イントロダクション
これまで製作された長編映画はわずか数本という中米ニカラグアから誕生した長編映画『LA HIJA DE TODAS LAS RABIAS』(原題)の邦題が『マリア 怒りの娘』)に決定し、2024年2月より渋谷ユーロスペースほか全国の劇場にて順次公開する。
独裁政権や内戦が長らく続いた影響で経済は停滞し、いまなお貧困が大きな課題となっている中米ニカラグア。映画産業は発達せず、国内で製作された長編映画はこれまでわずか数本。本作『マリア 怒りの娘』は、ニカラグア出身の女性監督による初めての長編作である。
本作のローラ・バウマイスター監督は、1983年ニカラグアに生まれ、メキシコの国立映画学校で映画制作を学んだ。2014年に制作した短編『Isabel Im Winter』が、カンヌ国際映画祭監督批評家週間に選出された実績を持つ。長編デビューとなった本作では、ニカラグアの首都マナグアに存在する国家最大級のゴミ捨て場ラ・チュレカを舞台に、ある日突然母の不在に直面する少女マリアの姿をリアリスティックに、そして内なる世界を幻想的に交えながら描き出す。ニカラグアの美しい風景と、それとは対照的なゴミ集積場を映す静謐で美しいカメラワークに加え、楽曲は、映画『燃ゆる女の肖像』で知られるフランスのパラ・ワンが担当し、マリアが置かれる現実と内面の動きにエモーショナルに寄り添う。
本作は2022年秋、アルフォンソ・キュアロンやクリストファー・ノーランなど、これまでも数多くの偉大な監督を発掘してきたトロント国際映画祭ディスカバリー部門にてワールドプレミア上映され、その後、サン・セバスティアン映画祭や釜山国際映画祭などでも上映され、高く評価された。
ストーリー
美しい湖のほとりに広がるゴミ集積場の近くで母と暮らす11歳の少女マリア。生活は苦しく、母は飼い犬を売って暮らしの足しにしようとするが、その取引は不意の出来事により失敗。トラブルを解決するため、母は娘をリサイクル施設に預け、街へと出かける。「すぐに戻る」という母の言葉を信じて待つマリアだったが、母は何日経っても戻らない。マリアは戸惑い、混乱し、言葉にならない怒りを募らせていく。そしてついに母に会いたい一心で、マリアは施設を抜け出し、母を捜す旅へ出る――。
(原題:LA HIJA DE TODAS LAS RABIAS、2022年、ニカラグア=メキシコ=オランダ=ドイツ=フランス=ノルウェー=スペイン、上映時間:91分)
キャスト&スタッフ
監督:ローラ・バウマイスター
出演:アラ・アレハンドラ・メダル、バージニア・セビリア、カルロス・グティエレス、ノエ・エルナンデス、ダイアナ・セダノ
ギャラリー
予告編
オフィシャル・サイト(外部サイト)
公開表記
配給:ストロール
2024年2月、ユーロスペースほか全国順次公開
(オフィシャル素材提供)