上野樹里、7年ぶりの映画主演作『隣人X -疑惑の彼女-』(12月1日公開)。その公開直前ティーチインイベントが11月22日(水)に都内で実施され、主演の上野のほか共演の林 遣都、そして熊澤尚人監督が参加した。
本作は、人間の姿そっくりの姿をした【惑星難民X】を受け入れた日本を舞台に、X疑惑のかかる女性と、真実を探る記者の姿を描くミステリー・ロマンス。
X疑惑をかけられる主人公・柏木良子を演じた上野。本編を鑑賞し終えたばかりの観客に向かって「映画、楽しんでいただけましたか~?」と呼び掛けると、客席からは拍手喝采で「最後まで観てもう一回観たくなった人はいますか~?」と聞くと、多くの観客が手を挙げていた。一方、良子(上野)を追う週刊誌記者・笹憲太郎役の林は「ここまで皆さんと近い距離でお話しするのは特別感があっていいですね。僕は目が悪いのですが、今日はさすがに皆さんの顔も見えていますよ!」と笑わせてファンを喜ばせていた。
コロナ禍にパリュスあや子による原作小説を熟読したという熊澤監督。映画化に際しては「上野さん演じた良子のような30代中盤の女性は原作には出てこなくて、上野さんと話し合って原作にインスパイアされた物語を作りました。コロナ禍を経て見えない無意識の偏見というテーマで映画を撮りたいと思いました。コロナを経験した皆さんだからこそ感じることがたくさんあると思うので、今だからこそ観てもらいたい作品です」とアピールした。
そしてQ&Aでは多くの観客が挙手。「テイクを重ねたシーンは?」との質問に熊澤監督は「上野さんの場合は一発目が勝負なので、テイクを重ねるのではなくて一回目の新鮮なものを狙いました」と明かすと、上野も「早いに越したことはない!」と笑顔。一方、林は「アパートの部屋に引きずり込まれるシーンは、パントマイムっぽくって、そのような芝居をするのは初めてだったので難しかった。でも楽しかった」と撮影を振り返った。
また本作のテーマにちなんで「自分らしく生きるために心がけていること」を聞かれた上野は「余白を持つこと。情報が錯綜して日々新しい情報が更新される中で、良子のようにゆったりした時間を持つことは大事だと思う。余白がなければ見えてこないものもあるし、感じられないものもあるから」と実感を込めて返答。林は「僕は人の言葉や顔色を伺ったりして、気にしいなところがある。そんな自分が嫌だった。でもコロナ禍を経てそんな自分の嫌な部分を肯定する考えを意識的に持とうと思った。自分を否定せず卑下せず、自分を甘やかす時間があっても良いのではないかと思った」と意識の変化を明かした。
またSNSなどを通して生まれる差別や偏見をなくすための方法などを聞かれた上野は「ネガティブな感情や怒りからは何も生まれない。人を傷つけることに力を使うならば、この世の中を良くするためにはどうすればいいのかを考えて、行動に移したりして、自分自身に対しても優しくなってほしい。たとえそれが小さな一歩だとしても、自分の幸せな世界は広がっていくし、その想いは近くの人に伝播する。いい環境で暮らしている人にはいいものが出ているはずで、それで街や地球は成り立っているはず」などと思いやり精神を熱弁。
一方、林は「ネットを見たりして嫌な気持ちにさせられることがあった時は、絶対に負けないでいたいと思っている。誰かを攻撃したり傷つけたりするよりも、周りの人の幸せを願って生きる方がいい人生を過ごしていると自分に言い聞かせる」などとポジティブマインドを大切にしていた。
白熱のQ&Aもあっという間に終了のお時間に。最後に熊澤監督は「この映画は笹がXを探すところから始まる物語で、Xは誰だ?と思った瞬間に偏見の芽が無意識に生まれる。その偏見の芽を、自分ならばどう対応するのか?と自分に置き換えて考えてもらいながら、周りの人とも意見をシェアして『今観るべき映画だ!』と勧めてほしいです」と呼び掛けていた。
登壇者:上野樹里、林 遣都、熊澤尚人監督
公開表記
配給:ハピネットファントム・スタジオ
12月1日(金) 新宿ピカデリー他全国ロードショー
(オフィシャル素材提供)