イベント・舞台挨拶

監督ギャスパー・ノエ×主演ダリオ・アルジェント『VORTEX ヴォルテックス』先行プレミア上映 来日舞台挨拶

© 2021 RECTANGLE PRODUCTIONS – GOODFELLAS – LES CINEMAS DE LA ZONE – KNM – ARTEMIS PRODUCTIONS – SRAB FILMS – LES FILMS VELVET – KALLOUCHE CINEMA

 フランス映画界最大の問題児ギャスパー・ノエ監督が最新作『VORTEX ヴォルテックス』(12月8日公開)を引っ提げて、約4年ぶりに来日。11月14日(火)に都内映画館で先行プレミア上映会に参加し、日本の大親友監督である塚本晋也と激熱トークを繰り広げた。

 昨年行われたフランス映画祭2022横浜での来日を自身の持病によるドクター・ストップによって泣く泣くキャンセルしたノエ監督は、念願のリベンジ来日に喜色満面。『VORTEX ヴォルテックス』の上映を待ちわびるクレイジーな日本の観客に向けて「久々に来日が叶って本当に嬉しい。日本のみんなにこうして出会えて、そして映画まで上映してもらえて……。今回の映画は今までのようにセックス&バイオレンスはテーマにしていなくて、センチメンタルな映画だよ。これを観て全員に泣いてもらいたいね」と期待を込めて挨拶した。

 イタリアン・ホラーの鬼才ダリオ・アルジェントを起用して完成させた『VORTEX ヴォルテックス』。2021年のコロナ禍での撮影を振り返り「当時はコロナ禍で誰も自分が感染したくないと怖がってとても緊張感のある独特な撮影だった。ダリオからは『俺はセリフなんて覚えられないぞ』と言われたけれど、役者全員にはシークエンスのみ教えて会話はすべてアドリブだった。それゆえに、ある種ドキュメンタリーに近い形に見えると思う」と紹介した。

 1992年に『鉄男II BODY HAMMER』で訪れたアボリアッツ国際ファンタスティック映画祭でノエ監督と初めて出会ったという塚本監督。「映画祭に到着して最初に会ったのがギャスパーで、その映画祭で観た『カルネ』があまりにも素晴らしくて度肝を抜かれた。それから映画祭に行くたびに彼と再会して親睦を深めた」と交流歴を回想。フランス映画祭2022横浜で『VORTEX ヴォルテックス』を鑑賞しており「本当に絶句するというか……。自分の両親を亡くした時の感情が生々しく蘇ってきたハードな映画でした。ギャスパーのこれまでの映画とは違い暴力もセックスもないけれど、歯ぎしりするような恐ろしさと深い愛を感じる作品だった」と感想を述べた。

 奇しくも11月25日には塚本監督の新作『ほかげ』が公開される。すでに本作を鑑賞しているノエ監督は「塚本監督作の中で最も真面目で怖い映画だと思う。趣里さんをはじめ、俳優陣が信じられないくらい素晴らしい。晋也のスタイルはとても印象深くて、日本の戦後という厳しい時代を描いていて強烈な印象を受けた。『ほかげ』も『VORTEX ヴォルテックス』もお互いの監督作の中で最も真面目であり、心理的ホラーの要素があるね」と共通点を挙げながら絶賛した。

 またノエ監督はアルジェントを俳優として起用した理由について「彼はとてもフレンドリーで優しくて面白く、カメラにも慣れている。カリスマ性があり、そして私の父同様にしゃべるときに身振り手振りが激しい男だ。そこに僕は親近感を覚えた。だから今回の役は彼以外頭に思い浮かばなくて、間を取り持ってくれたダリオの娘さんには『暴力もセックス・シーンもないから安心してね!』と伝えてもらった」とベスト・キャスティングだと胸を張った。

 アルジェント監督作『シャドー』が『鉄男』に強い影響を与えたという塚本監督は「あの当時のアルジェントは怖い顔というイメージがあったけれど、『VORTEX ヴォルテックス』では親しみ深いおじいちゃんになっていてビックリ。そして演技があまりにも素晴らしい。妻を演じたフランソワーズ・ルブランも本当に病気を患っている人を出演させたのか?と思うくらいにリアルだった」と舌を巻いていた。

 塚本監督は映画監督のみならず俳優としても活躍しているだけに、ノエ監督×主演・塚本の座組も見てみたいが……。ノエ監督は「僕はマーティン・スコセッシ監督の『沈黙-サイレンス-』が大好きで、中でも晋也はスコセッシ映画で十字架に縛り付けられた俳優としては最高の演技を見せていた」と評し、「将来的に日本で映画を作る機会があったら、ぜひとも晋也に出てほしい」とラブ・コール。これに親友・塚本監督も「その時はぜひお願いします!」と満面の笑みで、会場を盛り上げていた。

 日仏の鬼才マブダチ・トークもあっという間に終了のお時間に。最後にノエ監督は「映画が終わった時に、全員が泣いてくれることを期待しているよ。もし泣かない人がいたら、それは失敗作だということになるので……ぜひとも泣いてください!」とユーモアを交えて日本公開への期待を口にしていた。

 登壇者:ギャスパー・ノエ監督、塚本晋也監督

公開表記

 配給:シンカ
 12月8日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷、新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか 全国公開

(オフィシャル素材提供)

関連作品

スポンサーリンク
シェアする
サイト 管理者をフォローする
Translate »
タイトルとURLをコピーしました