いも「中身を読んだら、人間が生きていく上での選択や家族の話など、自分がこれまで音楽で表現したことと通じ合うものがあると思った」と深みのあるA級なドラマツルギーに共感。一方、脚本を手にMOROHAのライブを鑑賞し、主演はアフロしかいないと確信したという庄司監督は「この人だ!と思って脚本を渡した時にB級だなんて思われていたとは……ショックです」と自虐で笑いを取っていた。
漁師の主人公アキラを演じるにあたり、小型船舶の免許を取得し、ロープの繋ぎ方を覚え、素潜りのスクールにも通ったというアフロ。「それは役作りという意味もあるけれど、音楽畑の人間が違う畑に行くわけだから、映画チームのみんなに誠心誠意向き合っているという気持ちを見せたかった」と狙いを説明。東京からやって来たワケあり漫画家・美晴役の呉城はアフロとの初共演について「どんな人が来るのだろうかと思ったら、めちゃくちゃいい人。お菓子や缶詰をくれたり、焼肉に誘ってくれたり、近づいて来てくれようとしている姿勢を感じたので最初から一緒にやっていけるという関係性が見えた」と人柄に感激。
アキラの弟シゲル役の黒崎は「いろいろな楽しみを設定してくれる方。撮影スタッフの各部署に好きな食べ物のことを聞いたりして、離島なのにわざわざ取り寄せていた。ちんすこうが好きなメイクさんのために、自分の体にちんすこうを張り付けて『今日はほやマンじゃないぞ! ちんすこうマンだ~!』と現れたりして。主演で毎日大変なのにどこにそんなエネルギーがあるの!?と驚いた」と座長としての気配りに感動していた。
これにアフロは「こんな形でちんすこうマンが世に知れ渡るとは……」と照れると、庄司監督は「そんなにちんすこうマンを刷り込まないで! この映画はほやマンですから!」と悲鳴。アフロについて松金は「楽曲を聴いてすごく尖がっているのかと思って会ってみたら、ニカーと笑顔。とても明るいキャラクターで驚きました」とアフロのギャップにやられていた。
一方の津田は、オールロケを行った石巻市網地島での撮影を回想し「石巻市から港まで優しい紳士がエスコートしてくれて、実はそれが監督のお父さんで。そして現場に行くとすごく優しい方が料理を作ってくれて、それが監督のお母さん。家族全員で息子の映画を応援していると知ってグッと来た」と感動。松金も「とっても優しいご両親でしたね」としみじみすると、大テレの庄司監督は「自主映画ではないですからね! 撮影が地元だったので手伝ってくれました」と嬉恥ずかしの表情。津田は「それもあって僕自身もお父さんと同じような気持ちになれました」とレアな撮影状況に身が引き締まる思いだった。
そんな中、アフロの友人で本作に感激した俳優の東出昌大が、北関東の山から下りてきて花束プレゼンターとしてサプライズ登場。アフロに労いの意味を込めて花束を渡し「彼とはちょくちょく遊ぶ仲間で、あるとき『今度映画の主演が決まったぜ! 役作りで分からないことがあったら聞くね!』というメールが来た。しばらくして『撮影終わった! 最高だった! いい人たちに囲まれて撮り終えたよ!』と。いい現場だったんだなと思った」と回想した。
東出曰く、アフロに演技のアドバイスはしていないそうで「音楽で普段から人前に立たれている方は、カメラの前に立っても臆することがない。ストレートにいいお芝居をされていたし、アフロのことは映画を観終わった後に下北沢の飲み屋でずっと褒めていました」と絶賛。これにアフロは「主演をやりたいと思っている方がたくさんいる中で、ずっと音楽をやって来た自分が突然そこに立つということに対して自分がどう解釈してどう向き合っているのかを見せなければ、ずっと役者をやっている東出君に顔向けできないという思いが強くあった。こうして褒めていただけて一安心です」と心底嬉しそうだった。
最後にアフロは「タイトルやビジュアルからB級映画と勘違いされている節があるけれど、ある種アキラは自分の人生をB級だと思い込んで葛藤しているという意味では確かにB級かもしれない。でもA級の人生だと思って生きている人がどれだけいるのかと考えると、B級という言葉さえも肯定したくなる自分がいる。映画を観た後に自分の人生が肯定されるようなことがあったら嬉しいです」とPR。庄司監督も「この映画は遠い東北の島での漁師たちの物語で、自分たちとは遠い場所の出来事を描いています。しかし映画とは、遠くの場所の自分と関係ない人の暮らしや気持ちに共感できるからこそ面白い。彼らの生き方を見て自分の心の中に何かの疼きがあったら、それを肯定して何か挑戦しようと思ってもらえたら嬉しいです」と観客に呼び掛けていた。
登壇者:アフロ、呉城久美、黒崎煌代、津田寛治、松金よね子、庄司輝秋
ゲスト登壇:東出昌大
オフィシャル・サイト(外部サイト)
公開表記
配給:ロングライド/シグロ
11月3日(金・祝)より新宿ピカデリーほか全国ロードショー
(オフィシャル素材提供)